塾長ブログ
2019.12.10
秋になると恒例の『国語に関する世論調査』が発表されます。今年はどんな言葉が出てくるのでしょうか。(その1)
秋と言えば「スポーツの秋」「食欲の秋」「芸術の秋」などいろいろ言われます。
私にとって秋と言えば何度言っても「国語に関する世論調査」の秋です。
毎年秋になると文化庁から『国語に関する世論調査』が発表されます。
皆さんご存知でしたか。
日本語がどのように使われているかなどをアンケートにより知らべ、毎年文化庁より発表されます。
今年も調査結果が報告されましたので、本日はそれについて触れてみたいと思います。
『国語に関する世論調査』は日本語の実用に関して文化庁が国民に対して世論調査したもので、今年は国語や言葉への関心、表記、読書、慣用句などの言語の知識と使用について調べられました。
今回はその結果から個人的に興味深いと思った点についてお話しいと思います。
先ず、個人的に気になった所は「国語に関して国に期待することは」という項目に対して、「外国人に対する日本語の紹介や教育を充実させる」という答えが増えてきていることです。
オリンピックが近づき国も海外の観光客の受け入れに積極的になり、日常でも様々な国からの人々を見かける機会が増え、さらに国際化に伴い日本に長期で滞在する人も増えました。
仕事や国際結婚などで定住し、本格的な日本の社会の一員として暮らす人が増え、そのような人々への配慮も必要を考える人が増えたと思われます。
先日の台風などの災害においても「やさしい日本語」が注目され、母語話者でない人でも他の日本人と同じようにサービスや安全を保障されるべきと認識されたのかもしれません。
今後、外国人労働者も増え日本国内の国際化は不可避のように思われます。
葛西TKKアカデミーでも当初から日本語教育や在日の方々へのお手伝いをうたっていますが、この世論に応じて是非、国もしっかりとした対策を取ってほしいと思います。
表記に関しては「ゴミ」と「ごみ」では「ゴミ」方が表記として良いと答えた人が73%にものぼりました。
本来外来語を表記したり擬音などに使われるカタカナですが、そのようなルールに縛られず多くの人が習慣的に使う方が感覚としても好ましく思えるという、言葉らしい側面が現れた結果だなと思いました。
因みに「ケガ」と「けが」では「ケガ」方がやはり多く60%が支持しました。
更に同じ意味を和事漢語で表す場合は和語の方がよいと思われるようです。
(「堅く守る」と「堅持するでは圧倒的に「堅く守る」の方が使い方においてよいと出ました。)
また、「ニーズ」と「求め」では「ニーズ」が多く、「ニーズ」が普及しこちらの方が一般化しているようです。
いずれにしても指示されない方はなじみが薄かったり堅苦しい雰囲気が出たりするのが理由みたいです。
公官庁の文書に関しても、多くの人が「文字の大きさ、字間、行間、レイアウトが見やすいこと」「親しみやすい表現が使われていること」を重視し、文体も「だ、である」よりも「です、ます」調の方が望まれます。
お役所だからと言って難しい言葉で堅苦しく偉そうな文章は指示されないみたいです。
読書に関する項目も興味深い結果となりました。
本を一ヶ月に全く読まない人が半数近くに上り、次に多いのが月に1,2冊読む人たちでした。
全体としては本を読む量は少ないようですが、携帯などの電子書籍を加えると結果も違ったものになったかもしれません。
通勤中に携帯で読書をしている人を見かけますし、読書以外の文字との接触は逆に以前より増えているかもしれませんね。
読書をすべき年齢に関しては、10歳代が一番多く40%になりました。
また9歳以下と言うのも2割近くで、全体として小学校低学年に読ませるべきと考えている人が多いようです。
「年に関係なくいつでも」と言うのが二番目に多く2割ちょっとで、読書を年齢で縛るべきではないという人も少なくないと分かりました。
読書に期待することとしては、新しい知識や情報を得る、豊かな言葉や表現を学ぶ、完成が豊かになる、想像や空想力を高めるなどが上がっています。
6割以上の人が以前より読書量が減っていると答えたのですが、読書量を増やしたいと思う、ややそう思うと考える人が合わせて60%ほどになります。
しかし、以前と比べるとどちらの項目も数値を減らしており、読書の良さ重要性は理解しつつも実際には難しいことが伺えます。
因みに先ほど触れた電子書籍ですが、利用する人は全体の4分の1になっています。
一方、紙の本しか読まない人も38.7%おり、前回の45.2%よりもポイントを下げました。
紙の本も電子書籍も読まない人は全体の3割強で「読む」と言う行為自体が衰退しているのかもしれません。
次は慣用句などの日本人の日本語の使用実践に関する結果をお伝えします。
実はこの部分が毎年新聞などでよく取り上げられる部分で、日本語がどのように変化しているかがよく分かります。
少し長くなりましたのでこれは次回に回します。
お楽しみに。