塾長ブログ

2022.02.11

勉強嫌いになるのはなぜか

勉強嫌いになるのはなぜか?(原因編)

「うちの子は勉強が嫌いで手を焼く」とお嘆きの親御さんは非常に多いです。
小学校に入ったときは、学校で勉強することに憧れていて、それができると喜びに満ち溢れていたはずなのに、いつの間にか勉強嫌いになってしまった。
なぜか分からないまま、勉強をしようとしない子供に対して口うるさく言って、反って勉強嫌いをひどくして子どもが勉強しなくなった。
そんな経験を持つ家庭も多いと思います。
そこで今回は勉強嫌いの原因を探ってみたいと思います。

基本的には「分からない」が勉強嫌いの元

小学校に入ったばかりの時は、勉強も比較的具体的で明確、だから勘違いやミスはあっても分からないということはなかった。
しかし、学年が上がり学習内容が抽象的になり複雑になってくると、だんだん理解が追い付かなくなる。
しかも、学校は生徒一人ひとりが分かるまで待ってはくれず、どんどん先に進む。
更に、卒業や入試、細かくは定期テストや小テストという期限を設けて、それまでに分からなくてはダメたという。
小学校低学年の時のように、どんな問題(最初分からなくてもすぐにできるようになる問題も含む)でも分かってマルをもらえるととてもうれしい。
しかし、小学校高学年、中学校になり分からない問題がすぐに解けるようにならず、分からないままになったとき、勉強がつまらなく嫌になってしまう。
この「分からない」をどうにかすれば、勉強嫌いを回避でき、「分かるようになる」と勉強好きに変えられるのではないでしょうか。

1.なぜ「分からない」が勉強嫌いを生み出すのか

学校の勉強で「分からない」が発生する場面はいろいろあります。
例えば、病気になって学校を何日か休んでしまった場合、当然授業を受けていないのだから、その間の勉強は失われます(よほど優秀で、自分から学べる生徒なら別ですが)。
そして、学校に戻ったとき、勉強の空白があるから今授業でやっていることがよく分からなくなる。
人は「馴染みのないもの」「未知なもの」に対して警戒心を持ち、無意識に避けようとするので、分からない授業に出なくてはならないことに苦るしみを感じます。
学校を休まなくても、学習内容が高度化すればこれまでのように一度で理解できず、時間をかけて繰り返し勉強しなくてはならなくなるので、「分からない」状態が長く続くことに苦痛を感じ、それに耐えきれずに逃げ出してしまいます。
特に思春期の子供は自分に対するプライドが強くなってきて、自分が「分からない」という事実を認めない、周りに知られたくないという気持ちも働き、素直に周囲の人間に聞けなかったりします。
こうしてできた小さな「分からない」が積み重なり、どんどん広がり、最終的には自分一人でどうしようもなくなり(ここで助けがあればいいのですが)、同時に勉強から感じる苦しみ、恐怖、不安などというマイナスの感情も強くなって、勉強は嫌なものという意識を自身に植え付けてしまうのです。

2.勉強は嫌だけど頑張ってみた、がダメだった

そうは言っても、子供たちも「これではいけない」と思って、嫌な気持を押して勉強に取り組み、なんとか克服しようとします。
それでも成果が出ないとき、勉強嫌いはますます強まり、もう勉強嫌いを直すのは絶望的になってしまうことがあります。
テスト前に、自分のやりたいことを我慢して一生懸命勉強しテストに臨んだが、その結果は悪かった。
自分が努力をして報われなかったとき、この経験は生徒たちが二度と頑張ろうとは思えないくらいに、生徒を傷つけ、落ち込ませ、立ち直らせることを難しくさせます。
これは心理学で言われるところの「学習性無力感」というものです。
一度、自分にはできないと思うと、何をしても意味がないと思い込み、これ以上努力をしなくなる心理状態です。
こうして、自分はやってもできない、無理だという「学習性無力感」を身に付けてしまうと、単に勉強が嫌いになり勉強に対する苦痛が増すだけでなく、もう一つ致命的な考えを生徒にもたらします。
それは、「学習性無力感」と盾に、勉強しないことを正当化してしまうことです。
勉強嫌いだけで、それでも何とか勉強を続けてくれればまだいいのですが、勉強嫌いの上に、それを正当化できてしまえば、当然勉強をしなければならない理由はなくなり、もう勉強はしなくなります。
(これは本当に絶望的状況で本来はこうなる前に何とか手を打たないといけないのですが、多くの家庭ではそれができずに手遅れ、少なくとも挽回が非常に難しい状態になっています)

「自分は頑張ったけど、成果が出なかった」
 ↓
「原因は自分の能力が無いから」
 ↓
「この能力は生まれつきのも(才能)のなので、いくら努力しても無駄(これは結果が証明している)」
 ↓
「原因が生来のものならば、自分にはどうにもできないから、自分は悪くない」
 ↓
「生まれながらに無能な自分はかわいそうだが、それは自分の責任ではないので、周りにとやかく言われてもどうしようもない」
 ↓
「勉強ができないのは自分のせいではないし、無駄な努力は意味がないので、自分が勉強できない(しない)のは許される(仕方ない)」

