塾長ブログ
2022.11.14
都立高校の入試問題傾向と対策:社会編
都立高校の入試問題を扱う本シリーズですが、今回は社会です。
社会も好き嫌いが分かれる教科ですが、都立高校の入試問題はある程度パターンが決まっていますので、各大問ごとにそのパターンを検証し対策を考えていきます。
先ほど「好き嫌いが分かれる」と述べましたが、受験でうまくいくコツは苦手を作らないことです。
苦手教科はやりたくないから好きな教科ばかり勉強して、できる教科とできない教科がはっきり結果にも表れる受験生もいますが、そのような人は十分注意をしないといけません。
詳しくは別の機会で話しますが、受験では、「特に目立って良い成績の教科はないが悪い成績の教科もない」よりも「できる教科とできない教科がはっきりしている」の方が強いです。
要は平均を上げるということで、苦手教科ほど(嫌でも)勉強しないといけないということです。
少し話がそれましたが、それでは社会の各大問を見てみましょう。
大問1
大問1は地図を使った問題です。
地図をもとに、問題中の人物の歩いた経路を考えたり、ある地点から見える景色を写真の中から選んだりします。
重要なのは地図記号などをきちんと理解し、その地形を正しく掌握できるかどうかということです。
地図を見ながら、頭の中で情景を想像する力が必要です。
他に日本地理、世界地理、歴史、公民から基本的問題が2問出されます。
難易度は低いので、どの分野も教科書をしっかり読んで基本的な用語とその意味などをしっかり理解してください。
特に歴史ではその史実を知っているかだけでなく、起こった地図上の位置も聞かれますので、場所と合わせて覚えてください。
大問2
世界地図上の国に関する問いが出されます。
雨温図の都市を見つけ、それを含む国名を答えさせる問題が出ます。
雨温図の気温が凸か凹かで北半球か南半球かを判断します。
後は気温と降水量の特徴から都市を見つければいいのですが、それぞれの気候をきちんと把握し、世界地図のどのあたりが何気候かも分かっていないといけません。
次に各国の資料(生産量や輸出入量、出入国者数、発電量など)を見て、問題文に示されている国を見つける問題がでます。
各国の産業や社会状況などを理解し、特に各国のキーワード(羊といえばニュージーランドのような)からその国か判断できるようになりましょう。
消去法などを駆使して選択肢を減らしていけば、正解を見つけるのはそれほど難しくありません。
大問3
大問3は日本地理の問題です。
世界地理同様に、日本の地理的特徴を捉え、雨温図から各気候が分かるようにしてください。
そして、各地域の地理、産業、社会文化などの特徴を動的に理解し(時代の移り変わりに伴う変化)ましょう。
各都道府県の特産物や人口の特徴を、こちらも世界地理同様に、キーワードを中心に覚えましょう。
こうして、問題中の資料から要求される都道府県を特定できるようになってください。
また、提示された資料から理由を考えさせる問題では、資料が何を示しているのかをしっかりと明記し、そこからどうしてそのような事実が浮かび上がるのか、きちんと説明できる論理展開と表現力を身に付けましょう。
これは実際にたくさん書いて練習すればできるようになります。
他の問題もそうですが、資料を読み取って答える問題は、事前に覚えなければ解けない問題と違い、その場で読み取れさえすれば解ける(変化とその理由、因果関係を考える)問題なので、サービス問題です。
しかも、記述は自分の自由に書くことができるし部分点もあるので、記述問題は必ずやってください。
大問4
大問4は歴史の問題です。
文章が引用され、その中の一部ごとに関連した問題が出されます。
歴史的事件の起こった順番を問う問題、または、ある事実が年表のどの範囲で起きたかを問う問題が出ます。
ここは歴史的出来事をただ覚えるだけでなく、全体の流れを押さえましょう。
その時に、「○○が起きたから××が起きた」など、それぞれの出来事のつながりと因果関係が分かると覚えやすいし理解しやすいです。
そして、何時代の出来事か(多くの場合は細かい年まで覚えなくて、だいたいいつ頃で十分です)を覚えていれば、比較的答えるのは簡単です。
なぜか分かりませんが、江戸時代の政治改革は本当によく出ますので、順番だけでなく誰が何をしたかも正確に覚えましょう。
また、資料を使った記述問題も出ますので、地理と同じように資料をしっかり読み取り、それが何を示しているのか考え、そこから問題が要求する答えを上手く導き出してください。
繰り返しますが、部分点があるので記述問題は嫌がらずに必ず何か書いてください。
白紙が一番もったいないです。
大問5
対問5は公民の問題です。
憲法や人権、政治や経済とどの分野からも一通りバランスよく出されます。
歴史と同じく文章が出て、その中の下線部に関連する問題が出されます。
憲法や人権の基本的考え方、政治と財政の仕組み、少子高齢化問題と福祉、消費生活など、基本的な事柄をしっかり身に付け、実践問題を通して自分の実力が本当に発揮できているか確認してください。
よく分からなくなったら教科書やワークに立ち返り、何度も何度も確認し正確に理解しましょう。
「衆議院の優越」や「文化的で最低限度の生活」「三権分立」「戦後の日本経済の動向」「現在の国際情勢と日本への影響」など基本的なことがよく聞かれます。
大問6
最後は社会の各分野がいろいろと絡みあった総合問題になります。
オリンピックや自然災害などの実際にあった出来事から地理や歴史を絡めたり、国際社会や環境問題から地理や公民を絡めたりと、問題もかなり工夫されています。
地理的歴史的知識も必要ですが、大事なのはそれらをどのように組み合わせて考えることができるかです。
この辺りは単純に覚えるというより、それらの習得した知識をいかに活用して答えを導き出せるかという問題なので、実際に多くの問題に触れながら、多様な解き方や考え方に慣れておく必要があります。
以上、社会と見てきました。
社会は覚えなければならない用語が多く、そこが受験生も苦労する点ですが、入試に関してはそれだけではダメで、覚えた知識をいかに上手く使い、出題者の意図を読み取り答えられるかが重要になってきます。
また、覚える問題だけでなく考える問題もできるように練習し、特に記述問題は最初からあきらめずに、積極的にチャレンジしてほしいです。
書けば何かしら点数になりますから。
二学期の期末テストが終われば本格的に受験勉強一本となります。
苦しいとは思いますが、勉強がやればやった分だけの結果が出ます。
そんなに長い期間ではありませんので、何とか苦しみに耐え、試練を乗り越えて、来春には笑って新しい学校生活が迎えられるように祈ります。
応援しています。
頑張ってください。
助けが必要な時はいつでも遠慮なく、葛西TKKアカデミーにご連絡ください。
いつでも受験生の味方です。