塾長ブログ
2022.11.15
都立高校の入試問題傾向と対策:理科編
2022/11/14
都立高校の入試問題を解説し対策を考えるシリーズも最後の理科となりました。
どの教科も同じですが、事前にテストの出題パターンを知り対策と練るのは、入学試験で高得点を取り合格するためには必須の条件です。
今回もこれまでと同じく、大問ごとにどのような問題が出るか考え、どのように対策するかお話したいと思います。
大問1
大問1は5~7問程度の小問題から構成されています。
それぞれが異なる分野から満遍なく出ます。
よって、毎年どの分野が出るか絞るのは難しいですが、どれも基礎的な問題ばかりなので、学校の教科書をよく見直して、学習事項の確認をしてください。
応用はほぼないので、基礎をしっかり正確に身に付けてください。
よって、ここの難易度は高くないので、ぜひ落とすことなく、できれば全問正解を目指してほしいです。
簡単だからと侮ってはいけません。
どの受験生もできるからこそ、ここでこけてしまうと受験競争で大きく後退してしまいます。
確実に全問正解を取るつもりで、緊張感を持って問題を解いてください。
意外と実験器具や操作に関する問題が出されます。
器具の使い方、実験で操作するときの注意点となぜそうしないといけないかという理由までしっかり押させてください。
大問2
大問2ではレポートの形で、身の回りの出来事に絡めて(そういう体で)問題が出されます。
問題自体は難しくなく、各分野から満遍なく出題されています。
知っているかどうかがカギとなる知識問題が多く、ここでも教科書をよく読んで、学んだことが正確に身に付いているか確認してください。
問題中にあるレポートは出題に向けた形式的なものであると同時に、文章の読み取りを誤ってしまうと、解答も間違えてしまう可能性がありますので、慎重に読み解く力も必要です。
基本的に選択問題で、語の組み合わせで答えが決まることもありますので、解答は難しくありません。
大問1と同様に正答率が高い所なので、できるだけ落としたくないパートです。
先ほども申したように、誰もが解ける問題群だからこそできて当然で、逆に落としたときのダメージは大きいので、確実に解けるようにこその充実に力を入れてください。
大問1と2だけで全体の4割近い点数になるので、ここで確実に正解し得点の底上げをしましょう。
大問3~6
ここからはそれぞれの大問で各分野に特化した問題がいささか深く問われます。
教科書などで基礎を固めたら、ワークや問題集の応用問題をしっかりやって、応用力を身に付けましょう。
記述問題も出ますが、よく授業中やテストで聞かれるような内容なので、練習問題をたくさんやれば頻繁に出てくるので、そのときにしっかり理解し覚えましょう。
他の教科でも言及しましたが、記述問題は部分点があるので、0点か満点かの他の問題と違って、書けば何かしら点数になるので必ず挑戦してください。
多くの受験生が面倒くさがってやりませんが、書き方に慣れてしまえばどうということありません。
むしろ、進んでやらない生徒が多いということは、そこをやれば他の受験生に対して差がつけられるということなので、合格を確かなものにするためにも是非やってください。
また、計算系の問題も出ます。
これは理科で習ったことを正しく理解していれば解けます。
特に割合や比、距離と速度などの計算にはなれておく必要があります。
ここでも応用レベルの問題練習をすることをお勧めします。
問題に慣れていないと、その場で解法を考え付くのは難しいと思うので、事前に多くの問題に触れて、様々な考え方、解き方に親しみましょう。
大問3~6はそれぞれの分野から出題されるので、各分野の勉強するポイントを簡単に触れていきます。
地学
大きく「火山と鉱物」「地震」「地層」と分けられるでしょう。
「火山と鉱物」に関しては火山の仕組みとそこからできる岩石の特徴を覚えることが大事です。
特に鉱物の種類は意外と聞かれることが多く、その組成から何色でどのような組織になっていて何という名前がついているかまで覚えておくといいです。
また、地震に関してはP波とS波の伝わる速度とそれに関連して震源の位置や地震の発生した時刻を答えさせる問題がよく出ますので、できるようになってください。
後、「震度」と「マグニチュード」の違いや「震源」と「震央」など紛らわしい概念にも注意してください。
「地層」はその位置からできた順を考え、更にそうなった環境の変化まで聞かれることがあります。