この論法にはいくつか難点がありますが、本人にとっては一応、これで筋が通っているので自分の勉強を強いないことを正当化するには十分なのです。

3.勉強を強要される

人間は自分からではなく人から言われると、やらなくてはいけないことだと分かっていても不快に感じることがあります。
特に思春期の子供はこの点に敏感で、勉強していないからそれを指摘すると、「今、やろうと思っていたのに」と言って一気にやる気をなくしてしまう。
そして、更に「勉強しろ」というと反発し、状況が悪化しケンカになってしまう。
「自分がやろうとしていた自主性をくじかれたから、自分のやる気が失せるのも仕方ない」と勉強しない理由を正当化するために利用される。
こうしうて勉強嫌いになってしまいます(少なくとも勉強嫌いを許容してしまう状況ができてしまいます)。
この状況に「反抗期」という思春期特有の心理状態が加わり、物事を話し合いでは解決しにくくしています。
大人に対して不信感を持ち反抗する。
自分の意思で行動できず、命令されることに反発する。
これは精神の発達において必ずしも悪いことではなく、成長には必要な段階ですが、この反発をむやみやたらに行い、結局自分の首を絞めていることに気づかない(若さゆえの過ち)のです。
これは周囲の対応を工夫すれば、ある程度防げることですが、現実にはなかなか分かっていても適切に対処できずに、子供を勉強嫌いに導くようです。
また、勉強しない子供を何とか勉強させようと、「おやつを与えない」「ゲームを取り上げる」などのバツを親が与えることも、逆効果になるいことが多いので気をつけましょう。

4.ストレスによる勉強嫌い

勉強嫌いの原因の一つにストレスもあります。
これは勉強に直接関係あることばかりではなく、日常の生活の中に存在するストレスも含まれます。
ストレスは子供たちに精神的疲労をもたらし、勉強に向ける気力をなくしてしまうからです。
例えば、家庭が不和でいつも両親が喧嘩ばかりしている、いじめに悩んでいるなど、環境から心に傷を負って悩み苦しめば、もう勉強に向けるエネルギーはなくなり、勉強する気にもならなくなってしまいます。
また、自分と周囲をやたら比較されるのも、子供に大きなストレスとプレッシャーを与えます。
「○○さんは本当に勉強ができるわよね」
「××さんはテストで100点取ったらしいよ」
「△△さんは毎日勉強していて偉いわね」
というような何気ない会話からこちらは意図していなくても、子供たちは劣等感を感じてしまいます。
自分がそうではないのは分かっているのに、そこをあえてえぐられているようで、周囲が自分をより取るに足らないものと見下しているように感じると同時に、自分はダメなんだと自己肯定感を低くしてしまいます。
これは本人の問題というより、周囲の人間、環境の問題なのですが、こういったところから勉強に手がつかず成績も下がり、勉強が更に嫌いになると言った負のループに陥るのです。

5.なぜ勉強しないといけないのか分からない

勉強をするモチベーションがないとやる気になれず、勉強嫌いになることがあります。
やる意義が分からなければ、やる必要はないという考え方です。
「勉強して何の役に立つの」などと問われたときに、社会一般のありきたりではなく、本人の心に響く明確な答えを言えますか。
いくら社会の仕組みがそうだからと言われても、本人が実感し納得ができなかれば受け入れられません。
どこに向かっているのかも分からず進むのは、不信を抱かせるしやる気にもなりにくいでしょう。
生徒たちが直感的に分かりやすい具体的なメリットや目的、目標を提示できれば、動機づけになります。
そうでなければ、意味の分からない作業をするのは苦痛ですし、やっても無駄なことに思われます。
特に勉強嫌いな生徒はいつも「なぜこんなことをしないといけないのか」と聞きます。
これは単純に勉強する理由が分からない場合と、正当な理由がないから勉強しなくてもいいという方便にする場合の二通りが考えられます。
後者は勉強しない言い訳であるばかりではなく、実は勉強ができていない自分を守るため、勉強がうまくいかず悔しい気持ちや悲しい気持ちを隠すため、相手がうまく答えられないことを逆手に取って「勉強は意味がない」と帰結するための手段の可能性もあります。
個人的には勉強なんて「なぜ」にこだわらず、無我夢中でやればいいのにと思うのですが、彼らにはどうしてもこだわらないといけないポイントのようです。

以上、勉強嫌いになる原因を挙げてみました。
もちろん、これ以外にも例えば、「先生との相性が悪く嫌いになった」などたくさんあるでしょうし、様々なことが複雑に絡み合って勉強嫌いになっていることもあります。
人間は千差万別で同じ人はいないのだから、これらの原因も決して一つではなく、同様に対処法も一つではありません。
大事なのは、いかに多くの事例や要員を知っているかということです。
未知のことには対処が難しいですが、既に知っていれば対応策を考えるのはいくらか楽です。
今回触れたことを参考に、皆様の家庭ではどう当てはまるのか、当てはまらないのか考えてみてください。
円滑な子育てのヒントになれば幸いと思います。

今回は勉強嫌いの原因に焦点を当てて議論してみました。
次回はそれぞれの原因に対してどう対処していくか考えてみたいと思います。

勉強を含めて、人を育てるということは非常に大変なことです。
もし、困ったときは一人で悩まず、できるだけ多くの人と相談し、知恵を集めて解決に取り組んでください。
葛西TKKアカデミーもそういった相談できる一つとして考えていただければ幸いです。


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