塾長ブログ
2024.06.28
書籍紹介『五分シリーズ』(河出書房新社)読書が苦手な生徒でも五分で読めるので大丈夫!
読書は学校で奨励されていますが、いざ本を読むとなるとなかなか億劫で手につかない生徒が沢山います。
文字ばかりの本を何時間も何日もかけて読むのが苦痛なのです。
現代では生徒に限らず多くの人が、手軽に素早く結果の分かるようなものを好む傾向にあります。
そこで、読書嫌いの生徒でも簡単に読める書籍をご紹介したいと思います。
河出書房新社の『五分シリーズ』です。
『五分シリーズ』(河出書房新社)のリンクはこちら
最近の生徒たちは本を読まなくなったと言われます。
しかし、実際には昔に比べ小中学生の読書量は増えているそうです。
その理由は「朝の読書活動」です。
これは文科省が2001年に掲げた「朝の読書活動の推進」に基づき、多くの小中学校で実践されています。
この通称「読活」のお陰で、小中学生の読書量が増えたとのことです。
学校において取り組みは様々ですが、だいたい朝の10分から15分程度を使って生徒たちに読書をさせています。
このような背景もあり、学級図書として短い時間で読める短編の読み物の需要が高まっています。
生徒たちの読書環境の変化に伴い、注目を集めているのがこの『五分シリーズ』です。
このシリーズは5分で読めるというコンセプトで、一冊に10本ほどの短編集となっております。
何百ページもあると、その量に圧倒されなかなか手がつきませんが、これならば途中でやめても中途半端になりませんし、生徒たちのちょっとした読書として非常に取り掛かりやすくなっています。
内容も「感涙」から「衝撃」まで幅広く、好みに応じて選ぶことができます。
累計発行部数が140万部を超える人気シリーズで、最近は最新刊として『5分後に不気味なラスト』、『5分後に泣き笑いのラスト』が出たところです。
まだまだシリーズは継続するようで、今後の新しいお話も期待できます。
もともとはweb投稿コンテストへの投稿物でしたが、非常に人気が出て書籍としても扱えるようになったそうです。
新人作家が中心とはいえ、内容は厳選されたいいものばかり集められ、意外などんでん返しがあったりして面白いです。
「あなたのココロに、5分間のきらめきを」をコンセプトに、読んで短い時間でゾッとしたり感動したり。
心動かされるお話ばかり。
本当に短く手軽なので、通勤通学の車内で読んでもいいでしょう。
SNSが普及している現在、生徒たちの言語活動は非常に限定的で、毎日同じメンバーと同じ内容のコミュニケーションを繰り返すようになっています。
昔なら、そのようなツールはないので嫌でも様々な人と触れ合わなくてはならず、自然と多様な考え方に触れ理解力と表現力が養われてきたものでした。
しかし、今はそうではなく、私も現場で生徒たちに勉強を教えるとき、これらの能力が非常に低下してきているのを痛感し危惧しております。
どのような形であれ、様々な言葉に触れる機会を作る必要があります。
なぜなら言語は直接思考と結びつき、言語の貧困はそのまま思考力の貧困につながるからです。
豊かな思考とコミュニケーション能力を育てるためにも、この『五分シリーズ』はお勧めです。
シリーズのどの一冊でもいいです。
興味惹かれるもの、読みやすそうなものから始め、やがてその面白さに引き込まれ、どんどん他の本も読んでもらえることを期待します。
非日常的な物語は刺激的で、生徒たちの想像力を培うのにも役立ちます。
それは与えられたものを正確に読み取る力に加え、自己表現、自ら創造する力にもなります。
現在、文科省は知識偏重の学習ではなく、学んだことを活用し答えの定まっていない問題に自分なりの答えを出せる人材の育成を目指しています。
これが現在着々と進行中の教育改革の基盤の一つです。
問題を正確に捉え理解し、解決策を思案し発表できるようになるには、読解力や表現力は不可欠です。
そのような力を身に付けるには、多読は非常に有効な手段の一つです。
文科省が目指す生徒像は当然、学校教育や入試にも反映されます。
言い換えると、文科省の求める人材育成に対応できない生徒は、今後の勉強や受験において非常に不利となるということです。
そうならないためにも、この『五分シリーズ』を使って考える力を養い、より高度な学びへの入り口として活用していただけるようお勧めします。