塾長ブログ
2017.05.22
2020年 大学入試が大きく変わります
以前、このブログでも触れましたが、
2020年より大学入試制度が大きく変わります。
つまり、今の中学三年生から大学入試の仕組みが変わるのです。
当然それに伴い、高校の授業の内容とあり方、ひいては小中学校の授業も変わっていきます。
今の中学三年生を持つ家庭は目の前の高校受験で精一杯で、きっとそれどころではないでしょう。
しかし、受験が終わったら一度じっくり考える必要があります。
細かい点はまた別の機会に述べるとして、今回は概要として、私の個人的な見解を述べたいと思います。
先日、文部科学省「大学入学共通テスト」の実施方針最終案が発表されました。
英語は民間の検定試験が利用できること、国語、数学では記述問題を出すことなどが今までとの違いです。
更に英語で「書く」「話す」を評価に加えるなど様々な変化が見られます。
(この英語の評価に関する疑問点は後日、このブログで触れたいと思います。)
今回の改革の基本的考え方は、今までの「知識・技能」中心の評価だけではなく、
一歩進んで、その知識・技能をいかに活用できるかを考え「思考力・判断力・表現力」、更に実際に行動できるか「主体性・多様性・協調性」まで評価する。
そうすることにより変化の目覚ましい、グローバルな社会で活躍できる人材を育成しようというものである。
この目標を実現するために現場の教育方法も変えなければならない。
それで取り入れられるのが「アクティブ ラーニング」「グローバル教育」「ICT教育」「キャリア教育」などである。
以上が改革の概要です。
確かに言っている内容自体は何も間違っていないし、素晴らしいものだと思います。
でも気を付けてほしいのは、これを実践するときに混乱が起きないか、本当に目標を達成できる仕組みが整っているかです。
そうでなければ「ゆとり教育」の二の舞になってしまいます。
学校教育という巨大な仕組みの中で、上に立つ文部科学省は理想を掲げていますが、それが末端まで誤りなく伝わり、現場が理解し、目的に沿って適切に行動できるか不安です。
新たに導入される「アクティブ ラーニング」という教授法を現場の先生はきちんと習得し実践できるのだろうか。
講習だけやって終わりでは無理でしょう。
「ICT教育」も同様で、道具だけ渡しても人間が使いこなせなければ意味がありません。
他のものもそうです。
新たなものを導入するときは、それが効果的に使われなければなりません。
そのためにはかなりの準備と訓練が必要です。
この辺りは万全でしょうか。
また、今までの「知識・技能」だけでもままならなかったのに、さらにそれを土台としたところまで教育が進むのでしょうか。
確かに「知識・技能」が身に付いた子供たちにはいいでしょうが、そうでない子供たちはどうなるのでしょうか。
第一歩でつまづいているのに、そこから先には進めません。
ここの対応は具体的にどうするのでしょうか。
また、教える先生も「知識・技能」中心の教育できたのに、それ以上のものをうまく教えられるのでしょうか。
教えるということは本当にその内容を理解し身に付けてないとできません。
全ての先生が2020年までにできるでしょうか。
新しく制度を変えるときは、ただ理想だけを掲げるのではなく、具体的に現場と連携して、万全の準備を整えて実施しなければなりません。
そうでないと混乱し、形式だけになって、結局何の意味もなくなってしまう。
その時に一番被害をこうむるのは生徒です。
学校で過ごす時間だけでなく、その後の人生に大きく関わるのだいう自覚と責任は持てるのでしょうか。
改善の努力は素晴らしい。
ただ、やるならば万全の準備をして実行において誰も不利益のないようにする。
教育の改革は人の人生を左右する一大事業であることを忘れないでいてほしいと思います。