塾長ブログ

2023.11.09

恒例の『国語に恒例の『国語に関する世論調査』の結果が発表されました(その二)

 

恒例の『国語に恒例の『国語に関する世論調査』の結果が発表されました(その二)
間がかなり空いてしまいましたが、今年の『国語に関する世論調査』に関する議論の二回目を行いたいともいます。。
前回は主に言葉の運用に関する調査結果でしたが、今回は言葉の認識に関する話をしましょう。

なお、今回の調査ではローマ字表記に関する者も実施されたのですが、こちらは個人的にあまり関心がなかったので割愛させていただきます。

1.新しい意味での言葉の浸透

今回の調査の中の項目で、「言葉遣いに対する印象や慣用句等の理解」というものがあり、その中には次に挙げる言葉の現在急速に広まった新しい意味での使用について書かれていました。
次の五つの言葉が取り上げられています。

「寒い」・・・「冗談などがつまらない」という意味
「盛る」・・・「よりよく見せようとする」という意味
「引く」・・・「異様だと感じあきれる」という意味
「詰んだ」・・・「どうしようもなくなった」という意味
「推し」・・・「気に入って応援している人や物」という意味

これらの言葉自体は昔から存在していますが、上記のような意味で使われるようになったのは最近のことです。
この五つの言葉に対して、使うことがあるか質問したところ全体に対して、「引く」は70.0%、「盛る」は53.3%、「寒い」は50.2%、「推し」は49.8%、「詰んだ」は30.5%がイエスと答えています。
「詰んだ」を除いて約半数以上が使うことがあると答えていることから、これらの言葉の新しい意味での使用はかなり広がっていると言えるでしょう。
確かに生徒たちも話しているのをよく聞きますし、テレビでもこのような言葉遣いをしている場面をしばしば目にします。
更に、これらの使用について年齢別に細かく見ていくと、全体的に若い世代ほどこのような言葉遣いをしているのがよく分かります。
一般的に50代以下になると使用の割合が高く、特に10代、20代では「寒い」を除いた四つの言葉で8割くらいが「使うことがある」と答えています。

また、これらの言葉を他の人が使ったときに気になるかどうか質問したところ、「詰んだ」以外の四つの言葉では約8割が「気にならない」と回答しました。
しかし、「詰んだ」も6.5割が「気にならない」と答えているので、どの言葉も日常の中で当り前のように使われていることが分かります。
この質問の回答も年齢別に分析してみると、若い年齢の人ほど「気にならない」が多くなり、それは90%を超えていることがほとんどです。

言葉というのは日々変化し、これまでなかった意味でも、それが普及し人々が使えば当り前になり、その言葉は正規の言葉として認識されます。
今回の五つの言葉はそれを如実に現る結果となっているのではないでしょうか。
しかも、その広がりは若者を中心に広がっていることがよく分かります。
日本語は言語的にも変化の激しい言葉ではありますが、その原動力は若者にあることが推測できます。
そこに、SNSなどのデバイスの発達が拍車をかけているのではないかと考察されます。

2.ことわざ・慣用句などの理解

言葉は生き物で、時代を超えて激しく変化していきます。
ことわざや慣用句もそうで、本来とは違う間違った意味であっても、それを多くの人が正しいと受け入れ(誤解し)使えば、間違った意味の方が実践においては共通理解のできる正規の意味となってしまいます。
このことわざや慣用句などが本来の意味で使われているかどうかの調査は毎年行われていますが、この結果を見て初めて自分の言葉の理解が間違っている、思い込みだったを自覚することがとても多いです。
今年の結果だけでなくこれまでの結果も見て、皆様も正しい言葉遣いを見直してみてはいかがでしょうか。
今回取り上げられたのは次の五つです。

「涼しい顔をする」
「忸怩たる思い」
「情けは人のためならず」
「雨模様」
「号泣する」

「こんな言葉分かって当然」と思っているかも知れませんが、本当に正しく理解していますか。
ぞれぞれ見ていきましょう。
先ず、「涼しい顔をする」ですが、調査によると約6割の人が「大変な状況でも平気そうにする」という意味で理解しているようです。
しかし、本来の意味は「関係があるのに知らんぷりをする」で約2割の人しか正しく答えていませんでした。
「忸怩たる思い」は「残念で、もどかしい」と答えた人が一番多く、全体のほぼ半分に上ります。
本来の意味である「恥じ入るような思い」と答えた人は約三分の一となっています。
「情けは人のためならず」は「人に情けをかけておくと、巡り巡って結局は自分のためになる」という本来の意味が46.2%、「人に情けをかけて助けることは、結局はその人のためにならない」が47.7%でわずかばかり後者が多いですが、ほぼ拮抗していると言っていいでしょう。
「雨模様」は「雨が降りそうな様子」が37.1%、「小雨が降ったりやんだりしている様子」が49.4%で本来の意味の方が上回っているという結果になりました。
最後に、「号泣する」というのは元々「大声をあげて泣く」という意味で、30.3%の人がその意味で答えていましたが、42.1%の人は「激しく泣く」と回答していました。

