塾長ブログ

2024.02.09

大きな字を書こう!なぜ生徒は小さくて読めない字を書くのでしょうか?

大きな字を書こう!なぜ生徒は小さくて読めない字を書くのでしょうか?
多くの生徒たちを見ていると、しばしば「これで大丈夫かな」と心配になることがあります。
そのようなことの中から、今回は字の大きさについてお話したいと思います。



文字を書くことは勉強において日常茶飯事だし、ICT化が進んでいるとは言え、未だに学校ではテストを始め多くの場面で手書きが行われています。
それは教育において「手書き」がある一定の有効性をもっているとの認識からなのでしょう。

しかし、スマホなど頻繁に文字入力変換を行っているいわゆるZ世代には、「手書き」はとても面倒で苦痛のようです。
Z世代でなくても、子供のころ「手書き」は苦手だったという人は多いと思います。
だから、こちらが言わないとノートを取らない生徒が非常に多くなっています。
ノートを取ることは勉強の基本ですから、これをする習慣のない生徒は当然成績も悪くなってしまいます。

「手書き」に関してはいろいろ申し上げたいことはあるのですが、今回はその中でも「非常に小さい字を書く」という点に関して議論してみたいと思います。

どうして「非常に小さい字を書く」のか?

生徒の中には非常に小さい字を書く生徒がいます。
本当に小さくて、文字がつぶれて何が書いてあるか分からないくらいです。
書いた本人も含めて誰も読めない字を書くということは、そもそも書く意味をなさないわけですが、どうしてそのような文字を書いてしまうのでしょうか。

先ず考えられる理由としては、小さい字は大きい字に比べ書く量が少なくてすむため早く書けるという点があります。
書くのが嫌いな生徒にとって、少しでも苦痛な「手書き」の時間を短くしたいという気持ちがあるのでしょう。
それから小さい字を書くと、鉛筆を動かく範囲も小さくてすむので書いていても疲れにくいという点も挙げられると思います。
最近の生徒たちは筆圧が弱く、文字を書く体力がなくなっています。
これは最近の生徒たちの体質の問題ではなく、生活環境の問題だと思うのですが、驚くかも知れませんがこれは明らかな事実です。
このように「時短」と「省エネ」が非常に小さい文字を書く要因の一つと考えられます。

もう一つ、個人的にはこちらの方が気になるのですが、考えられる理由としては、「生徒たちの自信のなさの表れ」です。
生徒は文字を書かなくてはなりません。
しかし、書いたものに自信が持てず、周囲からの批判を恐れるならば、小さい文字が言い訳になるのです。
「自分は書くことは書いたから義務は果たした。でも、不正解になったのは字が小さくて読んでもらえなかったからだ。」
多くの生徒はナイーブで、自分を批判され悪く見られること、心が傷つけられることを非常に嫌がります。
まともに書いて間違ってしまえば、周囲から自分は「ダメ人間」のレッテルがはられると思うのです。
不正解が自分の答えのせいでなく文字のせいであれば、「自分の解答が間違っていた」という批判はごまかすことができます。
自分が「間違える」ことが人に知られることを恐れる生徒はとても多いです。
しかも、書くことは書いたのだから、最低限やるべきことはやっていると自分を正当化できるのです。

また、字を小さく書けば「文字そのものに対する自信のなさ」をごまかすこともできます。
自分の字に対するコンプレックスがある生徒は、小さな字を書くことで字の上手い下手が判断できないようにしているのです。
小さければ文字のバランスも分かりにくく、どれも同じように見えてしまうので、なんとなく上手く書けているような錯覚に陥ります。
更に、漢字の間違いも小さい文字で書いてしまえば、画数の多い漢字は黒くつぶれてしまうので、点を打ったのか打っていないのか、棒を引いたのか引いていないのかよく分からなくなります。
だから、自分が漢字を正しく書いていなくてもバレにくくなります。

以上、字を書くという苦痛から逃れるため、そして、自信のなさを隠すために小さな文字を書いているのだと推測できます。

どうすれば小さな字を書かなくなるか

そもそも小さな字を書くことが「書く」という行為からの早急の離脱を目的とし、「書く」こと本来の目的を見失っていては、小さな字を書く意味が全くありません。
また、「自信」のなさを隠すごまかしにすぎないのであれば、いずれごまかしはバレ、特にテストなどにおいては何の良い結果ももたらさないので、小さな字を書く利点はありません。
先ずはこの二点をしっかり生徒たちに自覚させ、小さな文字を書いても何の得もないことを分からせる必要があります。
この点においては親さ先生などの指導者の説得が重要になってきます。

