塾長ブログ

2022.01.28

生徒たちの筆圧の弱くなりきちんと字が書かなくなった原因

最近気になることが。それは生徒たちの筆圧の弱さ。本当に文字がきちんと書けないのです。そして、手書き文化が失われると勉強にも影響があるらしいですよ。(その一)

皆さんが子供のとき、どの濃さの鉛筆を使っていましたか。
鉛筆は芯が基本的に固いものをH、柔らかいものをB、そして、添えられている数字がその度合いの大きさを表します。
私は他の人と同様にHBを使っていました。
しかし、今の生徒はHBを使わないのです。
何と2Bを使っています。
私のころは2Bを使うと、芯が柔らか過ぎて手が真っ黒になってしまうので、美術の時間以外は使っていませんでした。

では、なぜ、今、2Bを使うのでしょうか。
そして、これからITC授業などでますます鉛筆で書く機会が失われると予想されますが、その時、生徒たちの勉強にはどんな影響があるのでしょうか。

何で2B?
先ず、現在学校で2Bが奨励されている理由ですが、それは生徒たちの筆圧が非常に弱くなっているからです。

私も授業で生徒たちが鉛筆でノートを書くのを見ますが、とても力を抜いてノートの表面を軽く滑らせるように書きます。
「止め」や「はらい」など書き方の基本テクニックもなく、鉛筆を持ち上げることもないので、つながった曲線がダラダラ続いているような印象です。
しかも、非常に薄い。
ちょっとこすれれば、すぐに消えて読めなくなるくらいです。
学校の先生も苦労しているようで、テストなどで何を書いたのか分からず、採点ができないほど。
しかも、一画一画丁寧に書いていないので、文字そのものも判別できません。
更に悪いことに、書き順も無茶苦茶なので、バランスも悪く余計読めない。

先生もご苦労様です(他人事ではありませんね)。
文章でなくても、政界に○をつけなさいという問題でさえ、消しゴムで消して残った跡と、生徒が正解と選んでつけた〇の区別がつかないということもあるらしいです。

いまいちピンとこない人は自分のお子様の文やお友達の書いた文字を見てみてください。

生徒たちの文字が薄くなって読めなくなった原因
筆圧の弱さの原因は手の力の低下とみられています。
実際に体育などの体力測定では握力を始め腕力の低下が確認できます。
これは日常生活の中で手を使うことが減ってきているためと考えられています。
例えば、蛇口や瓶など固く閉まったものを開けることが少なくなっています。

それも一つの原因でしょうが、私が注目しているのは生徒たちが文字を書くときの姿勢です。
昔は、「背筋を伸ばして、左手でしっかり押さえて、文字を丁寧に書きましょう。」とよく言われました。
しかし、今の生徒は姿勢が悪くリラックスしすぎて、書くときに力を入れようとしません。
左手はノートを押さえずれないようにするのではなく、頬杖をついています(当然、ここから居眠りになってしまうのですが)。
だから、右手に強い力を入れて書くとノートが動いて上手く書けないので、片手で書いても動かない程度の弱い力で書こうとします。

また、鉛筆の持ち方も筆圧の弱い生徒は違います。
余計な力が入っているというか、鉛筆を握るように持つので、大して書かなくても疲れてしまいます。
腕力の低下に加え、余計な力が入っているので文章を長く書くのが苦手になります。
そして、書くのが面倒と。
「書く」という行為は勉強の一番基本の一つですが、これがきちんとできないので、成績も伸び悩みます。

これらのことは学校での指導の問題ではないかと思います。
先生も昔ほど口うるさう言わなくなったし、おそらく「書く姿勢」や「鉛筆の持ち方」「書き順」などを軽視しているのだと思います。
何でも基本は大事。
小学校に入って本格的に勉強をするようになる時、これらのことを先生はきちんと教え生徒も守っていかないと、結局長い学校生活において常に勉強に支障をきたし後悔することになるでしょう。

更に鉛筆文化を衰退させるトレンド
このように生徒は昔のように力を適切に入れて文字を書くことが減ってきましたが、現在、ある問題が更に生徒の手書き離れを促進させると考えられています。

それは教育のIT化です。
コロナ禍によりまともに学校に行けなくなったとき、子供たちの勉強を守る最後の砦としてオンライン授業が注目されました。
これにより文科省もそれまで計画していた『GIGAスクール構想』を前倒しし、今年度より生徒一人に一台必ず端末を利用できるようにしました。
こういったデジタルツールの導入はこれまでの学校での教授法を大きく変え、それに伴い生徒の学習活動も様変わりすることは容易に想像できます。

パソコンやタブレット端末を生徒に活用させるということは、授業のみならず様々な活動をこれらの端末で行い、もう鉛筆とノートを使うことはありません。
このように学校の近代化が生徒たちの鉛筆文化を衰退させることになります。
分かりにタイピングやタッチペンによる操作になり、書くこと自体が減ります。

ここで鉛筆で書くということがなくなったとして、生徒たちの勉強に影響がなければ何も問題はないのですが、どうも最近の研究によるとそうもいかないようです。
「手書きをしなくなったことで学力の低下が起こる」という発表もあるようです。

本日は長くなってしまったので、この続きはまた書きます。
楽しみにしていてください。

それでは今日はここまで。

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