塾長ブログ
2025年03月
2025.03.26
円谷英二「まず『できる』と言う!方法はそれから考える」子どもと接するとき考えさせられる言葉
「まず『できる』と言う。方法はそれから考える。」
これはウルトラマンやゴジラなどを生み、特撮の神様とも呼ばれた円谷英二の言葉です。
また、「ないものは作ればいい。」とも彼は言っています。
どちらの言葉も子供たちと接するときに非常に考えさせられます。
魔法の言葉
不可能と思われるほど限られた予算と製作期間でも、円谷英二は自身の持てる技術と知恵を総動員し、創意工夫しながら映画『ゴジラ』を完成させました。
今では撮影で当たり前のように使われるクレーンやミニチュア撮影、グリーンバック撮影も彼のアイデアが元になって生み出された技術だそうです。
現在ではあまりにも当然のように使われていて、なしでは考えられないような撮影方法も、当時ゼロから考え作り上げるとなるとどれほど困難か想像に難くありません。
しかし、このような技術も彼が言葉を実行したからこそ、今の私たちはその恩恵にあずかることができるのです。
楽観的で無計画のようにも聞こえますが、先の心配ばかりして一歩が踏み出せないのであれば、いつまで経ってもゴールにはたどり着きません。
まずは自分の立ち位置を決めて、そこから動き出さないといけない。
そして、実際にやってみれば「大したことなかった」なんてことはよくあるのですが、行動を起こすまでは怖くて勇気が出ずにどうしても知りごもりをしてしまう。
特に物事をまだ十分に理解できない子どもたちは、失敗を恐れなかなか挑戦できません。
そんなとき、この言葉は大いに力を発揮します。
ナイーブな子どもたち
人生経験の少ない子供たちには物事がどれほど困難か、人間の可能性がどれほどのものなのか正確に推し量ることは難しいです。
大人が言ってもなかなか確信が持てず尻込みをしてしまい、せっかくできるのにやらないということがよくあります。
特に最近の子供は慎重というか、臆病な点を強く感じます。
子供らしく若者らしく、失敗を恐れず無鉄砲に立ち向かってほしいのですが、自己肯定感が低く自分に自信を持てない生徒が多いように思われます。
または、チャレンジすることを面倒に感じ、その言い訳として自分を卑下する。
怠慢とも言えますが、それが自分の成長の機会を奪い、自分にとってマイナスになるということを理解するのも彼らには難しいようです。
さらに、とにかく失敗したくないという気持ちが強く、「失敗して笑われるくらいなら何もしない方がいい」と考える生徒も多いです。
これは自己へのプライドの高さ(保身)と相関するものとも考えられるでしょう。
これらの理由で、勉強に限らず何においても一歩が踏み出せないナイーブな生徒が増えているように思われます。
考えすぎず気楽にチャレンジ
子ども時代はある程度の失敗なら許される貴重な時期です。
これは若者の特権、未熟だからこそできること。
だから、この時間にいっぱい失敗してほしいと思います。
「失敗は成功の基」、学びのチャンスです。
失敗からたくさんのことが学べ、より人間として高みに至ることができます。
100点なんてつまらない、新しく得るものがないから。
テストの結果なんて悪くてもいい、そこから学んで大きく成長できれば。
つまり、テストや問題を解くのは学びのゴールではなく出発点なのです。
だから、結果だけ見て一喜一憂して終わることが多いですが、そこで終わってはもったいないです。
自分の至らぬ点を把握し、それを改善する機会として有効に活用すればいい。
「分からない」が「分かる」になった瞬間の喜びは何ものにも代えがたく、それを理解すれば「間違い」は怖いものではなく「楽しさ」のきっかけに変わるのです。
最終的にどちらに転んでも、自分次第で自身の糧にできる。
そうであるなら、深く考えずとにかくやってみましょう。
後はなるようになるし、大抵は心配するほどでもなく「こんなものか」と思えることも多いです。
でも、動かなければいつまで経っても何も変化はなく、自分を高める成長はできません。
円谷英二の言葉に勇気をもらい、まずは第一歩を踏み出してみましょう。
大丈夫、心配いらない、うまくいく。
大人の配慮で子どもたちが歩み出せるように
子どもが二の足を踏んでしまう理由に周囲の目があります。
