塾長ブログ

2022.04.25

通信制高校のメリット・デメリット

通信制高校のメリット・デメリット

教育の多様化に伴い一般的な都立高校、私立高校だけでなく、通信制高校を選ぶ生徒も増えてきています。
不登校など、様々な理由で一般の生徒のように学校に通えず、内申や出席日数の問題で受験も受けられない生徒。
芸能活動など学業以外の活動をしている生徒。
どうしても進学先が見つからない生徒。
そんな生徒たちの受け皿として認知されることも多いようです。

受験生の中には通信制高校を考えている人もいるでしょう。
そこで通信制高校のメリットとデメリットを考えてみましょう。

メリット
通信制で良いところと言えば、色々な面で拘束が少ないこと。
履修や時間割を自分で決められるので、自分のペースで勉強ができます。
また、授業内容も中学生レベル、時には小学生レベルからやるので、中学についていけず脱落した生徒に一から教わるチャンスがあります。
様々な価値観が尊重されるので、あまり干渉されないのも特徴です。
拘束は少なく、これは自由と言えますが、自己責任とも言えます。
何でも自分から言わないといけないし、学校からいちいち言われることも少ないです。
授業は少人数制で、人見知りで人前で発表できないとか、大人数の組織に馴染めないという人には向いているでしょう。
しかも、毎日出席するわけではないので(だいたい週一回)、空いている時間を趣味やバイト、自分の目指すもの二使えるというのもメリットです。
一般の道を通ってこなかった生徒が多いので、新たな考えや価値観に触れることができるので、人間としての視野が広がります。
人数が少ないので、積極的に行動すれば先生との距離も近くなります。
学校による縛りが少ないので精神的にゆとりができますし、毎日毎日大人数の生徒が顔を会わせるわけではないので、スクールカーストもできにくいです。
元々そういう生徒の通う学校としての側面もあるので、病気で通学の困難な人に対する配慮があります。

デメリット
一方、それなりにできる生徒にとっては勉強の内容が易しすぎたり、授業の進度が遅いと感じることもあるでしょう。
学習が自分での勉強中心なので、大学受験などの高度な学習となると難しいです。
自分で計画的に勉強を進めていかないといけないのですが、怠けても何も言われないので、勉強へのモチベーションの維持と自己管理するのが大変とも言われます。
また、世間的に十分な理解が得られているわけではないので、通信制ということで周りからの偏見があり、負い目を感じることもあるようです。
一般の高校のように数も多くないので、学校が遠く通学が大変だったり、学費が高かたったりもします。
やはり、個人が尊重される分、勉強の結果も自分の責任なので、単位が取れずに進級できないということもあります。

いじめや不登校の問題が注目されるようになり、学校もフリースクールや通信制など、生徒の受け皿も多様になり、学業の選択の幅も広がりました。
そして、一般的な全日制の学校ではなく、その他のタイプの教育機関へ通う生徒も年々増えています。

しかし、一般的公教育でない教育機関では一般的生徒と同等の教育を提供することは非常に難しい状況になっています。
今回の通信制高校に関しても、高校卒業資格は手にできるでしょうが、大学受験となるとかなり難しくなります。
自分から自覚し積極的に勉強し、自分で受験制度を調べ、模試も自分で申し込まないといけません。
受験対策と言っても普通高校のそれに比べるとかなり見劣りします。
学校で使う教科書が中学生レベルからスタートするので(中学の学習内容も十分に身に付けていない生徒が多いため)、大学受験レベルには到底間に合いません。
学校で縛られなく自由な分、自制心と自己管理が不可欠となり、まだ十分に大人になりきっていない生徒に求めるのは酷です。
どうしても先延ばしにしたり、課題提出直前だけの勉強になったり、勉強以外のバイト、そしてそこで稼いだお金での遊びの方が優先になる場合が非常に多いです。

一般的学校ほど縛られない分、自分次第で良くもなれば悪くもなります。
しかも全てが自己責任で、周りは干渉しません。
良くも悪くもこれが通信制の特徴なので、高校卒業資格がもらえるからと安易に選ぶのではなく、本当にきちんとやる覚悟が自分にあるのか、一般的高校と比べ足りない部分をどのように補うのか、よく考える必要があります。
そして、考えたことが本当に実行できる仕組みを自ら課さなければなりません。
子どもがこれを一人でやるのは非常に難しいです。
ついつい自分の弱い心に流されてしまうなんてことはよくあります。
やはり外部のサポートがないと苦しいでしょう。

もちろん葛西TKKアカデミーはこのような子供たちのサポートを喜んでする用意がありますが、最終的に成功するかどうかは本人次第なのです。

教育の多様化が起こっているということで、もう一点、気になっていることを話したいと思います。

フリースクールや通信制、自宅学習など普通の学校に馴染めない、諸事情で通えない生徒への受け皿が増えたことはいいことなのですが、受け皿があることで学校の無責任が助長されるようならば問題です。

学校で手に負えない、対応に非常に手間がかかる生徒に対して学校が教育を放棄し、これらの機関に押し付けるようなことがあってはいけません。
どんな生徒であれ学校は等しく教育を提供しなければなりません。
先ずは最善を尽くして生徒に取り組まなければなりませんが、多くの生徒を抱える学校がその努力を面倒くさがり、これらの受け皿に任せておけば責任から逃れられると考えるのであれば、これは全くの本末転倒です。
そのようなことが決してないように学校の先生にはお願したいものです。
教育というものは人の人生を左右するほど重大な影響があるのだから。

最後に簡単に今回の話をまとめると、通信制高校にはメリットとデメリットがあります。
多くの一般生徒とは異なる事情を抱え、普通の公教育自体を受けることが困難な生徒には適した選択肢となりえます。
自分のペースで基礎から(中学や時には小学レベルから)勉強を再チャレンジでき、高校卒業の資格を取ることはできますが、更にその先の高等教育を目指すなら、一般生徒以上の努力が必要になるでしょう。
それは学力だけではなく、自己管理など精神的な面にも及びます。
個々の責任と考えに従って勉強を進められるということは、通信制高校でどの程度の学力を身に付けるかも自分の責任となります。
一応、サポート体制は整っているとはうたっていますが、本当に一人ひとりの生徒が大学受験レベルまで力をつけるほど指導ができるかというと、少々疑問が残ります。

確かに、通信制高校は進学における選択肢の一つとして「あり」なのかも知れませんが、それをどの程度有効に生かせるかどうかは本人次第の部分が非常に大きいです。
つまり、うまくいかなかったときの責任は、全部生徒が被ることのないように、制度の充実が求められると思います。
単純に「大変な受験勉強を避けて高校卒業の資格を取るため」と飛びつかず、じっくり考えてから選んでください。
通信制高校に入ってはみたが、途中で挫折し本来の目的である高校卒業の資格すら得られなかったというケースも多く存在ますから。

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