塾長ブログ

2022.09.17

SNS・インターネットと文字に触れる機会は増えているのに生徒の読解力は下がっている?!

SNS・インターネットと文字に触れる機会は増えているのに生徒の読解力は下がっている?!

最近はスマートフォンなどの端末を多くの生徒たちが持つようになってきました。
暇さえあれば、インターネットでブラウジングをしたり、SNSで友達とリアルタイムでメッセージ交換したり。
一昔前ではこんなことはできませんでした。
結果として、現在の生徒たちは我々が学校に通っていた時よりもより長く、毎日の生活の中で活字に触れる機会が増えています。

しかし、一方で生徒たちの読解力や文字を使った表現力を考えますと、綿密な調査をしたわけではないので私の個人的感覚になってしまいますが、どうも年々下がってきているような気がします。
国語の長文を読んでも何が書いてあるのか、論理的に理解できていない。
教科書に書いてあることがよく分からない。
作文などで文章を書くことが下手で、適切な語彙を使って読者に正確に自分の意図を伝えることができない。
このようなことが教育現場においてよく起こっています。

一見逆説的に見えますが、どうしてなのでしょう。
今回はこの点について考えてみたいと思います。

文字に触れて自分の好きな情報を集め、文字を使ってメッセージを発信することが日常になっている生徒たちの読解力や作文力が落ちているのはなぜでしょう。
原因はいろいろあると思いますが、いくつかの理由として次のようなことが挙げられます。

インターネットやSNSで得られた情報は本当は分かっていない

脳科学的には、スマートフォンやパソコンを使って得られた情報を脳は本当に理解している訳ではないそうです。
この時の脳は本で勉強しているときと違って、緊張感がなくむしろ弛緩している状態だそうです。
だから、情報が頭に入ってきても、それをきちんと処理して内容を整理している訳ではないそうです。
その瞬間は求めた情報を手にして満足しているかも知れませんが、その情報は長く記憶に残りません。
たくさん文字や文章に触れていても、大量の情報が脳になだれ込んでくるだけで、受動的な脳では読解力は訓練されません。
ここが本などを読むときとの大きな違いになります。

スマートフォンを手にした生徒たちはインターネットブラウジングやSNSに忙しくなります。
単純に面白いから、友達付き合いだからと理由はいろいろあるでしょうが、一日という限られた中でこれらの時間が増えれば、本を読むなどの本当の読解力を養う時間が減ります。
彼らの文章を理解する力が伸びないのは当然のことと言えます。
むしろ、スマートフォンなどで文字に増える機会が増えたからこそ、読解力が落ちてしまうと言っても過言ではないでしょう。

同じパターンの決まった形の短い分しか読まないし書かない

パソコンやスマートフォンなどが普及し、生徒たちの活字に触れる機会が増えたにも関わらず、彼らの言語能力が落ちている理由の一つとして、彼らが特定の決まった人々としか交流していないということも挙げられます。

SNSはメンバーシップを作ってから交流が始まるので、自分の気に入ったメンバーとだけメッセージを交換することになります。
その結果、学校の友達など非常に狭い範囲の自分に近い性質の人間とだけコミュニケーションをとることになります。
お互いによく分かりあえる仲間なので、言葉の表現も非常に省略されて(「了解」が「り」になったり、良いことも悪いことも全て「やばい」の一言で済ませたり)もある程度分かり合えるのです。
必要ならその場で聞き返すこともできるので、一つの文をじっくり考え相手が本当に正確に理解できるように表現しようなどということはしません。

昔のように嫌でも多様な人たちと交流しないといけない環境では、自分が理解してもらうための工夫をして発信するし、相手の意図を正確につかむために真剣に相手の言葉に向き合わないとけませんでした。
多様な人たちと交われば自然と多くの表現に触れる機会が増え、それが勉強となり読解力と表現力を養うことができました。
パソコンやスマートフォンなどにより均一の限られた人間との交流が簡単にできてしまう現在では、生徒たちのそのような力が育ちにくくなっています。
(パソコンやスマートフォンは世界中の人々をつなぐことができますが、実際には限定された人以外の人間との交流を阻害するように働いている気がします。)

スピードばかり要求されじっくり考える時間がない

SNSはLINEグループを見ても分かるように、一対一のやりとりをするというよりはグループでの交流の場合が多いです。
多くの人が自分のタイミングで好きなことを次々と発信するので、タイミングを逃すと話についていけず、自分の発言の機会を逸するということもあります。
よって、このような場ではスピードが何よりも優先され、内容はあまり吟味されません。
正確に相手の意図を推し量る時間はなく、発信も深く考えられずに行われます。
このようにSNSは短く瞬間的に書かれるものなので、テストの問題や小説などのようなじっくり考えて書かれ深い内容を含蓄しているものではありません。
従って、SNSにいくら長く参加して文字に多く触れようとも、長文などの文章に慣れ内容を正しく読み取る訓練にはなりません。

このように普段から多少長い文章にも慣れていない生徒には読書や作文に対する忍耐力や基礎体力がなく、長い文章を見ただけで気力が失せてしまうということが多々あります。
文章を読む前に見ただけで嫌になってしまうのです。
上記のようにSNSのせいで普段から長い文章を読むことに慣れていないことが原因と思われるので、積極的に読む機会を作り訓練させることで克服できるかと思います。
しかし、時間的にゆとりのない生徒たちに果たしてそれができるのか疑問も残ります。
生活にゆとりを持たせるには、毎日の生活リズムをきちんと決め、そのスケジュールをしっかり守りながら毎日を過ごすのが有効です。
ただ、そのスケジュールを守らせるのが大変ですが。

今回はパソコンやスマートフォンが普及し、これらのツールを通して検索したりコミュニケーションを取ったりして、生徒たちの言語運用において文字に触れる機会が増えているのにどうして

また、生徒たちはSNSが忙しくなって、家庭での勉強時間が奪われてしまっています。文章の読解力や表現力が落ちているのかという問題を考えてみました。
理由はいろいろあるでしょうが、これらのツールが表面上言語活動を活発にしていますが、その中身は言語能力の発達にはあまり貢献しておらず、むしろ、妨げになっているという話をしました。

生徒を取り巻く環境はそれ以前の世代とは大きく変わってきており、我々が遭遇したことのない問題も発生しています。
例えば、友達から際限なく送り付けられるSNSは止め時が難しく、勉強の大きな妨げの一つとなっています。
このように、今の生徒たちはある意味、我々の時代に比べ勉強しづらい環境の中で暮らしていると言えます。
(この現代の社会環境が勉強を難しくしているという点は別の機会で議論したいと思います。)

目まぐるしい世の中の変化の中でいかに教育の質を落とさず、生徒たちにとって有意義な学びを提供できるか、葛西TKKアカデミーは常に考えてまいります。

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