塾長ブログ

2022.09.12

部活をやっている生徒は受験に有利or不利?!

部活をやっている生徒は受験に有利or不利?!

部活をやっている生徒の親御さんから、「自分の子供は部活で忙しく勉強の時間も他の子より少ないけど大丈夫なのか」とよく相談を受けます。
「部活をやると勉強が疎かになるから入試でいい学校に入れない」と言って、部活に参加することをよく思わない人もいます。
果たしてどうなのでしょうか。
本当に部活は勉強にマイナスなのか、部活をすると勉強ができなくなるのか考えてみましょう。

部活は受験にプラスorマイナス

結論から申し上げますと、部活は受験に直接かかわらないので、部活をやっていれば受験に有利ということはありません。
都大会や全国大会で優秀な成績を修めたのならば、総合所見や部活動の記録において触れられるかも知れませんが、これもスポーツや芸術系の推薦を受けるのでなければ、一般入試においてさほど合否に影響を与えないと思います。
部長、副部長経験者も記録はされますが、合否判定の評価にはなりません。
一部私立高校の入試で内申点に「1」加算されることもありますが、部活をやって記録を残して「1」得ることと、部活よやらず勉強に集中して内申点を多く上げることを考えると、受験という範疇に限って言えば、後者の方がずっと効率がいいように思えます。
部活動などによる内申点への加点はあくまでも「おまけ」と考えて、部活を頑張ってこれで合格を勝ち取ろうとは夢にも思わないでください。
部活にかける時間、エネルギー、費用があれば、その全てを受験に回した方が受験には有利です。
なぜなら、部活は直接入試の合否に関わらないからです。

では、部活は受験において無意味でしょうか。
これに関しては、大きく次の三点から否定できます。

1.受験への間接的な効果

受験が中学で学んだ知識量のみで合否が決まるのならば、部活動に時間を費やすことは入試で合格する妨げになるだけかも知れませんが、残念ながら受験はそんなに単純ではありません。
精神的に未成熟な中学生では、特に精神が受験勉強及び入試に与える影響が非常に大きいのです。
部活は生徒たちの心の成長に大いに貢献します。

受験勉強は非常に苦しくつらいものです。
時にはその苦痛から逃げ出したくなることもあります。
そんな時、部活でつらい練習を耐え抜いた経験があれば、受験勉強の苦しみも乗り越えることができるでしょう。
この忍耐力は部活をしている生徒の方が一般的にあると言えます。
受験のストレスやプレッシャーに打ち勝つことのできる強い心が育ちます。
また、効率のよい勉強をするには集中力というものが不可欠です。
これも部活を通じて養うことができます。
自分の最高のパフォーマンスを引き出すために、ここ一番で集中力を高める。
いい例がオリンピック選手です。
学生のオリンピック選手もいますが、その多くが学業においても優秀な成績を修めています。
これは自分のやるべきことを受け止め、短い時間に集中して勉強しているからです。
最後に目的に向かって必要なノルマを自覚をもってこなしていける責任感も部活から身に付けることができます。
受験勉強には自分に足りない勉強を一つずつこなしていくことができないといけません。
自分のやるべきことをきちんとできるのも受験勉強に必要な要素です。
忍耐力、集中力、責任感というのは入学試験を受けるときも同じです。
試験を受けている最中でもこれらが切れてしまえば、自分の力を100%発揮することはできません。

このように部活は、英単語を覚えたり方程式が解けるようになったりと直接受験勉強に役立ちはしませんが、受験勉強と合格をより確実にするための要素、勉強の土台としての要素を養うのに非常に有益です。
実際に部活をしている生徒は、それまで成績がいまいちでも、部活引退後急激に成績が上がることが非常に多いです。
それは部活を通じて勉強に必要な精神が育っているからだと言えるでしょう。

2.充実した生活への効果

更に、部活をすることで日々の生活を充実させることができます。
運動をした方が精神的安定も生まれますし、肉体的にも成長期の生徒たちには有益です。
部活で思いっ切り体を動かし、ぐっすり眠れることはストレスを発散し、健全な精神を保ちます。
部活を通じて苦難を共にした仲間がいれば、それは生徒一人一人の安心感にもつながりますし、この仲間意識を上手く利用すれば、同じ入試という試練に立ち向かうとき助け合うこともできるでしょうし、ライバルとしておtが害に切磋琢磨することもできます。
部活をしないで一人孤独に受験に挑むのもいいですが、このような苦楽を分かち合う仲間意識は部活で得られることがあります。
ただ、この仲間意識が馴れ合いにならないように注意する必要はありますが。

部活で心身ともに成長し、充実感のある生活を送り、苦楽を共にした仲間ができれば、つらい受験勉強も乗り越えられるし、後の人生で振り返ったときに良い思い出にもなります。
そして、これらの経験がその後の長い人生においても強く生きる糧になると思います。
受験という短い期間ではなく、人生という長い目で見た場合にも、部活をすることは十分意義があると考えられます。

3.人生の学びとしての効果

部活では、生徒たちは自分とは違う多くの人々と関わらないといけません。
そして、様々な人々と良好な人間関係を築くにはどうすればいいか学ぶことができます。
最近は特に、SNSの発達などにより、昔と比べて様々な人々と接する機会が減っているように感じます。
自分が分かり合える同質の人間としかつながらず、異質な人とは相互理解に手間がかかるので関わらないということも簡単にできてしまうからです。
昔は家族も多く三世代だったり、多くの近所の人との関わり多かったりして、嫌がおうにも老若男女様々な人々と付き合わないといけない場面が多々ありましたが、今は違います。
そんな現状において、部活は多様な人物と触れ合い、良好な人付き合いの方法を学べるチャンスでもあります。
人付き合いは長い人生において重要な問題ですが、受験勉強においても効力を発揮します。
これが上手ければ多くの人の助けが得られるからです。
特に勉強を教えてもらうとき、上手に人と交流ができれば多くのことを教えてもらえます。
こうした点も部活をしないで受験勉強のみに日常を捧げる生徒には得難いものでしょう。

今回は受験と部活というテーマで考えてみました。
本当に受験勉強という視点のみで議論するなら、部活は時間の無駄かも知れません。
しかし、部活で生徒が得られるものは、実は受験勉強を裏で支えるのに重要なものが沢山あることが分かります。
更に、部活で身に付くことの中には、受験勉強という狭い視野でなく、人生という大きな視点で考えたとき、人生を豊かにしてくれるものも数多くあります。
受験勉強という一点のみにおいて、部活を捨てるというのは何だかもったいないような気もします。
実際、部活をしないから必ずしも成績が上がるという訳でなく、むしろ部活をやめてできた時間をゲームなどの遊びに使い、反って成績が下がるということもよくあります。
要は本人の自覚しだいということも忘れないでほしいです。

以上のことを踏まえて、入試を目指す生徒として部活をどのように捉えるべきか見直してみるのもいいかも知れません。

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