小さな文字を書くことのマイナス面を教えると共に、大きな字を書いたときはしっかり褒めてあげてください。
字そのものが汚いとか、書くのに時間がかかるとかは次の段階の問題なので、最初は日頃から大きな字を書く習慣を身に付けさせることです。
普段からメモや書き写し、日記など、日々の生活の中に書く機会を増やす工夫をしてください。
書く内容は勉強に限る必要はありません。
ちょっとした気づきや感動、自分の書きやすいもので構いません。

それから、すぐに書くのに疲れてしまう生徒は書く体力の無さもありますが、書く姿勢が悪い可能性もあります。
正しい姿勢で書けば体への負担も少なく疲れにくくなります。
このように書く時間を増やして、書くことに慣れさせ、書くことに耐え得る体力をつけましょう。

「自分の解答に対する自信のなさ」は「間違えることは決して悪いことではない」ことをしっかり話してあげましょう。
実際に学習において「間違い」というのは非常に重要なことで、むしろ「間違い」から多くを学べるので、「間違い」を責めないで次につながる大きなプラスであると考えましょう。
こうして「間違い」に対する恐怖心を取り除いてあげてください。

そして、「文字そのものに対する自信のなさ」は一つ一つ丁寧に漢字をさらえる必要があります。
最初はつらいかも知れませんが、漢字というのはパーツの組み合わせと考えれば、ある程度覚えてくると自然と新しい漢字も覚えられるようになります。
それまでは忍耐強く頑張るしかありません。
このとき、周囲のサポートが大きく影響しますから、可能な限り誰かが寄り添ってあげらえるようにしてあげましょう。

こうして一歩ずつ改善してあげてください。
一度身に付いてしまった習慣は、変えるのがとても大変です。
だから、できれば「小さい字を書いているな」と気づいたときにすぐ対応し、それが身に付いてしまう前に対処するのがいいです。
しかし、すでにそうなってしまった場合は、焦らず地道に頑張りましょう。

大きな字を書く利点

最後に大きな字を書く利点を考えてみましょう。

当然、大きな字は読んでくれている相手に分かりやすいので、自分の伝えたいことが伝わりやすいという点があげられます。
テストでは採点者にある程度の裁量が認められているので、小さく何を書いている分からない解答は読まれる前にバツになってしまいます。
せっかく書いたのだから、採点者にきちんと読んでもらい正しく判定してもらうためにも文字は大きく書きましょう。

次に、大きな文字で書けば自分でも何を書いたか目に入りやすくなるので、自分の計算や思考の過程がはっきり分かります。
そうすると間違ったところもすぐに見つかり訂正も簡単です。
そして、学習の内容も頭の中に入ってきやすく、記憶にも残りやすくなります。

そして、大きな文字を書くと、自分の書いていることがよく分かるので、書くことに集中でき勉強の効率も上がります。
先ほどの記憶に残りやすいという効果も含めて、勉強には非常に有効なことです。
また、無心で手を動かして「書く」という行為に没頭すると、周囲のストレスから解放され脳がリラックスします。
心に浮かぶことを書き記すことで、自分の考えを整理し脳内をすっきり整えることができます。

大きな文字を書くと外部からの印象も変わってきます。
大きく読みやすく伸び伸びとした字は、おおらかで外交的な印象を与えます。
人が親しみやすいと感じるでしょう。
また、高齢者など目の不自由な方に対して大きな字を書けば、それだけで相手に対する配慮があると好感度が上がります。



小さな字を書く生徒が気になり、今回はこのことに関していろいろ考えてみました。
字の大きさ以前に、「手書き」そのものの機会も減ってきているので、「字を書く」こと自体が苦手という生徒がたくさんいます。
しかし、勉強するうえで「手書き」という行為は現状では完全に逃れることはできず、日常生活においても同様です。
今は非常に小さい範囲て生活している生徒たちも、やがて大きくなり様々な人と交わり世界が広がっていきます。
そのとき、やはり「書く」という行為がきちんと身に付いていないと、大人として大きな恥をかくことになります。
したがって、生徒たちには勉強のためだけでなく将来のためにも、「書く」ことを嫌がらず正面から取り組んでほしいと思います。

とりあえず、字の大きさを大きくすることを心がけてください。
そして、「書く」ことに慣れ「書く」ことを楽しめるようになると、とても素敵です。

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