塾長ブログ
2022.09.14
立ち返って勉強するのは良い方法ですが注意点もあります
万人に通用する勉強法はありません。
人は十人十色なら、その人に会った勉強法も違って当然です。
自分に合った勉強法を見つけることが、成績アップへのカギとも言えます。
では、どうやって自分に合った勉強法を見つければいいのでしょうか。
経験ある先生であれば、どの生徒にはどのような勉強方法があっているのか、ある程度は分かります。
しかし、これも絶対ではないので、実際にやってみないとうまくいくか分かりません。
ということは、生徒たちにふさわしい勉強法をアドバイスするには、より多くの勉強法を知っている方がいいということになります。
しかし、一般的には各勉強法の良い点ばかり注目され、それぞれの問題点は見過ごされがちです。
よく宣伝で「○○法」とか「○○方式」などと言って、あたかもその方法なら完璧のようにうたっていますが、そんなものはこの世にはありません。
あればみんな成績優秀になってしまいます。
今回は勉強が分からなくなったときによくする「立ち返って勉強し直す方法」を考え、その弱点や注意点にも触れてみたいと思います。
分からなくなったところまで戻って勉強
勉強ができないとき、分からなくなったときは、その原因を調べないといけません。
時には、その原因が過去の勉強で十分に理解していなかったり、身に付いていなかったところ、いわゆる『勉強の穴』であることがあります。
自分は分かっていたつもりでも、実は本当に理解していなかったというのはよくあることです。
勉強はこれまでの勉強の積み重ねで、前出の内容が土台となって新出の内容が成り立っていることが基本です。
だから、ドミノのように、一つのことが分からなければそれにつられて以降の勉強も分からなくなります。
そんな時は、勉強が分からなくなる発端である地点までさかのぼって勉強するのが有効です。
先ほども述べたように勉強は積み重ねなので、つまずいたところが分かれば立て続けに全て分かるようになることもあります。
そうでなくても、少なくとも分からなかったところが減り一歩前進になります。
また、「できた」という経験をさせることが本人の自信につながり、勉強に対するやる気を引き出すこともあります。
よって、勉強が分からなくなったときは、やはり本人の解ける内容から始めるのがいいでしょう。
そのために、場合によってはずっと過去にさかのぼり、勉強を始める必要があるかも知れません。
この方法の問題点:時間と忍耐と本人の姿勢
しかし、常に「できた」という実感を持続しながら、勉強のモチベーションを維持しながら進めていくとなると、一挙に難しい問題は扱えません。
一つ一つ地道に頑張らないといけません。
つまり、非常に時間が掛かるということです。
焦らず本人の能力の許容範囲で勉強を進めるということは、教える側、そばで見守る側としてはとても忍耐力のいるやり方です。
我慢できずについつい口出しすると、一気に本人の勉強熱が冷め、せっかくのやる気を削ぐ結果になるとも限りません。
本人は頑張っているつもりでも、はたから見ると時間が掛かりすぎるように見え、イライラしてきて怒鳴ってしまった、怒ってしまったという経験をお持ちの親御さんはたくさんいると思います。
親子げんかになって「もう知らない」なんて言ってしまうと、取り返しのつかないことになりかねません。
そんな時はやはり専門の人に頼むのがいいです。
それでも現実には多くの場合期限というものがあり、本人の許すペースで勉強を進めていくにしても、物理的限界に直面することもあります。
実際に定期テストなどで時間制限が設けられている学校教育で、このアプローチが適切かと言うと疑問が残ります。
どこまでさかのぼるかにもよりますが、基礎ができていない生徒ほど昔まで戻らないといけません。
しかし、上記のように時間が掛かるので、生徒に進み具合を合わせると期限に間に合わなくなったり、他の生徒に追いつかなかったりする可能性があります。
かと言って、急がせると生徒のやる気を損なって、勉強と向き合おうとしなくなる恐れもあります。
勉強に対する自覚はあるが、単純に一部勉強が抜けていただけならいいのですが、基本が抜けている生徒はたいてい、もともと勉強嫌いで、ちょっとしたつまづきで勉強を諦め、それを口実に勉強から逃げ出して現在に至るという事例が多いです。
勉強嫌いで面倒くさがっている生徒を奮起させ、モチベーションを保ちながら勉強させるのは至難の業です。
このような場合も、この立ち返るやり方がどれほど有効か疑わしいです。
以上、議論したように「立ち返って勉強し直す方法」は悪くありませんが、それでも限界があることを理解して頂ければと思います。
ある程度ならいいのですが、やはり戻る内容があまりにも遠いと、この方法では限界があります。
特に時間的制約はいかんともしがたいものがあります。
従って、一番いいのはそこまで「分からない」を放置しないことです。
これは本人の責任でもありますが、周囲の人間も気を配って、普段から声掛けするなど、常に確認し早期発見できるように心がけましょう。
早めに気づくことは大切で、早ければ早いほど対策も多く、挽回も楽になります。
早い段階であれば、戻ってやり直す範囲も少なく時間もかからないため、この「立ち返って勉強し直す方法」も役に立つと思います。