塾長ブログ
2020.08.18
「意外と難しいイギリスの小学校の問題」の解答。どうでしょう。こんなの無茶だという声も聞こえてきそうですが、実は日本政府の目指す教育はこのような思考ができる子供を育てることです。
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この問題はイギリスの「Daily Mail Online」というサイトに載っていたものです。
まずは問題の確認をします。
問題:上のイラストを見て、次の問いに答えなさい。
1.何人の子供たちがキャンプに来ていますか。
2.彼らがついてのは今日ですか、それとも何日か前ですか。
3.彼らはどうやってここに着いたのでしょうか。
4.近くに町はありますか。
5.風は北から吹いていますか、それとも南から吹いていますか。
6.今、一日のいつごろでしょうか。
7.アレックスはどこに行きましたか。
8.昨日の当番は誰でしょうか。
9.今日は何月何日でしょうか。
ヒント
このイラストはイギリスと考えてください。
「ON DUTY」は「当番」という意味です。
子供たちは夏休みを利用してキャンプに来ています。
では解答。
1.4人。
イラストに描かれている子供は3人ですが、シートの上のスプーンとお皿は4人分あります。従って、描かれていないもう一人がいると考えます。
2.何日か前。
テントと木を結んでいるひもに蜘蛛の巣が張っています。ということで、彼らの到着は今日ではないということが分かります。
3.ボート
木のところにオールが立てかけてあります。よって答えはボート。
4.近くに町はない。
イラストに鶏が描かれています。小屋に入っていないところから野生の鶏と判断できます。従って町の近くではない。
5.南から。
テントの旗が左から右になびいています。では左側は北か南かということが問題になります。気を見てください。木の葉は南の方が太陽を多く浴びられるので、南側が茂ります。よってイラストの左は南ということが分かります。
6.午前中。
イラストの影に注目。手前から奥に影が伸びています。先ほどの質問でイラストの左が南と分かったので、影は東から西の方向に伸びていることが分かります。ということは、太陽は被害の方角にあるということです。従って答えは午前中、朝方でしょうか。
7.アレックスはちょうちょを追っかけている。
テントの後ろの茂みの向こうにちょうちょを追っかけている虫捕り網が見えます。これがアレックスです。先ほど4名いるのに3名しか描かれていないと言いました。その描かれていない1名がアレックスです。
8.コリン
右の木に貼ってある「ON DUTY」の紙に注目。数字は日にちを表していると思われます。そうするとコリンは7日、ピーターが8日、ジェームスが9日。10日は隠れて見えませんが残るメンバーはアレックスしかいないので彼が10日の当番と分かります。左側でリュックを開いている子供を見てください。リュックに「C」のマークがあるので、彼がコリンです。真ん中のリュックには「J」のマークがあるので、これはジェームスのものです。では、ジェームスはどれでしょうか。よく見るとリュックにカメラの三脚が見えます。そうすると後ろでカメラを持っているのがジェームスと分かります。アレックスが先ほどちょうちょを追っかけているのが分かったので、今日の料理当番はピーターと分かります。よって今日は8日と分かり、昨日の当番はコリンとなります。
9.8月8日
先ほどの問題で今日が8日と分かりました。では、何月でしょうか。スイカがあります。よって季節は夏だと分かります。7~9月頃かと思えますが、7月8日、9月8日は夏休みではありません。しかもイギリスでは8月がスイカの旬とされています。よって、8月8日。
以上です。
答えが違っても理由がきちんと成り立っていれば正解とします。
なぜこんな数式も使わない問題が数学の問題なのでしょうか。
数学とは計算だけではありません。
数学を単なる計算演習と考えると、「数学なんて社会に出て役に立つの?」と思ってしまいます。
これは数学を誤解しています。
「論理的説明」こそが数学の本質です。
イラストをよく観察し、条件・証拠を見つけ、筋の通るように説明できるのが大切です。
計算などは、この論理的思考を訓練するための道具の一つに過ぎません。
論理的思考は仕事をするうえで、そして生きるうえで大変重要です。
だから、数学は学ぶ価値があるのです。
問題をやってみた感想はどうでしょうか。
「こんなの無茶だ。」「こじつけだ。」なんて声も聞こえてきそうです。
しかし、現在教育改革を行っている日本政府が目指す教育が、このような思考をできる人材を育てることです。
学校で学んだ基礎的内容を活用して、自分なりに考え、論理的に解答を導き出すという高度な生徒を育てようとしています。
これまでの暗記中心ではなく、未知の問題に自分なりの答えが出せるようになる。
まあ、暗記中心の基礎的内容ですら十分に習得させるのは難しいのに、さらにその上をいく教育が可能なのか。
しかし、文科省はやると決定した以上、可能不可能は別として学校教育で実践します。
俗に言う、「21世紀型教育」です。
この日本の教育改革による新しい教育に関してはこれまでも触れたことがありますし、今後も議論したいと思います。
でも、今回の小学生の問題を見て、理想とする教育と現実に実践可能な教育について考えるきっかけになればと思います。
そしてその間で、日本の公教育の実験台に子供たちがなってほしくないと願います。
文科省は「ゆとり教育」のときのようにうまくいきませんでしたで終わり、その教育を受けた生徒たちの保障は何もしていません。
今回も政府の面子のために子供たちが犠牲になることだけはやめてほしいし、あってはならないと考えます。
葛西TKKアカデミーも大人の都合の犠牲者に子供たちがならないように、彼らの力になりたいと望んています。