塾長ブログ
2022年11月
2022.11.02
都立高校入試問題の傾向と対策:国語編
都立高校の入試問題を分析するシリーズ。
今回は国語です。
多くの受験生は国語は何を勉強していいか分からないと言います。
確かに数学のような公式がある訳でなく、理科や社会のように多くの用語を覚えなければならない訳でもない。
「日本語のテストだから日本人はできるはず」「そもそも何をどう勉強していいか分からない」「せいぜい漢字を覚えるくらいしかやることがない」と考えていませんか。
そして、テストを受けて意外とできないけどどうしていいか分からないから、特に国語の受験勉強はしないという受験生は非常に多いです。
実は、解き方が分かれば国語が一番手っ取り早く点数が上がる教科なのです。
上手くやれば満点も夢ではないのです。
でも、多くの受験生はそれを知りません。
なぜなら、学校の先生がそれを教えないからです。
今回も大雑把なことしか話しませんが、もし関心があればご連絡ください。
コツをお教えしますよ。
都立高校の国語の問題は大きく五つでできています。
今回もそれぞれに分けてお話します。
大問1、2
大問1と2は漢字の問題です。
レベル的には中学三年生にふさわしいものが出ます。
大問1が漢字の読み、大問2が書きの問題になります。
同音異義や同訓異字などややこしいもの、点など細かい所で間違えやすいものなども出ますが、全体としてはそれほど難しい漢字ではないと思います。
受験生で国語の勉強をするとき漢字ばかり(だけ)やる人がいますが、個人的にはそれはお勧めしません。
やることが無意味とは言いませんが、効率が非常に悪く、努力と時間の割には点数にならないからです。
漢字は無限と思えるくらい非常に多く、それを時間をかけて勉強してもテストに出るのは合わせて10問、全問正解しても100点満点中20点二しかなりません。
多すぎるから、全ての漢字は覚えられないので、自分の覚えた漢字の中からこの10個が出題される確率は非常に低いです。
そんなことに時間と労力をかけるなら、文章をたくさん読んで他の大問が正確に解けるようになった方が確実で得点も高くなります。
では、漢字の勉強はどのようにするといいでしょうか。
過去問や模試など都立入試と類似の問題を受験生は解きながら実力をつけていくと思います。
なので、この時に出た漢字だけその場で覚えてください。
また、問題を解くときにたくさん文章を読むと思ますが、その時読めなかったり分からなかった漢字を調べ、その時に覚えてください。
後で忘れるかも知れませんが、それでいいです。
その程度の勉強で十分です。
10問全て正解する必要はありません。
最低限、読みがある程度できていれば上出来です。
漢字に力を入れるのはほどほどにして、他の大問で文章を読みながら、漢字が分からないときその都度練習をしてください。
大問3
ここから文章の読解力を試される、本格的な国語の試験になります。
ほとんど選択問題ですが記述問題も含めて(作文は別)、実は国語の正解の見つけ方は一つしかありません。
それは、「本文のここに書いてあるから」!
