塾長ブログ
2017.12.11
新しく変わる大学入試の共通テストの試行調査の結果が発表されました。難易度アップ、その場しのぎの勉強では対応できません。個別指導塾葛西TKKアカデミーは新テストにも対応します。
大学入試は2020年度より大きく変わります。
現行のセンター試験が廃止され、新しく共通テストになります。
現在、共通テストの実施に向けて、どのようなものにするか検討されています。
今年5月と7月にそのテストのモデルが発表され、大いに反響がありました。
これは新しいテストがどのようなものになるかを示したものでした。
11月には実際に全国の高校生に問題を解かせ、その形式がふさわしいかどうかの試行調査が行われました。
そして、その結果が先日発表され、新聞各紙にも載りました。
私見も含め今回のテストを分析します。
問題を見て私が感じた第一の印象は受験生に不親切ということです。
これは問題の内容ではなく、テストの作りそのもののことです。
各教科、資料を読み取りそれを分析し論理的に答えを導く形式となっています。
これは文科省の目指す「基礎知識を身に付け、それを使いこなす」という点によるものです。
それはいいのですが、このように資料が追加された分、今までより問題のページ数が格段に増えています。
それもよしとして、では実際に問題を解くとき、受験生はどうするかと言うと、資料を見ては問題のページを開き、考えてはまた資料のページを開く。
このようにページを行ったり来たりしながら考えなくてはいけません。
受験生にとって手間であると同時に、問題と資料を同時に見れないので、考えをまとめることが困難になります。
この点を含めて試験と言ってしまえばそれまでですが、少し配慮があっていいと思います。
問題と資料を別の冊子に分けるとか、テストの構成をもう少し見やすいものにするとかあっていいと思います。
今のままでは扱いにくいテストなので、受験生にとって時間が足りなくなることが予想されます。
第二に、これまでに比べ難易度が上がっている印象を受けます。
これは現行の形式のテストに慣れている人ならなおさらです。
答えが用意されていない記述ということで、選ぶのではなく自分で解答を作らなければならない。
文章力が試されるのです。
これはやり方を覚えればすぐにできるというものではありません。
普段から練習し経験を積まなければなりません。
資料の分析と論理的思考も同様です。
つまり、直前の付け焼刃では対処できないということです。
高校三年間をフルに使って練習しないといけません。
基礎だけでも精一杯の下位の高校ではそこまでの指導ができるか心配です。
もちろんどこまでできるかは生徒の意欲にも大きく左右されます。
しかも、私が常日頃指摘しているように、生徒が置けれているSNSの環境では、このような文章を書く機会を確保するのは難しいでしょう。
そして、この点がこなせなければ、大学入試でいい成績を取ることは望めません。
更に、選択問題でも答えが一つとは限らず、複数ある場合もあります。
単純な消去法で一つに絞るという手が使えなくなり、正答率も下がります。
本当に正確に理解し、知識を身に付けていないといけません。
基礎学力の充実も今まで以上に求められる印象です。
また、これまでも指摘された通り、採点の公平性という問題も残っています。
文科省は「答えのない問題にも答えられる」教育を目指しています。
そこで記述式の解答も要求されるのですが、答えが一つではない分、正誤の判断が採点者にゆだねられることが大きくなります。
当然採点者はそれぞれ全く同じ採点基準ではないので、採点者によって点数にばらつきが出ることは考えられます。
ここをどのように是正するのか、まだ答えは出ていません。
しかも、限られた時間内に採点しなければならず、入試のスケジュールの問題もあります。
今回の試行調査でも、記述式の結果はまだ出ていません。
時間がかかります。
最後に、テスト問題が無理やりな印象も否めません。
学校の勉強はテストのためで、実生活には役に立たないという指摘がよくされてきました。
そのような声に反論するために、学校の勉強がいかに普段の生活につながるかを示すため、問題に日常の状況設定をしたもの、資料を使ったものが多くあります。
しかし、その知識を確認する問題なら、そのような設定は要らないのではないかと感じる問題も多数あります。
単に受験生に難解な印象を与えているだけではないかと思えます。
先ほどのテストの構成の問題と同じように、純粋に学力を測るのに、作業や印象によって評価が影響を受けるというのは公正性という点で問題があるように思えます。
他にも触れるべき点はあると思いますが、とりあえず今回はここまでにしておきます。
今回の結果を受けて問題の難易度や量など調整がなされます。
しかし、内容は確定事項であって大きな変更はないと思われます。
今までと変わりなければ、教育改革を掲げた文科省の顔が立たなくなりますから。
生徒もさることながら、現場の指導に当たる先生も戸惑うでしょう。
学校がいかに新しいテストに対応できるか、指導の内容によってテスト結果が大きく分かれると思います。
これは生徒と言うより、現場の学校、教師の力の問題になります。
学校の不十分な対応で入試がふいになってしまっては、生徒は悔やむに悔やみきれないでしょう。
本当は現場の準備が十分にできてから制度の変更を行えばいいのですが、2020年度という期限は既に設定され決まっています。
少なくとも5年くらいは混乱が続くでしょう。
学校や文科省はうまくいかなかったから次は改善しますで済みますが、うまくいかなかった制度で入試をさせられた生徒はたまったもんじゃありません。
そんな制度の犠牲者になる生徒が出ないよう、葛西TKKアカデミーは全力で彼らの勉強をサポートしたいと考えます。