書籍紹介 『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の大百科事典』

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今回紹介する本は『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の大百科事典』です。

 

 

中学、高校で教える英語自体は実践的ではないとは言い切れませんが、その教える過程に関して実用からかけ離れている場合が多くあります。

「英語を教える」ということと「英語について教える」ということを取り違えているのです。

典型的な例は、文法中心の文法対訳法による授業です。

英語をシステムと捉え、一連のルール、品詞と構造による分析によって英語を理解するというアプローチです。

この方法は百年前くらいに行われた教授法ですが、これが英語の実践にはあまり効果がないことは既に多くの国々で認められています。

 

しかし、日本の学校ではこの方法が未だに主流です。

理由はいくつかありますが、第一にテストとして点を付け生徒の差別化を図るには非常に簡単だということ。

第二に多くの英語教師がこの方法で英語を学んでいて、他の方法を知らない、知ろうとしないこと。

第三にこの方法は形式だけを教えればいいので、教える者にとって簡単だということ。

しかし、これらは全て教える立場を中心とした考え方で、教わる者にとっていいとは言えません。

6年間も学校で勉強して会話もできないのは日本人くらいです。

文法用語を聞くだけでも嫌悪感を表す生徒もいます。

形式が分かりテストの解き方を理解する生徒にはいいのですが、そうでない生徒にとっては何のために英語を学んでいるのか分からず、英語に対する魅力は一気に失われます。

 

また、この英語に対するアプローチは実際に英語を使う状況において全く役に立ちません。

そんな文法的分析を逐一やっていては1ページ読むのに莫大な時間がかかり、とてもではありませんが数ページの英文を読むのも大変です。

会話においても、そんなこと考えていると会話についていけず、話ができません。

理解するまでに時間がかかり、さらに自分の意見を考え、そしてどのように話すかも文法で考える。

会話になりません。

 

結局、何のために英語の授業を受けているのか分からない。

生徒は直感的にそのことを理解しています。

 

 

そんな学校の授業に疑問を持つ方にこの本をお勧めします。

実はこの本は『ビッグ・ファット・キャット・シリーズ』と呼ばれる一連の英語読本の一部です。

パイ屋のエドを中心の物語で、読んでいくうちに、その物語の面白さと共に英語を身に付けるようになります。

特別イラストも多く、難しい文はなく、所々に解説もついているので、非常に取り掛かりやすい内容になっています。

実際、私も英語を教える中で、生徒が英語に触れる機会が圧倒的に少ないことに気づいています。

生徒が積極的に機会を作らなければいけないのですが、今のテストのためだけの英語では、そこまでする動機が起きにくいのです。

だからこそ、読み手を物語に引き込める力のあるこのシリーズがお勧めなのです。

 

とは言え、いきなり長文に挑戦するのは気が引けるという人はこの『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の大百科事典』を先ず読んでみましょう。

最初に英語の解説が書いてあり、英語がどういうものか理解してから読み物を読む形になっています。

この本の一番のいい点は、文法用語を一切使わず英語を説明している点です。

イラストを使って、母語話者が英語をどのように捉えているのかを分かりやすく教えています。

箱と矢印を使って英語のルールを説明し、品詞などの文法用語を使わず、「化粧品」などのように言い換え、身近に分かりやすくする工夫がなされています。

イラストを上手に使っているので、英語が持つイメージやニュアンスがとても伝わります。

更に物語自体も楽しいので、読んでいるうちに語彙も自然と増えていきます。

 

個人的には、まだ工夫すれば文法を簡単に分かりやすくできるのではないかと思う点もありますが、全体的には非常に優れていると思います。

また、物語という性質上仕方ないことですが、どうしても過去形中心の文章になってしまいます。

その点は英字新聞や雑誌、その他の読み物で補う必要があるでしょう。

いずれにしても、英語入門としては評価できます。

学校の文法中心の英語で挫折した人は、この本でもう一度英語を見直してください。

英語に対する考え方がかなり変わってくると思います。

 

 

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