塾長ブログ
2020.04.16
なぜプログラミング教育? 2020年度からの新学習指導要領。
コロナウイルスで公教育も大混乱です。
文科省はコロナウイルスへの対応だけで手いっぱいのようです。
学校によってはいまだに休校が続き、まともに授業ができない状況です。
こんな混乱で忘れてしまいがちですが、実は2020年度から学習指導要領が大幅に変わることになっています。
新しい科目や教科、授業内容だけでなく教え方も変わります。
大学入試でセンター試験が終了し共通テストになる、学校の授業でアクティブラーニングが導入される、小学校で英語が正式教科になるなど。
だが、現状でこれらがどう実践されるのかは不明です。
そうでなくても初めての試みで学校は大変なのに、コロナウイルスの混乱まで加わって、本当に今年度から教育改革が実施できるのか心配です。
本日はその中でプログラミング教育についてお話したいと思います。
プログラミング教育について誤解も多いようなので気をつけましょう。
葛西駅そば、個別指導塾葛西TKKアカデミーでは、新しい指導要領に対応した授業があります。
今までも葛西TKKアカデミーは触れてきましたが、プログラミング教育についてお話します。
中学ではすでに技術の時間にロボットを使ってプログラミングの授業を行っています。
しかし、実際に社会で活用するのはウェブ関連のプログラミングです。
そこで新学習指導要領ではこちらのプログラミングに重点がシフトしています。
また、高校では文系理系共に必修科目としてプログラミングを履修することになります。
小学に関しては中高校と違い、もともと関連した授業がなかったため、プログラミングの導入には慎重論がありました。
しかし、新学習指導要領に言語能力、問題発見・解決能力、情報活用能力が示され、プログラミングの導入が必要となりました。
これらの基礎能力習得にはICT(Information and Communication Technology)の活用が必須で、ICTを使いながら各教科でアクティブラーニングを展開する。
そのためには、ただICTを使えるだけでなく、どのような仕組みなのかを理解する必要があるからプログラミングを学ぶべきだということです。
ITの専門家を育てようという訳ではないが、ICTが今後広く社会に普及し、人の仕事の多くがAIなどに置き換わられると言われる現代、人が主導権を離さないためにもプログラミングを理解しなければならないそうです。
安倍政権も「これまでの読み書きそろばんと同じように、これからはプログラミングが社会生活に必須となるから、授業に加える必要がある。」と話しています。
特筆すべきは「プログラミングの授業」はコンピュータプログラムを教え、専門家を育てるものではないと文科省が述べている点です。
目的はあくまでも「プログラミング的思考方法」を育てることです。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、「プログラミング的思考方法」とは論理的思考方法のことです。
実は、「論理的思考」は数学や国語などあらゆる教科の中で学ばれているのもで、わざわざ「プログラミング」という新しい教科を作らなくてもすでに行われています。
真新しいツールを使いゲーム感覚で指示系統や命令系統のパソコンソフトを操作し、子供たちの好奇心を刺激し、論理的思考を育てようという訳です。
小学生に対し高度なプログラミングの習得を期待している訳ではなく、むしろ体験を通してプログラミングのすごさを実感してもらうことが主旨のようです。
また、アルゴリズムなどを利用して他の教科との関連付けと活用も考えられています。
AIやIoTが普及するのに伴い、全くプログラミングに触れないよりは、多少でも知っておいた方がいいということでしょうし、学校活動そのものの活性化という意味も含まれているようです。
ただ、問題点はいくつかあります。
まずは指導する先生の技能でしょう。
新しいテクノロジーが導入されるとき、どうしても大人はその習得と適応が難しいです。
十分な理解と実践がないまま、現場で授業を行わないといけないという状況は、非常に厳しいものがあります。
新しいものに対する適応力は子供の方が優れているので、教える者と教わる者の逆転があるかもしれません。
外部との連携も考えられていて、プログラミング本来の専門的指導は外部に任せ、教員はその技術を授業に活用できるよう誘導するのが主な仕事になるとも言われています。
更に十分なインフラを整えられるかという問題もあります。
せっかくプログラミングが始まっても、必要なパソコンやタブレット端末などのICT環境が整ってないと困ります。
それは新指導要領の目玉であるアクティブラーニングの成果にも関わります。
こちらのハードの面の充実も忘れてはいけません。
しかし、プログラミング教育の準備に関しては、各地方自治体でバラバラで、関東では7割近くの自治体が準備をしているのに対し、北海道では2割、東北では3割にも満たないという調査結果も出されています。
全国的に見ても何もしていない自治体が半数以上に上っており、現場レベルで本気で取り組む気があるのか疑わしいです。
本年度から始まるプログラミング教育についてですが、コロナウイルスの混乱もあり、本当に現場で体制が整っているのか疑問です。
理念が正しく伝わり理解され、現場の教員と設備の準備を十分整えることができているのか。
これが新指導要領の成否の分かれ目になるでしょう。
考え方は素晴らしいと思いますが、ゆとり教育での教訓を生かし、失敗のしわ寄せが生徒にいかないよう願います。