コロナウイルスの影響でオンライン授業に注目が集まっています。しかし、オンライン授業ができれば問題ないのでしょうか。

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コロナウイルスの影響でオンライン授業に注目が集まっています。しかし、オンライン授業ができれば問題ないのでしょうか。

新型コロナウイルスが拡大し、学校の一斉休校が決まったとき、IT化が進み導入がすでに広がっていた私立学校の多くはオンライン授業を行い、授業の停滞を防ぐことができました。
一方、数年前から提言されながらも一向に学校のIT化が進んでいなかった公立学校では、休校期間中、生徒に既習事項のプリントを配って家庭学習をさせるのが精いっぱいで、学校の勉強は一斉にストップしてしまいました。
学校の対応能力の差が大きく表面化し、生徒の置かれている環境で教育格差がの指摘されるようになりました。

今回の新型コロナウイルスのような不測の事態でも、オンライン授業があれば生徒たちの学びを止めることなく勉強を進めることができるという認識が広まりました。
そこで文科省も本腰を上げて、学校での「一人一端末」に取り組まなければならないと動き出したようです。
多くの自治体で年度末までに、公立の小中学校において一人一台の端末を実現するという方針を出しています。

実は学校教育のITC化は以前から日本のIT戦略の一つに位置付けられていて、2018年から5年間をかけて全ての児童・生徒のために一人一端末を実現し、学習用のパソコンと高速ネットワーク環境を整備することで教育を向上させようとする「GIGAスクール構想」がありました。
これを踏まえて、私立学校ではパソコンが広く普及し、実際に学校の授業でもパソコンを利用した教育がどんどん行われてきました。
しかし、一方で公立学校のIT化は遅々として進みませんでした。

私立学校では生徒が集まらなければ生き延びることができないので、常に最新の教育環境を整え魅力ある授業を提供するために尽力する必要がありました。
従って、教育のIT化に真剣に取り組み、見る見るうちに教育の中に反映させてきました。

ところが、公立学校ではそのような動機付けはなく、むしろ変化というものはコストにしか映りませんでした。
現場の教員にはこれまで自分が培ってきた技術が通用しなくなるという恐れがありました。
また、オンライン授業に対する懐疑心もありました。
こんなことして本当に意義あるのか。
疑いから、やらないで現状維持の方がいい。
何よりも、もしIT化により教授方法が変わりパソコンなどを使いこなさないといけないとなったとき、高齢の教員を中心に変化への適応に自信が持てないということもありました。
生徒たちも新しい技術に対応できる下地がないという考えもあり、やってもうまくいかないのではないかという意見も出されました。
他にも様々な理由で、口で言う割には取り組みが進まず、今回の騒動でその不備が露呈したのでした。

では、実際のオンライン授業とはどのようなものでしょうか。
オンライン授業に関しては、以前にこちらで記事として書いたことがありますので、そちらを参照していただきたいと思います。

オンライン授業に関する記事はこちら

これまで衛星放送などを使って一方的に講義を見るテレビ授業と違い、オンライン授業はインターネット回線を利用しているので双方向の授業が可能なのが特徴です。
しかし、実際にはインターネットやメールを使って課題を一方的に提供するオンデマンド式、または先生が授業を生放送で動画配信する一方向の授業が半数を占めているととある調査にありました。
一方、保護者は双方向の授業を期待していたようで、両者のギャップはオンライン授業に対する落胆につながったそうです。

確かに葛西TKKアカデミーでもzoomを利用したオンライン授業をやっていますが、私は個別指導なので一対一だから大丈夫なのですが、これが30~40人というクラス単位での利用となると、全員には当然目がいかないだろうなと容易に想像できます。
教室のような対面式でも全体に目を配るのは難しいのに、パソコンの小さな画面に映る何十の顔だけで、一人ひとりの細かな反応に気づき、フォローするのは無理です。
双方向にしても教室以上に発言やコミュニケーションの機会は、慣れていないと上手に生徒も先生も活用できません。
そして、オンライン授業ではこれまで以上に生徒一人ひとりの勉強への姿勢が問題となります。
先ほど述べたように、先生が一人ひとりの生徒を全てチェックするのは難しいので、生徒はさぼろうと思えばさぼれるし、ごまかそうと思えばごまかすことができるからです。

大学では今回のコロナウイルスの影響で、授業をオンラインにしたところがありますが、やはり同じような問題が発生し、加えて技術的なトラブルなどで評判はあまりよくなかったようです。

つまり、文科省が言うように単純にパソコンやインターネット環境などの設備を整え、情報端末を生徒全員に渡せば問題がすべて解決し、これまで以上の素晴らしく魅力ある教育現場になるとは限らないのです。
そんな単純なものだと思っているなら、それは教育を甘く見過ぎです。

画面越しに先生がそれぞれの生徒を丁寧に見ることができなければ、理解度の違う生徒を全て学ばせることはできず、限られた時間内に学習項目をこなしていかなければならないので、結局はついてこれない生徒は置き去りにするしかないという結果になってしまうことは十分にあり得ます。

教育のIT化、オンライン授業の普及とは何が目的でしょうか。
文科省がやっている感を出すためのポーズであれば、生徒には何の意味もありません。
実施するならば、その恩恵が最大限に生徒に向かうようにしなければなりません。
大学入試改革を始めとする今の教育改革においては、文科省サイドの視点ばかりで物事が進んでいて、肝心の当事者である生徒や保護者、そして実際に現場で教育に携わっている先生方の声や視点があまり反映されていないような気がします。
結果、教育現場では混乱だらけのようです。

ゆとり教育のときもそうでしたが、結局一部の大人の都合で振り回されて不利益を被っている生徒たちのことももっと真剣に考え、しっかり責任を持って教育に取り組んでほしいと思います。
何が目的で何が手段なのかをよく考え、それをはき違えて本末転倒にならないようにと願うばかりです。

葛西TKKアカデミーとしては、どのような状況であろうと生徒たちのことを考え、彼らを全力で支え、そして教育による恩恵が最大になるように努めます。

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