塾長ブログ

2024.02.26

今年度都立高校入試を振り返る三回目(社会・理科)

 

今年度都立高校入試を振り返る三回目(社会・理科)
今回も引き続き、都立高校の入試問題を検証してみます。
いよいよ最後の回となります。

社会

社会の大問1の最初は地図を使った問題。
地図上に示された経路にある四地点の地形から、示される四つの写真を特定するもので、こちらも似たような問題が頻繁に出されています。
よって、しっかり過去問等で練習してきた受験生であれば容易であったと思います。
写真とその説明を理解し、地図を正確に捉えていれば問題ありません。
他に歴史と公民から用語に関する問題が出ていましたが、こちらも基礎的な問題なので教科書の太字をきちんと勉強していれば解けたはずです。

大問2は世界地理でした。
こちらも出題形式は例年通りです。
雨温図からどの気候か判断ができる必要がありました。
問題中の文章の中から、特定の根拠となるキーワードをきちんと見つけられれば、他の問題もできるはずです。
特に問3では国を特定した後、資料を正確に読み取って、説明文に基づいて取捨選択すれば解けます。
資料の読み取りに関する問題は、予備知識なくその場で資料さえ正しく捉えられれば答えられるので、このタイプの問題は是非取りたいところです。

大問3は日本地理です。
こちらも出題形式はいつもと同じです。
地形や気候の説明から都道府県を特定する問題、昼夜の人口移動に関する問題が出ていました。
最後の記述問題も、出題の意図をくみ取って何を答えさせたいのかを考えながら解けばそれほど難しくはありません。
記述問題だからと言って敬遠しないで、慣れれば意外と簡単なものが多いので、普段から挑戦して欲しいと思います。
全体的にいつもよりはやや簡単だったのではないでしょうか。

大問4は歴史の問題です。
日本と外国との交流は各時代の重要事項を押さえていれば、年代順の並び替えはできたはずです。
二問目は資料からの記述問題でした。
問題が何を意図して解答させようとしているのか、分かりにくく戸惑ったかも知れません。
「河村瑞賢」という聞き慣れない人命に、難しそうと感じた受験生も多かったと想像します。
しかし、素直に「提案」の内容を読み取って、要約して解答すればできなくはないでしょう。
問3は選択肢の時代を特定する問題、問4は戦後の外国との輸出入量の資料から選択肢の期間を特定する問題でした。
どちらもこれまでに出たこともある形式なので、それほど問題はなかったでしょう。
特に問5は戦後の日本の経済発展のパターンとその時代背景を理解していれば平易であったと思います。
並び替えが三問も出たのは異例と言えるかも知れません。

大問5は公民の問題でした。
問1は基本的人権に関する問題、問いには国会の予算に関する問題でした。
問1については基本的な問題なのでできた受験生も多かったのではないでしょうか。
問2は文章が歳入の何を示しているのか理解しないといけませんが、これを特定するのは難しくはなかったと思います。
文章を正確に読み取れば、その説明からグラフのどれに該当するか分かり、特定ができればその税の説明をしている選択肢を見つけるものできると思います。
問3はSDGsについての問題ですが、世間一般でもよく言われ、学校の授業でも社会に限らずいろいろな場面で強調されている話題なので、SDGsは間接的にも馴染みがあると思います。
その分解きやすかったのではないでしょうか。
問4は資料を読んだからの記述問題になります。
成人年齢が下げられたことに関するもので、資料の内容を要約すればできたと思います。
ここでも文章表現力が試され、普段から書くことに慣れているかどうかが解けるか解けないかの分かれ目になるでしょう。
この問題を含め今回の社会は記述問題が三問も出されたので、これまで記述を避けてきた受験生には大きな痛手になったかも知れません。

