デジタル教科書導入、そのメリットとデメリット(その二)

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デジタル教科書導入、そのメリットとデメリット(その二)

前回お話したデジタル教科書について、今回はその続きです。
デメリットや課題を考えてみましょう。

デメリット

1.健康への影響
今、一般的に保護者の方などにデジタル教科書について伺うと一番心配なのはやはり、健康に当てる影響のようです。
確かに使うとなると、毎日合わせて何時間も使い続ける訳ですし、万が一子供たちの体に悪影響があるとすると、それは重大な問題です。
特に成長期の子供は様々な影響を受けやすく、親御さんが不安に思うのも無理はありません。

最近はSNSやYouTube、ビデオゲームなどパソコンやスマホのスクリーンをずっと見続けることが多くなっており、これらのデバイスが発するブルーレイが睡眠を妨げるなど健康への問題も指摘されています。
以前、視力低下などテレビが子供に与える悪影響が問題となったことがありましたが、今はその当時以上に、子供たちの目を酷使しています。
テレビ番組には一応終わりがあり、やめるきっかけがあるのに対し、YouTubeやSNSなどには明確な終わりがなく、本人が本当に気をつけないと永久に続けられるからです。

また、イヤホンなどを使うのであれば、聴覚に与える影響が問題になります。
最近はブルートゥースなどで四六時中耳にデバイスをしている大人をよく見かけます。
一人で大声で周りの目を気にせず話している人もいますが、耳にイヤホンジャックをつけっぱなしにすることにより、難聴になったり、中耳炎、耳の中にカビが発生するなどの事例も報告されているようです。

文科相はこれらの問題を深刻に考え、デジタル教科書の使用を授業時間の半分までという制限を課したのですが、先日、この制限を撤廃することを発表しました。
子供たちへの明確な悪影響が確認されていないからということらしいですが、それならば悪影響がないということも確認されておらず、大事なのはしっかり調査し明確な科学的根拠に基づく使用を決めることです。
しかし、今の文科省はそのような考えはなさそうです。
安全が保障されていないのに、期限だけは決めて変更しないみたいです。
内容を十分検討することなく、期限だけは頑なに守り現場に心配と混乱を巻き起こす、最近の文科省におなじみのパターンです。
しかし、このことが生徒や保護者にどれほど不安を与えているのか理解できていないのかもしれません。

2.莫大な費用
次に問題となるのはお金の面です。
「一人一端末で、滞りないアクセス環境」と大見えを切ってはいるものの、全ての生徒に端末を配布し、Wi-Fiを大容量にして、誰もがスムーズに利用できる環境を整えるというのは大変な事業です。
コロナウイルスの影響で予定より前倒しで、学校のデジタル環境の整備を行うようですが、その予算、工程はまだ明確ではありません。

もちろん税金で賄うのですが、それだけで足りるのでしょうか。
当然、環境を整える初期費用だけでなく、利用し続けるにはメンテナンスやアップデートなど持続費用も掛かります。
それも税金で賄うのでしょうか。
それとも生徒に負担させるのでしょうか。
もしそうならば、経済的に苦しい家庭の子供は利用できずに教育の権利が守られないということはないのでしょうか。
公平性と正当性が問われます。

これだけの大規模な予算を投じる訳だから、利用環境は整えましたが実際は使っていませんよなんてことは許されません。
しかし、現実にこうなる可能性は非常に高いような気がします。
これまでも教育現場に新しいツールやメソッドなど新規の事項を導入するとき、教育現場では不慣れな新しいことをするより、自分が慣れ親しんでしかも信頼のできる教育方法を取る先生は非常に多いものです。

