塾長ブログ

2022.03.22

恋愛にヒーローもの、SFやホラー、お笑いまで、古典文学って面白い

恋愛にヒーローもの、SFやホラー、お笑いまで、古典文学って面白い

古典文学と言えば、助詞、助動詞を覚え、活用を学んで品詞分解をして、現代語訳して終わり。
外国語みたいでなんだか分からず、苦痛の記憶のみの授業だったという方も多いでしょう。
結局読んでもなんだか分からず、「現在使われていない日本語を習って何の役に立つのだろう。」と疑問に思ったことはありませんか。
私も学生のとき、そんな風に思ったことがありました。

やはりテストのための勉強ってつまらないですよね。
割り切って点を取るためと、解法ばかり覚えて…。
これでは古典を学ぶ意義なんて見えなくて当然。

実際、私も古典を面白いと思いだしたのが、勉強し始めてかなり経ってからでした。
むしろ、「テストのための勉強」という足かせが外れ、勉強に対する余裕ができたときに読み返して初めてその面白さに気づきました。

勉強なんてそんなものですよね。
学校を離れてからやりたくなる、そしてやってみると面白いと気づく。

本来なら生徒たちも文法を苦しみながら覚えるより、話や歌に込められた内容を楽しんでほしいを思います。
そして興味を持ってから原文を読んで、必要ならば文法事項を学べばいいと思います。
(今後行われるアクティブラーニングではそのような手法になってくれることを期待します。)
だから、私が強く言いたいのは「現代語訳されたものでいいから、お話として古文を楽しんでほしい。」ということです。
『源氏物語』のような大作もありますが、比較的短いものもあります。
短編物語集もありますので、このような手軽なお話から始めると読みやすいと思います。

やはり、何百年の年月を超えて親しまれている文章は素晴らしい。
時代が保証しているからこそ、安心して楽しめます。
とても面白いです。
ジャンルも恋愛ものや冒険もの、SFに怪奇もの、コメディまで幅広い。
しかも、時代が変わって人々の生活様式が変わっても、同じ日本人として時代を超えて共感できるものがあります。

私が好きなものは「日記文学」と呼ばれるもので、『蜻蛉日記』や『更科日記』は大好きです。
『蜻蛉日記』では作者は夫に浮気されないがしろにされますが、最後は自分の息子の晴れ姿を別々にとは言え一緒に見て、息子に希望を託します。
また、『更科日記』で作者は幼いころから本ばっかりを読んで、自分も将来は物語のお姫様のような恋愛をし幸せになるんだと、夢見る少女でした。
しかし、現実は厳しく家が落ちぶれていく中、大人になってようやく自分は物語のようにななれないんだと気づきます。
絶望の中、夢に出てきた仏様に希望を見出し、強く生きて行こうを決意して終わります。
どちらも不遇な境遇にあいながらも、最後は強く生きていこうと希望が見られので好きです。

個人的にお勧めなのは『とりかえばや物語』です。
これはコメディーです。
設定も奇抜で物語の展開も非常に面白いです。
是非、どこかの映画会社に映画化してもらいたいです。
ヒットすると思います。

内容は、大臣家に二人の奥さんがいて、その奥さんたちが対立しているのですが、それぞれには若君のように育てられたお姫様と、お姫様のように育てられた若君がいます。
世間ではお姫様は若君として、若君はお姫様として認知され、二人の奥さんの対立に加え、この秘密がばれないかと大臣は気苦労が絶えません。
やがて子供たちが大きくなり宮仕えする年頃になり、大臣はますますばれないかと心配になります。
更に悪いことに、天皇がこのお姫様の若君と若君のお姫様に興味を持ちます。
本当のことがばれたら大臣は打ち首です。
このピンチをどう切り抜け、どんな結末になるのか。
非常にワクワクします。

こんな風にテストの勉強ではなく、純粋に楽しむと古典が非常に身近になります。
時代が変わっても、人の心は通じる。
分かり合える感動こそが古典を読む意義だと思います。
そこには知恵や共感など、今の私たちの生活に潤いをもたらすものがたくさんあります。

一度お手に取ってみてください。

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