解答したとき、自分ではっきりとこれが言えれば、その問題は必ず正解です。
細かく説明すると長くなるので今回は省きますが、国語という教科はそうしなければ誰もが納得できる公正な正解が作れない性質なのです。
これは覚えておくといいですよ。
大問3は物語になっています。
物語を読むときは登場人物と場面に注意してください。
読み終えたときに誰がいたか分かるように、新しい登場人物が出てきたら印をつけましょう。
そして、その人がどのような性格で、どのような身分立場で、何をしているのか気をつけながら読みましょう。
また、登場人物同士の関係も重要です。
そして、その人たちがどういう流れでそれぞれの行動を起こし、言葉を発しているのか考えてください。
言動はその登場人物の心情を知る大きな手掛かりになります(心情を問う問題は国語の定番です)。
また、時間と場所が変われば場面が変わったということになるので、場面が変わったと思ったら、そこに線を引いてください。
場面が変わると人々の立場や考え方が変わりますから注意しないといけません。
以上のことを念頭に置きながら読み進めると、登場人物の心情も分かりやすくなります。
また、物語の中の表現を問う問題は、選択肢の表現の部分のみに注目して、それ以外の感想的な部分に惑わされないようにしてください。
基本的に全て選択問題です。
選択問題の解き方にはコツがありますが、今回は省略します。
勉強法としてはやはりたくさん文章を読み込むことです。
上記の内容(本当はそれ以外もあるのですが)をいつも意識して読み、どうしてそれが正解なのか自分で説明できるように考えながら問題を解いていってください。
ある程度要領が分かったら、後はたくさん問題を解いて、実戦を通して解き方を身に付けてください。
「習うより慣れろ」です。
大問4
大問4は論説文形式の問題です。
物語はなんとなく感覚で解ける場合も多く、受験生も比較的正解が見つけやすいようですが、論説文になると急に正答率が下がります。
多くの受験生は文章を見ただけで、その中の目立つキーワード(例えば「哲学」「環境問題」)を見ただけで、自分はお手上げと思ってやる気をなくしてしまいます。
戦う前から自分で負けを認めるようなものです。
見た目に騙されて、自分自身に無理だという印象を出だしてしまえば、解けるものも解けなくなってしまいます(この見掛け倒しの問題は他の教科でもよくあります)。
先ずは心理面でビビらないように、そのためにはやはり練習が第一。
論説文の要は文章全体の流れです。
筆者がどのような流れで、読者に自分の主張を解説し受け入れられるようにしているか。
つまり、論の展開が重要になってきます。
これを掴むのに一番良い方法は「段落ごとにタイトルをつける」です。
段落はまとまった内容の塊で、その一つ一つに意味があり、それらが相互につながって全体として説明がなされるのです。
読みながら、自分で段落の上にタイトルを書いていきましょう。
そして、読み終わったとき、そのタイトルだけを続けてみると、その文章がどのように展開し、何について書かれているのか、簡単に分かります。
「○○についての問題提起」「××になる例」「△△と対立する意見」などのように簡単なもので大丈夫です。
論説文は筆者が読者に自分の考えを受け入れてもらおうと工夫を凝らして書いているので、元来内容は明確で分かりやすいものです。
全体の流れを把握することは、ここを理解することになります。
もう一つの注意点は指示語です。
指示語が出てきたら、必ず自分で何を指しているのか確認しましょう。
指示語の内容の見つけ方にもコツがあるのですが、長くなるので今回は割愛します。
しかし、多くの問題は取り上げる傍線で示した本文部分に指示語を含んでいます。
指示語の内容がしっかりと分かっていないと、答えるときに選択肢が何を言っているのか分からなくなるので気をつけましょう。
また、本文内の特定の語句、特別な用語には必ず説明があります。
筆者が疑問を提示して、それを筆者自身が答えるというのも論説文ではよくあるパターンです。
こういった説明や答えを問う問題もよくあります。
問題で聞くということは必ず本分のどこかに「答え」が書いてあるということなので、文や文章の前後関係をしっかりつかんでください。
そうすれば、どこにその「答え」があるか分かってくるはずです。
そして、受験生が最も苦手とするのが、本文の内容に絡めて出される二百字作文です。
ここも細かく話すと長くなりますので要点だけ話します。
他の教科も同じですが、記述問題は部分点があるので必ず何か書いてください。
白紙は0点ですが、何か書けば1点でもあるかも知れません。
