塾長ブログ

2022.09.26

大人の何気ない言動が子供に悪い影響を与えているかも(その一)

大人の何気ない言動が子供に悪い影響を与えているかも(その一)

「子は親の鏡」などと言いますが、子供の考え方や言動が親に似てくるという意味です。
いつも身近に接する親が子供に与える影響は大きいものです。
子供の問題も、実は親の影響が原因であるこも多いのです。
今回は親の態度が子供に与える影響について考えてみます。

子供は親(大人)のことをとてもよく見ています。
分からないようにこっそりやったつもりでも、実は見られていたということはよくあります。
そして、子供は大人の行動を見ながら、自分の行動を行います。
良い行いならいいのですが、多くの場合は親の望まないような言動をしてしまいます。

注意しても「お父さんやお母さんもやっていたじゃない」と言われると、ぐうの音も出ませんよね。
「大人だからいいの」なんて無茶な理屈をつけても、子供は納得せず余計に大人への懐疑心を増してしまいます。
または、「大人は自分の都合のいいことばかり言う」と大人への信用を失う結果になることもあります。
「現実は理不尽なことだらけ」と教えてしまうのも悪くないですが、子供の精神的成長段階と説明の仕方に注意しないと、反って社会に対して失望してしまうかもしれません。
いずれにしても、子育てがやりにくくなるのは困ります。

こうならないためには、やはり我々大人自身が普段から自分の言動を律し、子供への影響を考えながら立ち振る舞わないといけません。

子供に接するとき大人が注意すべきこと

1.子供を一人の人間として対等に扱う

よく幼児や小学校低学年の児童に多いのですが、他の子供を「バカ」と言ったり、たたいたりする子供がいます。
そのような子供は、家庭で親から「バカな子ね、何でそんなことするの」と言われたたかれ怒られていたりします。
親としては何気なく言って、躾としてたたくかも知れませんが、そうされた子供は自分も同じように他者に対して同じ行動を繰り返します。

学びの基本は「真似る」ことなので、親のことをよく見て同じことをするのは成長においては至極自然なことです。
しかし、社会的立場などはまだ理解できないので、「大人はいいけど子供はダメ」という理屈は通用しません。
大人が「大人はいいけど子供はダメ」という考え方を持つのは、それが楽だからです。
そして、それを正当化させるのが「大人は上で指導し、子供は下でいいことを聞かないといけない」という上下関係の概念でしょう。
確かに、上下関係にしてしまえば言うことを聞かせるのは楽なのですが、子育てにおいて楽を優先させるといびつな事態が起きることが非常に多いので注意しないといけません。
親が支配的な姿勢ばかりとると、子供は委縮し人の顔ばかりうかがう神経質な性格になってしまう恐れがあります。
または、ほかの子どもに対して高圧的な態度をとるような子供になるかもしれません。

やはり、子供と接するときの基本は「相手を対等な一人の人間として尊重する」でしょう。
一人の人間として敬えば、子供も他の人に対して同じように尊敬の念を持って接するようになります。
とは言え、まだ人間として未熟な子供たちに対等に接しても、子供には至らないところが沢山あります。
そこは大人の余裕と言うか、大きな心を持って時には許し、時には諭し、子供が望ましい人間に育つように支えてください。
「対等」と言いつつ「子供」と言う点も考慮しないといけない、という非常に難しい対応を迫られるわけですが、それができるようになれば子供もきっと健やかに育つでしょう。
また、「相手を尊重する」態度は自分の子供に限ったことではななく、他の子供や大人に対しても同じで、他人の悪口を言ったり批判するのもやめましょう。

2.信念をもって一貫した態度をとる

同じことを子供がしても、ある時は何も言わなかったのに、別のときは鬼のように怒るなんてことはありませんか。
気分によって親の態度が一貫せずガラッと変わってしまう場合、子供はどうしていいか分からなくなってしまいます。
「前は良かったのに、なぜ今回はダメなの」と混乱し、安心して様々なことに挑戦できない子供になってしまうかも知れません。
先生や親の前ではとても「いい子」なのに、大人の見ていないところでは平気で悪いことをする「裏表のある性格」に育ってしまうこともあり得ます。

同様に、自分の子供と他人の子供で態度が変わるのも問題です。
「身内に厳しく他人にやさしい」と言うのは一つの美徳であり、他者をより尊重するというのは社会性を維持するには非常に重要なことです。
しかし、それが度を過ぎて他の子供ばかり褒めて、自分の子供を卑下するようではいけません。
特に子供は、自分を他の子と比較されると傷つくことが多いです。
そして、自分を過小評価するようになり、無力感から何でもすぐにあきらめたり、自分の存在価値を認識できないようになってしまいます。
ストレスと劣等感を感じ、他者をねたむようになるかも知れません。

人によって態度を変えるというのは処世術としてはありなんですが、まだ成長段階の不完全な子供にはそれはよく分かりません。
だから、子供の前ではなるべく一貫した正しい態度で接するように注意しないといけません。

3.子供の立場をしっかり理解する

次に注意しないといけないことは、状況をしっかり把握して行動することです。
ついつい状況から勝手に判断し子供を叱ったりしたことはありませんか。
実は誤解で真実は違っているにもかかわらず、言語道断で一方的に怒ったりしていませんか。
言葉は一度発すると独り歩きし、取り返しのつかないこともありますので、子供に対して何か言うときはいつも正しい状況判断をしないといけません。

難しいことかも知れませんが、一番いいのは子供の言い分もきちんと聞くということです。
そして、状況を一つ一つ明らかにしてから、子供を諭すように話をしてください。
この状況把握の過程で、子供も自分のしたことを正確に理解できますし、親も頭に上った血を下げて冷静に判断できるようになります。
その場の勢いで感情的になって子供を一方的に怒鳴りつけることは、子供に「自分は理解してもらえない」と言う印象を与えてしまいます。
「自分は悪くないのに」と大人に対する不信感を募らせるかも知れません。

慌てずにその場の状況、特に子供の立場を正確に把握することを努めましょう。
面倒くさがらず丁寧に接することで、両者が客観的に見つめ直すことができます。
子育てにおいて誤解は子供の心の成長にマイナスの影響を与えますので、親子のコミュニケーションをしっかり取ってお互いの立場を正しく認識、合意してから問題解決に向けて話し合いましょう。
目的は子供を非難することではありません。

今回も少々長くなってまいりましたので、ここでいったん止めます。
続きは後日書きますので、お楽しみに。

大人のあまり自覚のない何気ない行動を、子供はしっかりと見ています。
子供と接するときはいつも、「見られている」ということを念頭に置いて、自分の言動が子供に悪影響を及ぼさないか気をつけましょう。
親としては神経が疲れますが、長い目で見るとその方が親子ともどもいいと思います。

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