塾長ブログ
2017.07.16
小学校でも英語が正式教科化されます
以前お話ししましたが、2020年度から学校教育が大きく変わります。
本日はその中から、小学校の英語の正式教科化について触れます。
実はすでに小学校でも英語があるのをご存知でしょうか。
「総合的学習の時間」を利用して、小学校5、6年生は英語に触れています。
ネイティブの先生と話したり遊んだりしながら、英語とはどのようなものかを知るようです。
当然「話す」「聞く」活動が中心です。
でも、経験した子供たちの多くが「英語は楽しい」と感じているようです。
しかし、中学生になって「読む」「書く」「文法」を中心とした授業に入ってくると、
急に英語が嫌いになる生徒が多いようです。
小学校のときが楽しかったからこそ、そのショックは大きいみたいです。
授業の質が大幅に変わって、今までやったことが役に立たない、ついていけないというのが理由です。
このような問題を解決するためにも、小学校から英語を正式教科にし、
小学校と中学校の指導内容を明確にして、二つが連携の取れるようにするのが目的の一つです。
〈小学校における英語の正式教科化の問題点〉
1.時間の確保
文科省によると現行の学習内容を減らさず、対話的で不快学びを実現し、思考力や主体性を伸ばすそうです。
現在でも授業時間は「脱・ゆとり」から増えていますが、文科省の想定している週2コマの英語の時間をどのように捻出するかが問題です。
しかも、上記のような学習には時間がかかるので、実際どの程度までやれるか疑問です。
2.生徒の負担・先生の負担
特に移行期においては様々な不具合が起きるものです。
そこを上手く乗り越えられる工夫が必要でしょう。
小学校の先生は担任が全教科を担当するのが基本なので、
今までやったことのない英語が加わることで、更に負担が増えるのは明白です。
また、「アクティブラーニング」とかうたっていますが、現場の先生がみんな等しくそれができるのでしょうか。
特にベテランの先生は新しい教授法が苦手で、自分のやりやすい教え方をしてしまう傾向があります。
未だに文法対訳法が日本で主流なのもこれが原因の一つです。
つまり、現場のサポート体制がどれほど整っているのかということです。
3.母語も十分に身についていないのに英語もやるべきか
小学生はまだ母語も発展段階で十分ではありません。
母語の基礎も十分できないうちに、外国語をやっていいのかという声もあります。
結局、どちらも中途半端になるという危惧もあります。
また、バイリンガルによくあることですが「アイデンティティ クライシス」という問題もあります。
小学校はまず国語をしっかりやるべきで、その土台の上に外国語を学ぶべきという意見です。
確かに私も子供たちに勉強を教える時に、日本語が不十分、表現力の劣化が著しいと感じることが多々あります。
4.結局、何が目的なのか
いつでもそうですが、上層部は理想を掲げますが、それが現場まで正確に伝わらず、また現場も具体的指導がないので、一貫性のない結果に終わることがあります。
英語を小学校5年生から始めるということが、単に開始時期を早め、3年間だった英語の授業5年間に増やしただけになるだけでしょうか。
結局、中一で受けた「ショック」を小5から受け、英語嫌いの時間が増えただけでは何の意味もありません。
せっかく長く学べるのだから、その目的をしっかり全員が共有し、確実に達成できるようにしなければなりません。
単にテストのための英語にならないように、文科省も述べる「社会に出る子供たちに資質や能力を広く社会と共有する」とはどういうことか考えるべきでしょう。