大問6は総合問題で、こちらもいつもの形式でした。
問1は歴史上の日本人が海外との関係した説明文を読んで、その国を特定する問題でした。
説明文中のキーワードが見つかればある程度絞られるので、全てを知らなくても解けたと思います。
特に隣接するフランスとドイツの位置関係に注意してください。
日本の医学がドイツから強い影響を受けていることを知っていれば、解くのがより楽になったでしょう。
問2は近年の経済に関する国際会議についての問題でした。
説明文にある世界的出来事が何か分かると選択は可能だったと思います。
最後は国連の加盟国数に関する問題でした。
旧植民地からの独立に関する流れと、その結果何が起こったのかを知っていれば比較的簡単に解けたと思います。

理科

大問1は理科の基本的な問題で、各分野から出されました。
教科書をよく読んでその内容をしっかり理解していればできるものばかりでした。
どれもひねった問題ではなく、できた受験生は多かったと予想できます。
大問2も毎年出されるレポート形式を利用した問題でした。
少し文章が長い気もしますが、このタイプの問題に慣れ要領よく読み取りができる受験生なら解けたと思います。
しかし、問題内容をきちんと理解するのが苦手な受験生は、覚えているだけでは解けない問題が多いので、苦戦したかも知れません。
問2は問題をよく読んで比例関係を正確に理解しないといけないので難しかったかも知れません。
大問3は天体に関する問題で、過去問や模試などでよく見かけるパターンの問題でした。
問2は記述ですが、解くのは比較的簡単でした。
問3は地球の自転と太陽の方向について正しく理解していないと思考が混乱するかも知れません。
焦らず注意深く解いてほしいものです。
問4も少し分かりにくい出題の仕方をしているので、勘違いして問題を間違えることのないように注意してください。

大問4は光合成に関する問題でした。
問1は顕微鏡の扱い方に関する問題でした。
器具の使い方はやらない受験生が多いですが、試験でも時々出てくるので手を抜かず押さえておきましょう。
他は実験結果から何が分かるのか問う問題で、これまでもよく取り上げられる内容なので、できた受験生は多かったのではないでしょうか。
図の読み取りを間違えないように気をつけてほしいです。

大問5は科学実験の問題で、電解質、水溶液についてでした。
温度と溶解度の関係を正確に理解していないといけなく、特に質量パーセントの問題は計算が必要になるので、苦手な受験生には難しかったかも知れません。
問3に再び記述問題が出され、理科で二回記述が出たのは珍しいことですが、解答自体はそれほど困難ではなかったと思います。

最後の大問6は物理の問題でした。
基本的な学習事項を押さえ、計算方法を分かっていればできなくはなかったでしょう。
問1で「作用・反作用」がでてきましたが、実験内にある力の関係を正確に見極める必要があります。
「つり合い」の関係と混同しないように注意してください。
問3の台車が坂道を下るときにはたらく力の問題は、これまで非常によく出ており、学校の授業でも強調されたと思います。
ここの理解はきちんとしておきたいものです。
位置エネルギーと運動エネルギーの問題は理科でもよく出るものの一つですが、問4では実験に基づいて答えないといけないので、実験内容とその結果を正しく捉えていないといけません。
正確に読み取り誤解のないように答えてください。



以上、5教科を見てきたわけですが、全体としては出題パターンも難易度もいつも通りの印象を受けました。
特に大きなサプライズはなかったので、過去問などこれまで出てきた問題を解いて練習していれば、問題を解くのはそれほど難しくはなかったのではないでしょうか。
基本事項を正確に身に付けていれば、高得点も狙えたと思います。
平均点は少し上がったかも知れません。

多くの受験生はこれで一段落ついたことと思います。
長い受験勉強、大変ご苦労様でした。
とりあえず一休みしてください。

数日後には試験の結果が出ると思います。
結果がどうであれ、この苦しい試練を乗り越えられた経験は、皆さんの今後の人生に大きな力となるはずです。
勉強だけでなく、人間の成長としても多くのことを学べたのではないでしょうか。
そういう意味では、一回り大きくなった自分を誇りに思っていいと思います。

本当にお疲れ様でした。
目の前の困難から逃げることなく、最後まで戦い抜いた皆さんは本当に立派で素晴らしいです。

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