この1点が入試では結果を左右することがあるので、1点にこだわることを忘れずに。
先ず、問題をよく読んで、自分が作文で満たさなければならない条件を確認してください。
原稿用紙の使い方、字数制限(基本的に八割以上書く)、それから毎回「自分の意見と具体的な体験や見聞を含める」というのが入っています。
何も用意しないでいきなり書き出すと、必ずまとまりのない意味の分からない文章になります。
毎回出題パターンは同じなので、条件に従い前もって作文のフォーマットを決めておきましょう。
この場合は自分の意見の段落と体験見聞の二段落構成でいいと思います。
字数は意見50字、体験見聞150字くらいでいいでしょう。
こうしてある程度内容を決めてから書き始めてください。
条件さえ満たしていれば、自分の書きやすいように自由に書いていいのだから、これはラッキー問題です。
面倒くさがらずに必ずやりましょう。
ただ、限られた時間内に二百字作文も書くには練習しないといけません。
過去問などをやる時も必ず挑戦し、できれば誰かに見てもらい(受験生の友達と見せ合ってもいいです)アドバイスをもらってください。
作文も書けば書くほど要領がつかめ、時間内にできるようになります。
実は作文は平均点が低く、でも書き方さえ分かってしまえば高得点を取るのは容易なので、是非できるようになってほしいです。
大問5
最後は古文の問題になります。
昔の和歌や漢文、文学などに触れはしますが、実は純粋な古文の試験ではありません。
どちらかというと、古文を利用した鑑賞文または論説文です。
だから、本格的に古文の勉強が必要という訳ではありません。
学校で習った程度の基本的な内容を押さえておけば大丈夫です。
それよりも重要なので、古文を解説または意見交換している部分で、ここが問題の中心になります。
問題の多くはこの部分を正確に理解していれば解けます。
古文の原文と現代語訳が出ているときは、お互いを比べると簡単に答えが見つかります。
問題自体の難易度はそれほど高くないので、大問4のところで述べたような点に注意しながら読解を進めてください。
「この古文を引き合いに出すことで筆者は何を言いたかったのか」という点を常に考えながら読みましょう。
短期間で点数を上げたい人は、是非国語を頑張ってください。
紙面の関係上細かい点までは触れられませんでしたが、国語はコツさえつかめば正解を見つけるのは、実は一番簡単な教科です。
そして、そのコツはいつも同じで決まっていて、それさえ分かってしまえば後は練習を繰り返すだけです。
そうすれば、やっていくうちに徐々に問題が解けるようになります。
自転車の乗り方が分かったら、後は練習を積めば乗れるようになるのに似ています(練習しなければいつまで経ってもできるようにはならないのですが、この点も同じですね)。
以上のことを留意し、受験生の皆さんには国語を入試の得点源にしてほしいと思います。
2022.11.01
都立高校入試問題の傾向と対策:数学編
受験生の皆さん、勉強は順調に進んでいますか。
この時期、受験勉強もいよいよ佳境に入ってきたのではないでしょうか。
今回は取り組高校の入試問題について、その傾向と対策を考えてみたいと思います。
紙面の制約もあるので細かくはできませんが、一般的に抑えて置く点をお話します。
今回は数学編です。
他の教科も順次書いていきますのでお楽しみに。
都立高校の数学の入試問題は五つの大問で構成されています。
大問1
ここでは正負の計算、文字式、1次方程式、2次方程式、連立方程式、確立、図形の角度、作図、度数分布表など、中学三年間で習った基礎的な問題がほぼ全ての分野から一つずつ出されます。
どれも基本的な問題なので難易度は低いです。
しかし、注意しなくてはいけないことは、この大問1だけで100点満点中45点くらいを占めます。
半分近くがここで決まるのです。
だから、多くの塾ではこの大問1を非常に重視しています。
簡単だからこそ全問正解したいところで、多くの受験生ができる問題ばかりなので、ここで落とすと順位が大きく後退します。
特に数学が苦手で高得点を狙えない受験生は、大問1に集中して勉強することをお勧めします。
つまり、基礎の確認です。
ここをしっかりやって基礎得点を上げてから、他の問題に取り組みましょう。
学校の教科書やワークの基本問題をやり込んで、どの分野も答えられるようになってください。
特に作図はある程度パターンや使う作図は決まっているので、たくさん問題をやって経験値を上げてください。
作図は結構苦手な生徒が多いので、逆に言うと、できればみんなと差をつけやすいということです。
だから、作図もしっかりやりましょう。
大問2
