塾長ブログ
2022.06.15
宿題はやればいいというものではありません
学校の宿題は何のためにあるのか。
先生がいじわるをして生徒から遊ぶ時間を奪うために出しているのではありません。
学校で学んだことを自分のものとして、より確実に定着させるためにあります。
従って、やはり宿題はきちんとするのがいいです。
毎回の宿題を正しくやって、その時その時しっかりと勉強を身に付ければ、定期テストや入試で慌てる必要は全くありません。
小学校低学年
小学校低学年での宿題の役割は授業の復習というのもありますが、家庭での毎日の勉強習慣を付けることも目的のようです。
これから学年が上がるにつれ毎日の宿題の量も増えますが、そんな時も抵抗なく学習態勢に入れるように、意識しなくても一定時間勉強できるように、体を慣れさせ勉強に対する肉体的精神的体力をつけます。
先生がおっしゃる宿題を難なく受け入れやれる(先生との約束を守れる)ような習慣を身に付けさせます。
これが基礎となって、その後難しい宿題が出たときもこなせる耐性を得るのです。
小学校低学年で宿題をやらない癖をつけてしまうと、勉強ができなくなるだけでなく、定期試験や入試などで、自分から家庭学習をしないといけないとき、精神的に勉強に耐えることができず集中力も続かなくなります。
小さい時から出された宿題をきちんとやることはこういう意味でも大切です。
勉強を確実に身に付けるための宿題
家庭での学習習慣が身に付き学年が上がってくると、いよいよ本格的に勉強としての宿題をすることになります。
授業では時間的制約があるので、時には内容の説明で終わり実際に問題に取り組む時間が十分にないことがあります。
これを補うために宿題が出されます。
学校で習ったことを本当に理解し、実際に使いこなせるかを試し確認するのです。
より多くの問題に触れることで練習を増やし、学習内容の習得をより確実なものとします。
ここで注意しないといけないことは、ただ問題を解くだけではダメだということです。
授業で習ったことに従って問題を解いてみる。
そして、それが正しいか丸つけをして確認する。
ここで終わる生徒が多いですが、本当の勉強は実はここからなのです。
丸つけをして自分が解けなかった問題がはっきりしたら、解答の解説や先生や友達に教えてもらって、自分のどこが悪かったのか、何が足りなかったのかを分析します。
そして、できなかった原因を突き止め、正しい答えの導き方を覚えもう一度問題を解く。
これを繰り返し、全ての問題が解けたら初めて宿題が終わるのです。
丸つけだけで終われば、それは自分の力を伸ばすことにはつながりません。
とは言え、家での限られた時間内に全てをするのは難しいでしょう。
しかし、理想を目指して努力することが大事なのです。
こうして毎回の宿題を着実にこなし、勉強をきちんと身に付ければ、後で慌てて同じところを勉強する必要がなくなります。
これは特に受験勉強のときに大きくものを言うので、日頃から心がけて宿題をしましょう。
やってはいけないこと
これは特に勉強できない(しない?)生徒に多いのですが、答えを丸写しにして宿題や課題をやったことにするのはやめましょう。
形式的には宿題をしたように見えますが、何も勉強が身に付いていません。
だから、結局テスト前などにもう一度やらないといけないのです。
もう一度やってくれればいいのですが、このような生徒の多くはそれもしません。
テスト結果が悪いのは当然です。
この解答丸写しの勉強で、勉強してなくてもごまかせると味をしめてしまった生徒は不幸です。
自分から勉強しなくてはという気持ちもなくなり、どんどん勉強しなくなります。
勉強しないから解けないし期限に間に合わない→解答を丸写しする→ごまかせたと安堵する→実は何も身に付いていないので問題が解けない→解答を丸写しする・・・
こんな風な負の連鎖に陥ってしまいます。
そうなると抜け出すのは至難の業で大変苦労します。
しかも、勉強ができなくなるだけでなく、丸写しの目的である「ごまかし」も実はできていないのです。
先生方は生徒たちが本当に考えて解いたか、単に答えを写しただけか、すぐに分かります。
あまりにも完全無欠で綺麗な解答は高らかにごまかしているといわんばかりです。
先生は生徒一人一人をよく知っているので、「この生徒がこんな解答できるはずがない」とすぐに分かります。
また、テストの結果を見れば、その生徒が勉強しないで解答を写しただけというのは簡単にバレます。
それをあえて言わないのは、それは生徒の自己責任であり、後で困るのは本人だということを知っているからです。
テストで成績が悪く評価が下がるのが分かっているからです。
勉強が身に付かないし、後でまたやらないといけないし(やる生徒はまだましです)、実はごまかしも成立していない。
それならば解答を丸写しする意味は何なのでしょうか。
ちょっとしたその場しのぎになるだけで、後で自分を窮地に追い込むことは間違いありません。
ある意味可哀想でもあります。
宿題をやるタイミング
宿題はいつするのがいいのでしょうか。
その日に習ったことをその日のうちに習得するのが一番です。
よく授業から何日か過ぎて宿題をする生徒がいますが、これはお勧めできません。
なぜなら時間が経てば経つほど記憶があいまいになり、授業でやったことを思い出せなくなるからです。
教育に関して、よく「忘却曲線」に触れられることがありますが、これは「記憶というのは時間が経つほど失われる」というのをグラフで示したもので、右肩下がりの曲線ができます。
しかし、記憶の新しいうちにもう一度やる、または何度か繰り返すと忘却曲線下降が緩やかになることが分かっています。
つまり、授業で習ってすぐ宿題をした方が勉強を習得しやすいということです。
本当のことを言うと、宿題は一度で終わりにするのではなく、次の授業までに2、3回やるのが理想です。
時間を置いてできるか確認して、できない分を補強すれば、学習内容がよりしっかりと身に付きます。
時間を置いて繰り返すというのは非常に良い勉強方法です。
なぜなら、勉強は教わるインプットだけでは不十分で、実際に問題をやってアウトプットしてみることでより定着し理解が深まるからです。
毎日の授業は前回やったことが基になって新しいことを学ぶ場合がほとんどです。
よって、授業は前にやった内容が習得できることを前提としているので、例えば問題が解けなかったりすれば、できるようになるまでやらなくてはいけません。
宿題をせず、ごまかして分からないままで授業を受けては、内容がさっぱり理解できません。
前出の勉強ができてなければ当然新出事項も分からず、「できない」がどんどん増えていき成績も下がり、勉強をするのが嫌になり脱落していくのです。
そうならないためにも、毎日の宿題をできるだけ早くコツコツ真面目に取り組み、分からないことがあったら解説を見たり、人に聞いたりして全て解決しましょう。
面倒かも知れませんが、勉強は「面倒な」ものです。
だから、ごまかしたりせず正しくすることが、実は自分にとって一番有益なのです。