塾長ブログ
2020.10.04
今年も恒例の『国語に関する世論調査』が発表されました。言葉がどのように変化しているのか。自分たちは正しい日本語を使っているのでしょうか。
秋と言えば「スポーツの秋」「食欲の秋」「芸術の秋」などいろいろ言われます。
私にとって秋と言えば何度言っても「国語に関する世論調査」の秋です。
毎年秋になると文化庁から『国語に関する世論調査』が発表されます。
皆さんご存知でしたか。
日本語がどのように使われているかなどをアンケートにより知らべ、毎年文化庁より発表されます。
今年も調査結果が報告されましたので、本日はそれについて触れてみたいと思います。
『国語に関する世論調査』は日本語の実用に関して文化庁が国民に対して世論調査したもので、今年は国語や言葉への関心、表記、読書、慣用句などの言語の知識と使用について調べられました。
今回はその結果から個人的に興味深いと思った点についてお話しいと思います。
今回の調査で注目する点としては、「国語の乱れ」に関するアンケート結果です。
以前は「ある程度乱れている」「非常に乱れている」が合わせて6割以上で、逆に「あまり乱れていない」「全く乱れていない」が1割ぐらいでしたが、乱れていないとするグループは年々増え、今年は約3割にまで達しました。
これをして、日本人が言葉の乱れに対して寛容になってきているとニュースなどでは報じています。
SNSなど自分を発信することが簡単に、そして頻繁にできるようになり、表現の多様性が増え、人々もそれらに触れる機会が増えたためではないかと考えられます。
このようは社会背景から言葉は多彩である方が自然と考える人が多いのかもしれません。
ここで注意したいのは、多様だからと言ってその言葉が全ての人に共有されているわけではないということ。
むしろ一部のグループにしか通じない、仲間内だけの言葉が増えているように思います。
これは言葉の豊かさを言うより分断に近いのではないかとも感じますが、とにかく世間的には様々な人が多様な言葉を使うことに対して受け入れる傾向にあるということみたいです。
「乱れている」の中身をもう少し吟味すると、「敬語」「若者言葉」を指摘する人が多く、共に全体の6割以上となっています。
続いて、「新語、流行語」「挨拶言葉」が共に3割以上となっています。
これらの言葉の使い方で、人によっては非常に強い嫌悪を感じるようです。
意外なことに、「敬語」の使い方で乱れているとした人は30代で最も多くなり72%、それから年齢を重ねるごとに乱れているという意見は下がっています。
敬語は高齢者より30代の方が気になるみたいです
また、「若者言葉」を国語の乱れとしているのは10代が飛びぬけて多く84.4%となっており、他の世代が50~60%辺りなのを考えると、少し異常に思えます。
若者は「若者言葉」を乱れとして最も気にしているということでしょうか。
これはとても面白い結果です。
調査は他に外国人と日本語に関する意識について多くを割いており、こちらも興味深い結果となっています。
この点も後日触れたいと思います。
そして恒例の言葉遣いに関する調査を行われています。
いつもの「敬語」に関する正しい表現の仕方、慣用表現の正しい理解もあります。
最近よく耳にする「○○活」や「○○ハラ」について書かれています。
こちらも面白いので後日書きます。
毎年『国語に関する世論調査』は楽しみにしているのですが、毎回興味深い発見があります。
言葉は時代と共に変わるもの。
社会や人々の考え方が言葉の変貌に影響するし、変貌した言葉が人々の思考や社会風潮を大きく変えます。
言葉は身近で重要な割に、気楽に使える便利な道具です。
道具である以上、それらをどのように使うかで人々の暮らしを良くも悪くもできます。
手軽だからと言って安易に使うのではなく、時には言葉の本質を考えながら、現在の言葉のあり方について考えるのも大事ではないかと感じます。