塾長ブログ
2021.01.29
面白いアンケート結果が出ました。やはり高校生はコロナ禍で教育格差が開いたと感じているようです。
先日、アンケート結果を見つけたので紹介します。
それは日本財団による『18歳意識調査』です。
これは18歳の若者を対象にインターネットで行われた調査で、18歳の若者が何を考え思っているかを調べたものです。
今回で33回になるのですが、これまでも「18歳成人」を皮切りに恋愛や入試、働くことや環境など様々なテーマがありますので、是非ご覧ください。
非常に興味深いです。
今回は「教育格差」がテーマだったのですが、18歳の若者の4割以上は他の人と比べて教育格差を感じているようです。
その理由は家庭に勉強に適した環境がないとか、経済的格差で塾などに行けない、身近に勉強を教えてくれる人がいない、学校の指導が不十分、オンライン授業が受けられないなどあります。
これらの理由の多くはもうすでに備わっているもので、自分一人では改善できないような事柄が多いように思えます。
本来教育は平等でなくてはいけないはずなのに、出自などにより、より恵まれた家庭はより高等の教育が受けられ、そうでない家庭は本人が望んでも叶えてあげられない現実が垣間見られます。
教育は社会的地位の流動性を生み出すもので、これが機能していると社会は比較的平等になりますが、そうでないと社会格差は広がり、その広がった格差がまた教育格差を生み、更に社会格差を広げていくという循環が生じます。
実際に、多くの人が今の社会は以前より貧富の差が大きくなったと感じています。
教育においても当事者の若者もそれを感じるくらい、格差による違いが大きくなっているのでしょう。
現に教育格差の原因の一位は「家庭の経済力」で他を大きく引き離し25%になっています。
これから「教育格差は広がるか」という問いに対しても半数以上が広がると思っているようで、その理由の第一位はやはり家庭の経済力の差でした。
これまで教育は家庭の状況に関係なく等しく与えられるべきと考えられてきましたが、現実はこれがすでに崩壊し始めていることを示唆しています。
更に教育格差について「是正が必要か」という問いに対しては必要と答えた人が約55%で若者にもこの問題の重要さが理解できていると思えます。
そして、その是正方法としては「高等教育の無償化などの制度整備」が最も多く、他にデジタル環境の整備など、特に今回のコロナ禍で指摘されたことが述べられていました。
続いて、国家予算に対する教育の予算について「少ない」との回答が6割以上もあり、政府の教育に対するあり方に疑問を持つ若者が多いことが分かります。
進路に関して、8割近くが進路について相談できる相手がいるようで、最も多かったのが親でした。
一方、相談相手がいないと答えた人の理由としては、身近にふさわしい人がいない、何を相談していいか分からない、相談するのにためらいがあるなどがありました。
相談するということはそこに信頼関係がある訳です。
親が一番多かったということは単に身近な存在というだけでなく、信用できる間柄が成立しているのでしょう。
しかし、コロナ禍で仕事が減り、収入が減り、感染防止のため生活にも多くの制限がかけられてくると、大人の間でもゆとりがなくなり、じっくり子供の話を聞く余裕がなくなり(心の余裕だけでなく、時間的、肉体的余裕も)、イライラして子供に当たってしまうこともあるでしょう。
そうなると、子供は信頼を裏切られたと失望し行き場を失うかもしれません。
現実にそうなると難しいのですが、どのような状況でも子供たちのためには落ち着いて対応できるようでないと、彼らを失望や絶望から救ってあげることは難しいでしょう。
大人は気をつけないといけませんね。
更に調査は明確に「コロナ禍で教育格差が広がったか」聞いています。
結果は半数以上がそう感じているとなりました。
更にコロナ禍で教育格差が広がったと答えた人の45%はそれが進路にも影響あると答えています。
実際にどのようなことがあったか聞くと、就職において希望業種の範囲を広げたとか、思ったように成績が伸びず入試方法を変更した、進路先の地域や経済的理由から希望先を変更した、部活がなくなり進学に必要な成績が残せなかったなどがあります。
また、コロナウイルスによって学習意欲にどのような影響があったか尋ねると、6割が「変わらない」と答えた一方で、3割は「学習意欲が下がった」と答えています。
なかなか興味深い結果として拝見しました。
本当に社会の流動性を生み、みんながチャンスを手にできるようにするには教育は重要な問題です。
不景気、コロナ禍、見えない将来の展望。
実際に生徒たちと接していく中で、なかなか若者が明るい未来を感じにくい時代になっていると感じます。
彼らに夢と希望を持たせてあげるためにも教育は大切で、教育格差の問題は緊急事項として真剣に取り組むべきです。
この調査を通して、政府などの機関としての対応も大事ですが、彼らの身近の問題として、我々周囲の大人もしっかり考え改善する努力が必要だと改めて考えました。
先ずは自分のできることから、若者の未来に貢献したいと思います。