塾長ブログ
2017.04.06
中高生の英語力
本日4月6日、読売新聞の電子版に次のような記事がありました。
『文部科学省は5日、全国の公立中高生らを対象にした2016年度「英語教育実施状況調査」の結果を公表した。
政府が17年度までに目指す英語力のレベルに達した中学3年生は全体の36・1%(前年度比0.5ポイント減)、高校3年生は36.4%(同2.1ポイント増)だった。
政府目標は50%で、達成は厳しい状況だ。
教員の英語力についても調査し、政府目標に達した英語教員は、中学校が32.0%(同1.8ポイント増)、高校62.2%(同4.9ポイント増)にとどまった。
政府は、グローバル化に対応するため英語教育の充実を掲げ、13年6月の閣議決定で、中学卒業段階で「実用英語技能検定(英検)3級程度」以上、高校卒業段階で「英検準2級程度」以上の英語力を持つ生徒の割合を17年度までに50%にする目標を掲げた。』
(読売新聞 4/5 20:49配信)
中高生の3分の1程度しか目標に達していないということです。
政府の決定したがって目標達成の努力をしているはずだろうが、この達成率の低さは何でしょうか。
更に増減もほぼ横ばい。
学校が努力を怠っているからなのか、努力してもこの結果なのか。
情けない現状ですね。
また英語教員の目標達成度も、指導者という立場を考えると低すぎるとしか言いようがありません。
特に中学校の英語教員の能力に関してはがっかりせざるを得ません。
子供たちの多くが中学で初めて本格的に英語に触れるのに、その指導者の能力がこれとは、教職課程を経て教員免許を取っているはずなのに、その資格に疑問を持たずには入れません。
教員免許と担当教科の能力とは無関係ということでしょうか。
それならそれで問題があると思います。
一つ考えられることは、現場教員が実際の英語指導で身に付けるべき能力と、政府が指針としている英語能力が違うということです。
これなら、上記のような結果でもそれほど心配の必要がないのかもしれません。
それならば政府の決定はあまりにも現場を理解しておらず、この目標設定自体が無意味ということになります。
理想と現実の乖離があり、政府が理想を現場に押し付けるだけで、その到達への筋道は現場任せで示せないのであれば、それは無責任と言えるでしょう。
いづれにしても、実際に中高生に接している者として言わせてもらえば、やはり現場での指導力には疑問を持たずにはいられません。
文法中心の何十年も同じ指導法ならば、中学生が興味を失い英語から離れていくのももっともです。
最初に触れる英語だからこそうまくやれば生徒はどんどんのめり込めるはずなのに、それができないのが問題です。
そしてそんな現状を変えられないのはいくつか理由があります。
まず、指導者が他の指導法を知らない、考えて創造できないというのがあるでしょう。
とりあえずいつものようにやればいい、生徒がどの程度興味を持ち理解したかは関係ない。
ただやればいいという態度。
うまくいかなかったら工夫して試行錯誤する態度の欠如。
また、テスト形式の評価の方法がそれ以外の教授法での英語教育を不利にし、結果として変更を許さなくしていることもあるでしょう。
そもそも指導者の英語力不足以外にもいろいろ原因は考えられます。
以前にも話した通り、生徒の勉強に対する環境は変化しており、昔に比べ勉強しづらくなっています。
その変化に対応できず、相も変わらず何十年前のやり方で指導するのであれば成果は出ません。
最近はコンピュータやタブレット端末を使って学校教育をやろうということになっています。
でも、道具や表面的理念ばかり変えても、結局それを扱う人間、体現する現場教師が十分に意義を理解し使いこなせなければ無意味となるでしょう。
勉強は多分に個人的なもので絶対の教育方法はありません。
だからこそ、様々な状況に対応できる経験と知恵が必要なのです。
この度の調査の結果は、この点を考えるべきと示しているのではないでしょうか。