ここでは数式を利用して説明させる問題がでます。
図やストーリーを使って問題が出されるので、先ずゴールが何なのか、そしてそこにたどり着くまでに何が必要かを意識して考えましょう。
この説明系の問題も多くの受験生は苦手としていますが、説明の仕方・パターンが分かると意外と簡単です。
問題で示されている要素を文字や式に置き換えて、後は問題の指示に従って計算を展開し、最後に結論の形になればOKです。
実は、分かってしまえば全く難しくなく、書き方も決まっているので嫌がらず、是非できるようになってほしい問題です。
大問3
ここではグラフを使った問題が出されます。
座標や式を求める問題、三角形などの図形の面積を求める問題、求める座標を”t”と置いて解く問題などが出ます。
3問中最初の一問は必ずできてほしいところです。
ここは一次関数や二次関数を利用して座標を求めたり、条件に従ってグラフの式を求める問題なので、比較的簡単です。
学校の教科書やワークレベルの問題なので、できなくて順位を落とすことのないように気をつけてください。
できれば2問目も解けると、試験を優位にすることができます。
難易度は確かに上がりますが、それでも一般的な受験生に手が届かない範囲の問題ではないので、可能であれば取ってほしい問題です。
最後の問題も準備をきちんとして、これまで習ったことを確実に身に付けている受験生であれば、難しいですが解けないこともない問題です。
等積変形や直線の式の求め方、座標の求め方をよく勉強しておいてください。
大問4
大問4は空間図形の問題になります。
ここでは先ず、合同や相似などの証明がよく出ます。
証明は多くの受験生が嫌がって書きませんが、ここは1行でもいいから何か書きましょう。
白紙では点数は尽きません。
記述問題は部分点が大事なので、「△ABCと△DEFについて」「条件(仮定)より ○○=××」など、約束事を書くだけでも違います。
完全な正解は難しいかも知れませんが、部分点を狙いにいってください。
証明は何度も繰り返し練習しましょう。
苦手な人は答えを見ながら出構わないので、実際に紙に書いて、書き方を覚えましょう。
次が角度の問題ですが、ここも落としてほしくないところです。
対頂角、同位角、錯覚、円周角の性質を利用したり、合同や相似の対応する画が等しいこと、内角と外角の関係などを上手に使って解いてください。
前の問題が誘導になっていることもありますので、「なぜこの証明をさせたのだろう」と考えればヒントになるかも知れません。
いろいろ工夫が必要な問題ではありますが、慣れてくると気づきもできてきます。
いつも同じですが、たくさん問題を解いたもの勝ちです。
最後が辺の長さを求める問題。
ここでは三平方の定理や相似などを利用して解く問題が多いです。
相似などを使って辺に比を利用して解くのが苦手という生徒も多く、やはり、徹底的に練習して比の考え方に慣れる必要があります。
さすがにこの問題は正答率が低く、上位校でなければ後回しにしてもいいかも知れません。
大問5
最後は空間図形の問題が2問です。
第2問目はなかなか難しく、解ける受験生も少ないので、場合によっては他の問題に集中した方がいいかも知れません。
動点を使ったり、断面を使ったり、立体を分割したりして、体積や辺の長さなどを求めます。
事前に多くの問題に触れて様々なパターンを経験していれば、試験中に解法を思いつくかも知れませんが、何もなしでは先ず無理です。
よって、大問5では1問目を頑張りましょう。
ここは数値などが固定されて聞かれるので、比較的考えやすいと思います。
空間図形なので、上から見た図と横から見た図を上手く組み合わせて考えると解けます。
展開したり、相似な図形を見つけて辺の比から求めたりできます。
これは取れない問題ではないので、できれば落とさないでほしいと思います。
目指す学校のレベルにもよりますが、自分がどの問題を解けるようになればいいか考えながら、過去問などをやってください。
時間が限られていますので、余計なことはできません。
必要な問題を必ず解いて落とさないように練習してください。
そして、練習はたくさんやればやるほど点数も上がります。
この点は、勉強は正直なので、それを信じて大丈夫です。
もっと細かい点も多々ありますが、とりあえず大雑把な傾向と対策としては以上です。
そして、都立入試に関して質問がある人は個別に受け付けますので、気軽にご連絡ください。
これから他の教科についても、都立入試問題の傾向と対策についてお話しますのでお楽しみに。
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