特に自身のプライドを重視する思春期の子どもたちには、これは大きな行動要因になります。
だから、周囲から軽蔑されるかもしれないと自身の失敗を非常に恐れ、「失敗するくらいならやらない方がいい」と考え動かないことは生徒にはよくあることです。
問題が分からないとき「分かりません」と言わず、「言いたくないです」と言った生徒がいたことが思い出されます。
周りの大人は表面だけでなく深くまでしっかり見抜いて、子どもたちを正当に公平に評価しなくてはなりません。
彼らは成長段階発展途上であるということを私たちは忘れがちです。
それでも評価を下さないといけないのが現実ですが、そうならそのときの結果だけで判断し結論付けてはいけません。
そこにある成長の可能性に目を向けないのはいけません。
非難するのではなく、問題点を一緒に考え人生の先輩としての有益なアドバイスを与えてください。
大事なのは子どもたちを単に欠点を指摘することではなく、どうすれば彼らを伸ばせるかということです。
ここも難しいことですが、この点に注意を払いながら思慮深く接することを心がけましょう。
そうすれば子供たちとの間に信頼ができ安心感も生まれるでしょう。
子どもたちの「恐れ」を取り除き、歩み出せる勇気を持てるようにはたらきかければ、失敗を恐れず何事にもチャレンジができ、その経験が彼らを大きく育てます。
人間の強さは常に変化することで、成長して問題を克服できることです。
留まっていては変化できないので、子どもたちが安心して歩き出せる環境と社会づくりが、大人の重要な責務であると考えます。
失敗(間違い)は罪ではない。
子供のうちにいっぱい失敗(間違い)をし、学びましょう。
また、子供の失敗を許せる寛大な社会環境も大切です。
そのためには大人もゆとりがないといけません。
それは大人自身の問題なのですが。
そして、「間違いが怖いものではない」と分かれば、子どもたちは失敗を恐れず挑戦する勇気が持てるでしょう。
ちょっとうまくいかなかったからと自分を小さくしないで、不安に打ち勝てる強さと苦しさに耐えられる力を身に付けてほしいと思います。
そんなときに、この円谷英二の言葉を唱えてみましょう。
隠れていた一歩踏み出す勇気が湧いてきます。
「人生なるようになる、大丈夫」と。
最近の教育界でも「自己肯定感」と言うのはキーワードになっています。
子どもたちが自分を信じ積極的に前進できるよう、葛西TKKアカデミーは努力しています。
ご家庭でもこの言葉を思い出し、子どもたちに勇気が持てるようになれることを願います。
2025.03.19
「アクティブラーニングって何?」これからの日本教育のキーワード!
学校教育は日々変化しています。
その時代時代で教育観が変わり、学習内容、指導方法が大きく変わることもあります。
日本の公教育の場合、特に指導要領改訂のタイミングで大きな変化が起こることが多々あります。
中でも現在の指導要領に代わってからの変化には目を見張るものがあります。
前例を見ないと言っていいほどの大改革と言われていますが、その中の要となるものにアクティブラーニングがあります。
文科省は社会に活躍できる人材育成を目指し、知識偏重の教育ではなく、学んだ知識を用いて答えが一つではない様々な問題に生徒が取り組める教育を目指すことが新学習指導要領から分かります。
この目標達成のために導入されたアクティブラーニングですが、実際どのようなものなのでしょうか。
これを取り入れることで学校教育がどのように変わるのでしょうか。
なぜアクティブラーニング?
例えば数学の方程式を解く問題であれば、誰がやっても答えが同じで決まっています。
しかし、「学校の部活動で部員が活発に取り組むようにするにはどうすればいいか。」という問題は決して答えが一つではないし、決まった正解がある訳でもありません。
でも、このような問題は私たちが生きる中でたくさん直面するものです。
今までの知識偏重の教育は、課題を与えられ解法も与えられて、それを処理するには大いに役立ちます。
しかし、今後はそのような機械的な処理はAIが担うので、人間はそうではない分野で活躍できなければならないと考え、今回の教育改革となった訳です。
アクティブラーニングってどんなもの?