中に含まれる示準化石や示相化石から、それらが何を意味するのか覚えましょう。
気象
気温と飽和水蒸気量から湿度を求めたり、温度を下げることで露店からどれだけの水蒸気が水として発生するかなどの問題がよく出ます。
飽和水蒸気量の曲線を使った類題をたくさんやって考え方をマスターしてください。
雲のでき方と前線、気象のデータを使った天気の変化を問う問題が出やすいです。
温暖前線や寒冷前線の仕組みを理解し、天気図を見て日本の各地の天気がどのように変わっていくかが分かるようになってください。
また、日本を囲む気団の勢力変化が日本の季節にどのような気候をもたらすかも知る必要があります。
天文
太陽の軌道や見える星の日周運動および季節ごとの星座と地球、太陽の位置関係などがよく出ます。
特に内惑星(特に金星)の見掛けの変化はよく聞かれるので、頭の中で整理しておきましょう。
日食、月食に関する問題は出題率が高いです。
生物
消化酵素や神経伝達に関する実験がよく出ます。
それぞれの実験から何が分かるのか、なぜそのような操作をするのか、それらを比較することで何が分かるのか理解できるようになりましょう。
消化吸収の仕組みをよく理解してください。
同様に光合成と酸素・二酸化炭素、そしてブドウ糖の合成についての実験も出ます。
特にこの実験では使う指示薬を正しく覚えることが必要です。
循環器系では血液の流れる経路とそれぞれの地点における血液の特徴(酸素含有量など)を分かるようにしてください。
遺伝と発生では、メンデルの法則からどうしてそのような形質がその割合で出現するか説明できるようにしてください。
交配実験は比較的よく出る話題です。
他に動植物の体の仕組みと増え方、生物同士のつながりと生態系もきちんと勉強しておきましょう。
化学
化学は理科の分野の中でも出題率が非常に高いものの一つです。
実験と絡めた問題が多く、その実験も多岐にわたります。
必ず化学反応の仕組みを理解してください。
電気分解や参加などの実験の他に、イオンと電池に関するものも頻繁に出題されており、各電極に発生する物質が何か、どうしてそうなるのか理解しておかないといけません。
酸とアルカリの中和実験もよく出ます。
実験の結果から理由などを考えさせるだけでなく、実際に計算し数値を出させる問題も多く、比やグラフを上手に使って計算ができるように練習しましょう。
実験操作の手順や注意点に関する内容も理解してください。
記述で求められることがよくあります。
物理
物理も非常に出題頻度の高い分野です。
台車を坂から転がせて速さの違いを考えさせる問題はよく出ます。
同様に力の合成や分解、仕事の原理なども押させておきましょう。
慣性、作用反作用とつり合い、エネルギーの変化、特に運動エネルギーと位置エネルギーを問う問題や実験もよく勉強してください。
また、レンズと像に関する問題、音波とオシロスコープ、電気(電流・電圧・抵抗)と左手の法則の関する実験の問題も事前に繰り返し練習して解けるようになっておきましょう。
以上、理科の都立入試の問題を分析してみました。
出題パターンはだいたい同じで、出題内容も比較的ひねった問題は少なく、よくあるタイプの問題が多いので、過去問や都立入試の想定問題集などをたくさんやって、理科に対する理解を深めると同時に、問題の解き方や考え方を身に付けてください。
基本は教科書ですから、先ずはそこで三年間の学習項目の基礎を充実させてから、過去問などの類題に取り組んでください。
身近な事柄や自然現象に注意し、これまで習ったこととどのようにつながるか普段から考えていると、都立入試で出てくるような身の回りの出来事に絡めた問題も分かりやすくなります。
これで5教科分の傾向と対策は終わります。
これらを参考に受験勉強に役立てていただけるとありがたいです。
英語のスピーキングテストが目前に迫ってきています。
以前にもニュースで触れましたが、今度、こちらも再度まとめて書きたいと考えています。
今週が期末テストの学校も多いと思います。
特に受験生にとっては内申点の決まる大事なテストです。
ここで内申が上がると受験がかなり楽になりますので、ぜひ頑張って内申を1でも上げるようにしましょう。
特に実技4教科は、それぞれの評定が2倍になって内申点に計算されるので、5教科だけでなくこちらも手を抜かないで勉強してください。
それでは、皆様のご健闘をお祈りいたします。