塾長ブログ
2022.06.12
都立高校入試で今年からスピーキングテストが加わります
今年から都立高校入試の英語で「スピーキングテスト」が導入されます。
これまで何回かの試行テストも行われ、いよいよ実施の運びとなりました。
この試行テストや文科省の発表からスピーキングテストの概要や日程などが明らかになってきました。
そこで今回は現在分かる範囲で、スピーキングテストについて説明したいと思います。
スピーキングテストに関して、文科省は大学入試で導入を試みましたが、世間の理解を十分に得られないことなどから、本来スタートする予定だった共通テストの開始年度である2020年度の実施を諦め延期としました。
スピーキングテスト自体は廃止になった訳ではなく、将来的には導入される予定になっているので、自分が受けるであろう受験生は準備を進める必要があります。
いずれにしても、初の試みをいきなり全国規模の大学入試で行うということに、多くの反発と不理解を生じたのは仕方ないことだと思います。
私見を提供する側としても準備不足と説明不足は否めないと考えます。
そこで規模を縮小し、大学受験でのスピーキングテスト導入に向けた実証実験と言う意味合いも、都立高校入試のスピーキングテスト導入には含まれていると思います。
都立高校でスピーキングテストを既成事実にして、大学入試での導入も正当化しようという意図があるのではないでしょうか。
公には、これまでの英語の「聞く」「読む」「書く」の三技能に加えて、「話す」も試験に導入することで、これまで指摘されてきた日本人の英語コミュニケーション能力の低さを克服しようという狙いがあります(実際の試験内容や学校教育の内容がそれに準じているかどうかは別として)となっています。
スピーキングテスト『EAST-J』の概要
東京都では事業者(ベネッセコーポレーション)と提携し、高校入試の点数の中に英語の「スピーキングテスト」の点数を追加します。
このスピーキングテストは「ESAT-J」と呼ばれ、タブレット端末、ヘッドフォン、マイクを使って、受験生が実際に話した英語を録音し、それを評価します。
テストは大きく四つのパートからできています。
パートAでは与えられた短い文章を読む問題です。
5文(3行)くらいの画面に書かれた英文を読みます。
最初に簡単な状況説明と準備時間(30秒)が与えられます。
その後、30秒以内で文章を読み録音します。
パートBでは図や表などの資料が与えられます。
その資料を見ながら、音声で出される簡単な英語の質問に答える問題です。
簡単な状況の説明の後、10秒の準備時間があります。
そして、英語の質問を聞いて解答を10秒以内に行います。
パートCでは4コマのイラストがあり、それについてのストーリーを英語で話す問題です。
最初に簡単な状況説明があり、その後30秒の準備時間が与えられます。
そして、時間になったら40秒以内に全てのコマを英語で描写しながら、全体の話を完結させます。
最後は、パートDです。
ここではある質問に対して自分の意見とその理由を言う問題です。
1分の準備時間の後、40秒で自分の考えを録音します。
この時、質問が画面上に文字表記されるか、音声だけになるかは未定です。
表記される場合は文字を追って質問を理解できますが、音声だけの場合は、聞き取りを誤ると答えられないという危険性があります。
どの問題も問題の英語はそれほど難しくなく、普通に中学で英語の勉強をしていれば分からなくはないと思います。
答える方も、コツをつかむ必要はありますが、慣れてしまえば平易な英語で答えることができます。
よって難易度は高くありませんが、やはり十分な準備をしていないと戸惑うことも多く、高得点は期待できないと思います。
ESAT-Jの都立高校入試における評価法
ESAT-Jのテストは基本的に都内の中学校が会場になる予定です。
試験監督および採点は事業者であるベネッセコーポレーションが行い、受験生が解答した音声を録音したものを使って採点します。
この結果は100点満点で示されますが、入試ではこれを20点満点6段階評価(4点ごとに段階分け)に換算して利用されます。
評価Aは20点、Bは16点、Cは12点と順次点数が付けられ、最低ランクのFは0点となります。