では、実際にアクティブラーニングとはどんなもので、どのように子供たちに解答のない問題に取り組むようにさせるのでしょうか。
英語を想定してみましょう。
英語を学ぶのに先生が文法や単語などを基本的には教えません。
代わりに例えば、「発展途上国の人々が教育を受けられるようにすればどうすればいいか」という課題を与えます。
生徒たちは自分たちで「発展途上国の教育の実態」調べます。
そして、自分たちでどうすればいいか話し合います。
最後に英語でプレゼンテーションをします。
この過程で、英文の資料を読まなくてはならなくなれば、自分たちで単語や文法を調べます。
意見交換も英語で行い、自分を英語で表現するにはどうすればいいか考えます。
もちろんプレゼンテーションも英語なので、自分たちで調べ英文の原稿を作ります。
そして、どうしても先生の助けが必要なときは、先生に質問しアドバイスなどをもらいます。
今までのように与えられて覚えるのではなく、自分たちで必要に応じて調べ学ぶのです。
この過程で英語の知識だけでなく、論理的思考や途上国の実情などを学ぶのです。
そして意見交換では相手の意見を要約し正確に理解し、更に相手を説得するにはどうするかというディスカッションの能力も求められます。
こうやって英語の知識と運用能力を身に付けるのです。
アクティブラーニングの課題
これらの事柄を身に付けられるアクティブラーニングは非常に理想的な教育方法に思われます。
しかし、「問題はこれが効果的に実践できるのか」ということです。
アクティブラーニングにおいて教師の役割は知識を与えるというより、生徒が活発に学ぶように促すことです。
これには豊富な知恵と知識と多くの経験が必要です。
なぜなら、生徒の状況は一様ではないので状況に応じて臨機応変な対応が求められますし、授業を盛り上げるために時には冗談や笑いのネタなども言えないといけません。
課題も様々なのでどんな問題でも対応できる幅広い教養が必要です。
経験がないと、機転を利かせ生徒のモチベーションを高め、自分からやる気にさせるのも難しいでしょう。
また、生徒の行動に頼る部分が多いので、狙い通りの内容を身に付けさせるのも難しく、学習時間も今まで以上にかかるでしょう。
限られた時間で指導要領に書かれている全ての要項を習得できるかどうかは、生徒を暗示的に目的に向かって導けるかどうかという指導者の技量にかかる部分が大きいのです。
しかし、そもそも基礎的知識を身に付けさせるだけでも今まで精一杯だったのに、更にそれを使って論理的に展開し課題に取り組むまで持っていけるのでしょうか。
また、それぞれの生徒で異なる学力や性格、姿勢などをどのように評価すべきなのでしょうか。
よくあるのが、どうしても人前で発表するのが苦手で何も言えない、もしくは発表するのが面倒くさい、そんな生徒をどのように見なすかです。
相手の意見を面白いと思う、自分の考えを言うのが楽しくなる。
これは生徒の問題というより、そのような気持ちに生徒を導けるかという先生の問題とも捉えられます。
いかに生徒の知的好奇心を刺激し、授業を活気づけられるかによって、生徒の学びも大きく左右されます。
そう考えると生徒の勉強に向かう姿勢も先生の指導によるところが大きく、生徒の評価が低いということは先生の指導が悪いということもできます。
そもそも欧米などで実践されているアクティブラーニングですが、日本のように40人もの大人数で試みた例はありません。
ご存知のように無効のクラスはせいぜい20人程度で、このようなきめ細やかな教育をこんな大人数のクラスに適用させてうまくいくのかは、実は誰にも分らないのです。
先ほど述べた教員の経験の問題に加え、アクティブラーニングを行う環境も考える必要があると思います。
これまでの教育とは大きく違う教育になるのだから、それにふさわしい環境を整える必要があるのです。
ようやくオンライン授業用のWifiや端末などが公立学校でも揃ってきましたが、十分に使いこなせて活用できているかというと、そうとも言い切れません。
不十分な学習環境で果たしてアクティブラーニングを実施しても大丈夫なのかと心配にもなります。
他にもアクティブラーニングを実践するにおいてクリアすべき課題はたくさんあります。
上手くいけば非常に有効な教育方法ですが、そうでなければ結局基礎知識すら身に付かないリスクがあります。
そして、そのリスクは一人ひとりの生徒や先生によるところが大きく、下手をすれば個人差をより広げる教育になりかねません。
言い換えれば、学ぶ側も教える側もアクティブラーニングの意図をよく理解して授業を受けないと、その意義は薄れてしまうのです。
以上の点に注意してアクティブラーニングを有効に活用し、子供たちの学力向上につながってほしいと願います。
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