塾長ブログ

2020.05.26

コロナウイルスの影響で長期休校となってしまった学校教育。受験生救済の観点から叫ばれ始めた「9月入学」だったはずなのに、政府が提示するのは小学校入学を中心とする移行案。ちょっと論点がずれていませんか。

コロナウイルスの影響で長期休校となってしまった学校教育。受験生救済の観点から叫ばれ始めた「9月入学」だったはずなのに、政府が提示するのは小学校入学を中心とする移行案。ちょっと論点がずれていませんか。

コロナウイルスによる混乱で学校教育がストップしています。
しかし、休校期間は地域の状況によりバラバラ。
長く休んでいる学校もあれば、すぐに再開した学校もあります。
加えて、休校となっていてもオンライン授業に対応できている学校(主に私立学校)とそうでない学校(主に公立学校)で授業の進度に差が出ています。
更に家庭の経済状況で、学校以外の教育にアクセスできる家庭とそうでない家庭の間にも教育格差が生じています。
今回の政府のコロナウイルスにおける対応がこのような教育格差を更に大きくしたことは否めません。

特に中学三年生や高校三年生の受験生の中には、そうでなくても教育改革で入試の内容が大きく変わる第一期生となり、昨年の入試制度をめぐるドタバタで制度そのものがどうなるか確定もしていない中、コロナウイルスのせいで学校でも家庭でもまともに勉強が者が多く発生しています。
入試に関連して一番重要な公平性が損なわれている状態であると指摘されています。
教育機会の均等と学ぶ権利が保たれていないのは憲法にも触れる大きな問題であり、何らかの解決策を見出さないといけません。
しかも、早急に決めないと生徒(特に受験生)は何をどうすればいいか分からないまま時間が過ぎてしまい、いざ決定されたときにはもう準備対応できなくなる心配があります。
そのような生徒や保護者、教育現場に携わる人々の心配を理解していないのか、残念ながら文科省は未だに明確な答えを出していません。
ぼんやりとした指針を出して、細かいところはこれぞれの自治体や学校が考え対応しろと言うのが今のところせいぜいみたいです。

このような教育の不公平が増長され、明確な対策も示されないままで本当にまともな入試ができるのか。
コロナウイルスにより生じた教育格差を埋め、十分な準備時間を確保して誰もが公平で納得できる入試を目指して受験生やその保護者などから叫ばれるようになったのが「9月入学」でした。

しかし、文科大臣や総理大臣、東京や大阪の知事などが話すのは、コロナウイルスをきっかけにして学校の入学時期を9月にしてしまおう、そうすることでグローバルスタンダードに合わせようということ。
受験生に生じている不公平を是正するのが中心ではなく、この機会に外国と入学時期をそろえようという拙速な思い付きで、生徒や保護者の気持ちを分かっていないように思えます。
だから、文科省の提示する案は学校制度全体をどのようにして「9月入学」に移行させるかばかりで、特に小学入学に関することばかりです。
しかも内容によっては何年もかけての移行。
つまり、今の受験生が今必要としているのにそのことは全くお構いなしという政府の立場がうかがい知れます。

「9月入学」についての詳しいお話は後日しますが、ここで強く言いたいのは、文科省を始めとする政府は本当に庶民の気持ちや状況を理解しているのかということ。
理解していないから論点がずれているのではないかということです。
入試制度改革を始めとする教育改革のときもそうでしたが、政府は国民の声に耳を傾けず自分の考えをひたすらごり押しする、理想ばかり言って具体的には現場に丸投げ、しかも十分な援助もなし。
そうして十分な環境も整っていないまま見切り発車され、最終的に一番被害を被るのは生徒たちです。
今回もそうです。
本当に無責任と感じます。

本当に受験生救済のための「9月入学」であれば、9月入学させるのは今の高3、中3(場合によっては小6も含む)だけでよく、こうすれば受験までに1年以上の時間が確保できるので、受験生間の教育格差はかなり軽減できると思います。
(費用的にも他の案より少なくて済むのではないでしょうか。)
残念ながら先ほど述べたようにコロナウイルスの休校期間中の生徒の状況により既に格差は生じており、それを完全になくすことはほぼ不可能ですが、しないよりはかなりましです。

そして、これらの学年の入学後の初年度は半年になります。
半年で消化しきれない履修項目は次年度以降に徐々に修学するのがいいと思います。
その時、生徒が無理なく習得できるように学習内容は厳選し、できるだけ不可欠なものだけに絞る必要があります。

また、今年度から開始されるはずだった新指導要領を延期。
もともと野心的であった新指導要領は準備不足の状態で始められようとしていたので、これを一旦リセットしきちんとできる状態になってから始めるべき。
(この新指導要領に関しても後日お話したいと思います。)
旧来の学習内容であれば新指導要領よりも授業時間も少なくて済みますし、教員たちも未経験の指導法をするよりは慣れた教授法の方が指導もしやすく、効率よく教えることができると思います。
それでも失った時間は大きいので、学習内容をよく吟味し必要最小限のものにし、一刻も早い挽回を目指す。
生徒も自分がすべき勉強がはっきり分かれば勉強にも精が出ます。

これらの受験の学年は卒業時期が半年ずれるので、その間は教員不足が生じるので臨時教員を確保しなければなりません。
むしろこれを機会に教員の数を増やし、教室数も増やし、一クラス20人以下にするのがいいと思います。
コロナウイルスの件を別にしても、今の一クラス当たりの生徒数は多過ぎます。
少子化傾向にあるのに相変わらずぎゅうぎゅう詰めの教室のままでいたことは疑問です。
確かに一人当たりの生徒に欠ける費用がかさむかもしれませんが、それはいいではありませんか。
教育の質を高めましょう。
資源の少ない日本の世界に対抗できる力は人間しかありません。
もっと人間に投資しましょう。

「9月入学」が取りざたされていますが、政府の目指す「9月入学」は生徒が求めている「9月入学」とは違う気がします。
本当に生徒のためになる「9月入学」を考えましょう。

葛西TKKアカデミーは「9月入学」の問題に限らず、現在の生徒の状況、そして学校教育に関して危機感を持っています。
問題も多く生徒が本当の意味での学びが十分でないと感じています。
どのようなことても構いません。
教育で困ったことがあれば遠慮なくご相談ください。
必ず力になります。

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