塾長ブログ
2021.05.17
新学習指導要領で英語がかなり難しくなっています。これまで高校でやっていたことが中学に降りてくる?!
新学習指導要領になり、生徒たちにはこれまでと違って、かなり高度な学習が要求されることになりました。
全ての教科でこれまでの教わるという勉強から更に一歩進んで、学んだことを使って自分で考え表現するということまでやらないといけなくなりました。
文科相の提示する新しい学習はかなり野心的なところもありますが、実際に文科省が想定する通りに生徒たちの勉強が深まれば、それは良いことだと思います。
ただ問題は、「目標は高らかにうたっているが本当にできるのか」ということでしょう。
この点に関しては様々な意見が飛び交っているようですが、今日は英語に絞って学習項目がどのように変わったのか(高度化したのか)見ていきたいと思います。
教育改革に伴い、新学習指導要領では小学校3、4年生で英語に触れる英語活動が始まり(これまでは5、6年生)、5、6年生では英語が正式な教科として(通知表に成績として評価される)勉強することになっています。
英語活動では英語に慣れ親しむことで、英語に興味関心を持たせ学びたいと児童たちが思えるようにすることを目標としています。
正式教科となる5、6年生の英語では、これまでの「聞く」「話す」に加え「読む」「書く」も勉強するようになります。
この段階で600~700語の単語を学びます。
中学に入るとこれまでのような英語の勉強に加え、「自分の考えや気持ちなどを伝える」対話が重視されるようになります。
更に課題を与えられ、これまで学んだ語彙や表現を実際に使う活動も行われます。
これまで1200語程度だった単語も1600~1800語と大幅に増えます。
英語学習のスタートが低学年化されたことに伴い、学習内容のいくつかは、これまで上級の学年がやっていたことが降りてきます。
例えば、これまで中二で習ったbe動詞の過去形が中一に降りてきたり、中三で習っていた二つの目的語を取る動詞が中二に降りてきたりしています。
これまで中二の後半で習っていた受け身の表現が中盤ですでに現れたり、中三で習う現在完了形が中二での既習事項となったりと、学習内容がどんどん前倒しになっています。
このように学習内容がこれまでと比べ、どんどん高度化しているのですが、驚くべきは、これまで高校で習っていた現在完了進行形や仮定法なども中学で触れるようになるということです。
当然高校の英語もディベートやディスカッション、プレゼンテーションを生徒たちはするように求められ、授業は基本的に英語で行われるようになります。
身に付けなければならない英単語数も、高校卒業時点でこれまでの3000語から4000~5000語と増加しています。
当然大学受験もこれらを踏まえたものとなり、将来的には「読む」「書く」「聞く」に「話す」も加えた四技能で入試が行われると文科省は述べています。
これまで教育実習でも英語を扱ってこなかった小学校の先生は、突然英語を教えなければならなくなるわけですが、それも先生方が中学校で習ったようなやり方ではなく(文法読解中心)、生きた英語を児童たちが使えるように指導しなくてはなりません。
同様に中学高校でも、新学習指導要領が求める英語教育はアクティブラーニングを始め、多くの先生方が経験したことがない、または理解が十分に及ばないものとなっており、実際にできるかはなはだ疑問であり、学校によってその実践の度合いがかなりバラバラになっています。
このような英語教育ができるには、留学や海外での生活、終業経験などを通してかなり実践的な英語力を習得していないと難しいでしょう。
現に文科省が英語教員に求める英語力は英検準1級程度と言われ、実際にそこまでのスキルが備わっていない教員はかなりいると考えられます。
英語が高度化するのに対して、生徒たちは柔軟性があるからそれなりに対応できますが、新しい英語教育についていけないかもしれないという問題は実は先生側なのかもしれませんね。
そうでなくても多忙を極める教員という仕事で、全く新しい制度に合わせて教育スタイルを変え、その上自分の英語力もアップしなければならないというのは物理的にもかなり困難な気がします。
これは文科省が目標や理念ばかり強調し、肝心の現場への理解、トレーニング、フィードバックなどを怠った結果、そのしわ寄せが生徒、教員を含む現場に来ているということではないでしょうか。
学校によって学習内容がまちまちなのに、入試では同一のものを求められる。
つまり、生徒は自分の学校の提供する英語教育の質によって、平等な教育を受けられないことになり、そして、その成果が如実に進学という形で表れることを意味します。
これは教育において大問題ではないかと考えます。
例え学校での教育が不十分でも塾などの私教育で補えるかもしれませんが、家計が豊かでなければそんな高額な手段は使えません。
各家庭の経済格差が拡大しつつある現状では、勉強をしたくてもできないという生徒たちが多く生じることは想像に難くありません。
ここは葛西TKKアカデミーが最も問題視する点で、だからこそ葛西TKKアカデミーのミッションは「学びたい意思があれば全ての生徒に手を差し伸べ、彼らの教育を支える」なのです。
また、英語教育の移行に関してもう一つ問題がありますので、最後にその点に触れて終わりたいと思います。
新学習指導要領に沿って、今年度から英語の教科書も一新し、その学習事項も新学習指導要領に即したものになりました。
しかしその移行において、全ての学年で一度に新しくしてしまったので、学習項目によっては、生徒がまだ習っていないのに、既出事項として新しい教科書では扱われていることになっています。
例えば、先ほども述べたように現在完了形はこれまで中三で習うので、新中三年生はまだ教わっていないのですが、新しい教科書では中二で学ぶこととなっているので、中三の教科書では何の説明もなく現在完了形が出ています。
新教育課程への移行も新一年生からにして、他の学年は旧教育課程を継続すれば連続性が保たれるのですが、そのようなこともお構いなしで今年度から一気に変えてしまったことには疑問を感じます。
そして、この習わずに過ぎてしまった学習の穴をどのように学校がフォローしてくれるのか、個人的に心配しています。
英語に限らず他の教科も同じですが、特に移行の時期においては色々問題が起こるものです。
もし、そのようなことで困っていましたら遠慮なく葛西TKKアカデミーに連絡ください。
葛西TKKアカデミーは全ての学びたい生徒の味方です。
勉強したいという意思があれば他は何も心配しなくて大丈夫です。
費用を始め時間、内容、何でもご相談にのりますから安心してください。