そして、この結果は各学校及び自治体に提供されます。
送られた結果は受験生の調査書に記載され、志願先の都立高校へ提出されます。
つまり、調査書点に加えられるのですね。
その結果、都立高校の合否判定に関わる点数はどのように変わるのでしょうか。
これまで都立高校の合否は、調査書にある内申点に基づく調査書点と試験当日の学力検査の点の総合点で行われてきました。
・学力検査の得点
各教科100点満点の五教科の合計点500点満点で評価されたものを700点満点(一部都立高校、分割後期、二次募集は600点満点)に換算したもの。
・調査書点
中学校での成績表にある5段階評価の数字をそのまま得点とした内申点(ただし実技4教科は2倍で評価されます)65点満点を300点満点(一部都立高校、分割後期二次募集は400点満点)に換算したもの。
これら合計1000点満点でこれまでは判定されていましたが、これにESAT-J枠として20点満点が追加され、合計1020点満点で評価されるようになります。
1020点満点中の20点と甘く見ない方がいいです。
入試は1点で合否が分かれます。
だから、例え1点でも疎かにできません。
ましてや、スピーキングテストができるとできないでは20点もの差がつくので、これは合否を左右すると言っても過言ではない事態です。
尚、ESAT-Jを受けられなかった受験生は、入試において不利にならないように学力検査の英語の得点(受験当日の得点)から仮のESAT-Jのスコアを出し、総合点に加算するそうです。
この処置が本当に公平かどうかは疑問です。
スピーキングが苦手な受験生はあえてESAT-Jを受けないで、当日試験に集中してより高得点を出した方が有利かもしれません。
ESAT-Jのスケジュール
実際に入試でESAT-Jが使われるのは令和4年度以降、令和5年の高校入試からです。
現段階でのスケジュールは次のようになっています。
・令和4年7月下旬から9月上旬まで
ウェブによる申し込み、および特別処置申請
↓
・令和4年11月27日(日)
ESAT-J受験
↓
・令和4年12月18日(日)
ESAT-J受験予備日
↓
・令和5年1月中旬
個人及び中学校の結果帳表の受取
↓
・令和5年2月
都立高校入試選抜でのESAT-Jの結果活用
コロナウイルスの時勢柄、会場や使用機になどに対してガイドラインに基づく感染症対策が実施されるということです。
(手指消毒の徹底、マスク着用、関係者の検温、タブレット端末の除菌など)
ここで注意しないとけないことは、スピーキングテストの試験日が都立入試の本試験の前になっているということです。
11月末にはテストなので、他の勉強より早めの準備が必要です。
これを気づかず、後になって慌てても良い結果は得られません。
新しい試みだからこそ不測の事態も考えられますので、情報収集など怠りなく。
どうしていいか分からないときは、葛西TKKアカデミーまでお問合せください。
このように都立高校入試においてスピーキングテストがかなり現実的になってきましたが、多くの生徒や保護者はまだ詳しく知らない人が多いようです。
しっかり情報収集をして早目の対策をお勧めします。
もちろん、葛西TKKアカデミーでも対策の授業を行い、実際に模試も受けられます。
事前にテストの内容と答え方を理解するだけでなく、テストに使う機器の操作にも慣れておく必要があります。
そのためにも、繰り返しになりますが、葛西TKKアカデミーのスピーキングテスト対策講座を受けてください。
模試も含めてご案内いたしております。
現在、日本の学校教育で行われている教育改革は非常に大規模で、これまで親御さんが経験したことのない教育になっていきます。
この変化にいかに対応できるかどうかが、これからの学校生活、受験、そして人生の成功への大きな鍵となるでしょう。
未知のことで不安もあるかと思いますが、要はきちんと対策ができていれば大丈夫です。
逆にできない人は落ちこぼれてしまい、各家庭、個人、及び学校にどれだけ対応能力があるかで、その後の生徒たちの人生が変わってくると考えられます。
いろいろ分からないこと、不安なことがあると思いますが、そんな時はどうか葛西TKKアカデミーまでご相談ください。