巨額を投じた新しいツールが十分に活用されずに埃をかぶったままになることだけはないように願いたいものです。

3.本当に紙の教科書やプリントと同等以上の学習効果があるのか
こちらもまだ実践や検証が少なく、明確なデータがそろっていないのではっきりとは言えませんが、確かにこれまでの本や紙のプリントとデジタル教材では学習効果に違いを感覚的に指摘する声は非常に多いです。
私もパソコンや携帯、タブレット端末などで文献を読んだりすると読みにくいな、使いにくいなと感じることが多々あります。
画面が小さくて見にくい。
確かに文字を拡大したりはできますが、画面自体には制限があるので、全体を大きくすることはできません。
個人的にはこれが与える心理的影響は大きく、使いにくいなとしばしば感じます。
ページを飛ばしたり、ざっと流して必要な情報を探すときも、どことなく手間を感じます。
書き込みをするときも、余白に自由に書き込んだり、付箋を貼ったりした方が楽で分かりやすいく使いやすい気はします。
この手軽さは、デジタル教科書を擁護する人は同じだと言いますが、どうも違うような気がします。

これは旧世代の人間の感想なのかもしれません。
デジタルネイティブの生徒たちなら何の問題もないかもしれません。
ここは今後の調査が求められます。

しかし、勉強に関して言えばやたら便利で楽になり、苦労がなくなるのは良いことではないように思われます。
人間の頭脳は困難に直面し、試行錯誤して徐々に学んでいくものです。
簡単に分かったものは印象に残らず簡単に失われてしまうのではないかと心配します。
しかも、画像などで情報や知識は簡単にたくさん得られるのですが、実感を伴った真の知恵としての勉強はあまり身に付かないのではないのでしょうか。
また、便利すぎて反って分からなくなることもあります。
インターネットにあふれる情報からどうやって選択をしていけばいいのか、生徒たちが反って混乱するの懸念の一つです。

いずれにしても、これからの問題なので現段階では何も言えませんが、これまで以上の教育効果を出すにはどうすればいいか、十分に活用するにはどうすればいいか、常に振り返りながら検討を重ねる必要があります。

4.子供たちの使用の制限はどこまで、壊したときはどうするのか
タブレット端末などを使うデジタル教科書はこれまでのものと違い高価な教材です。
しかし、子供たちが使うのだからトラブルが発生したり壊れたりするのは当然です。
その時、子供たちは弁償しないといけないのでしょうか。
そうでないのであれば誰が補償するのでしょうか。

また、インターネットのアクセスには注意が必要で、思春期の生徒たちに不適切なサイトなど、その使用は無制限にしない方がいいのですが、その線引きはどのようにするのでしょうか。
同様にデジタル教科書を始めとするデバイスの使用を、生徒たちにどこまで許すのでしょうか。
先日、試験的にタブレット端末を生徒に与え授業で使ってみたという話を聞きました。
生徒はすぐに使い方を覚え、先生以上に使いこないしていたようです。
その中の一人の女の子が、自分のペットを撮影編集し非常に体裁のよい動画としてSNSに投稿したのですが、これは学校の勉強には直接関係ないことであり、許可された使い方でないからと注意されたそうです。
しかし、これは本当に不適切な使い方だったのでしょうか。
本人が積極的に考え創造したものを、学校の勉強と直接関係がないからと単純に切り捨てていいものでしょうか。
彼女の素晴らしい才能の発芽を否定したように私には感じられ残念です。

先生が柔軟に生徒たちを見て対応できる裁量を認めることも必要に思われますが、果たして現場の先生が本当に適切に判断できるかと言うと、そうも思われない気がします。
どこまでの使用を生徒たちに認めるのかというのは本当に難しい問題です。

本当はまだ書くべきことはあるのですが、少し長くなってきたので今日はここまでとします。
また、この件に関しては投稿します。

教育が大きく変わり混乱しています。
そこで様々な問題が発生するのは仕方ないことではありますが、最低限生徒たちの学ぶ権利をしっかり守って取り組んでほしいと思います。
そして、何よりこの改革が生徒を第一に考えてのことであること。
一部の人々の利権のために利用されているのではないことを願っています。

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