今回の調査ではどの言葉でも本来の意味より誤った意味の方が、多くの人に理解されており、「涼しい顔をする」のような40%も違うものからほぼ同等の割合になっているものまで様々でした。
その差は何に由来するかは、この結果だけではよく分かりませんが、使用頻度が高い言葉ほど本来の意味がより強く残っているような気がします。



以上が今回の『国語に関する世論調査』のまとめになります。
毎回、この調査結果は私にとって、自分の使ってる日本語について見なおす良い機会となっております。
今年もたくさんの発見がありました。
自分の職業柄、本来の言葉の意味を正しく理解すると共に、実際の社会における使われ方にも注意して、誤解のないように上手にコミュニケーションを取る必要があると感じました。
皆さんはどう考えますか。
日本語について、もう一度見つめ直してはいかがでしょうか。

来年の調査結果も楽しみにしたいと考えています。

2023.11.07

今年の高校入試で変わったこと

今年の高校入試で変わったこと
今年度も高校入試が近づいてきました。
今月下旬には都立高校の入試の一部であるESAT-J(英語のスピーキングテスト)が行われます。
受験生はいよいよ本格的に志望校を考え始め、多くが模試を受け始めています。
こうした中、今年の高校入試の動向もだんだん見えてきました。
そして、受験生の動向には入試制度における各変更点が大きく影響しています。
そこで、今年の入試はどのように変わったのか、そして受験生にはどのような傾向があるのか考えてみます。
注目すべきポイントは二つ、合格者の男女枠の撤廃と5類に下げられた新型コロナウイルスへの対応の変化です。

1.合格者の男女枠の完全撤廃

今年の入試で一番大きな注目点は、合格者の男女枠の撤廃です。
これまでは各高校の男女比を保つために、合格者は男女別々に分けて判定されていました。
例えば100人合格ならば、男女それぞれ50名ずつ合格となります。
しかし、合格者の点数の幅は男女で同じということはないので、仮に100点満点中60点取っても、男子では合格できるのに女子では合格できないという事態が起こります。
同じ点数であっても男女という理由で合否が分かれるということです。
長い間男子と女子は区別して考えるのが当然とされてきましたが、男女の平等が叫ばれるようになって、性別による合否の違いは不公平ではないかという意見が強くなってきました。
そこで、東京都教育委員会ではこれまで段階的に、都立高校入試における男女枠の撤廃を進めてきました。
そして、今年から完全になくなるということです。

これまでの傾向として、女子の方が全体の点数が男子より高くなっています。
それが男女枠がなくなったことで、合格者の男女比は女子の方が高くなることが予想されます。
これまでの男子枠一部が女子に食われるということです。
つまり、男子はこれまで以上に入試が厳しくなるということで、合格するために志望校を1ランク下げて受験するということが考えられます。

2.新型コロナウイルスの5類への格下げ

次に今年から変わった点として、新型コロナウイルスが5類になったことによる対応の変化が挙げられます。
先ず、推薦入試において集団討論を復活させる学校があること。
これまでは新型コロナウイルスの流行で世間が敏感になっていましたが、だんだん社会的に終息の認識が広まり、かつての平常が戻りつつあるなか、これまでコロナ禍で行われてこなかった集団討論の実施に踏み切る高校が現れてきました。
当然受験生は集団討論への対応も求められます。

また、一般受験においても、新型コロナウイルスに感染した場合、これまでは追試、再追試が認められていましたが、再追試が廃止されます。
しかし、最近では以前のように表立って新型コロナウイルスが騒がれなくなりましたが、未だに新型コロナウイルスは存在しており感染者もいますので、受験生にとっては救済処置がない分、昨年度よりは受験が厳しくなったと言えるでしょう。

3.私立高校の難化

東京都によって私立高校の授業料が出ることになって、実質無償化になって以来、私立高校を第一志望にする受験生が非常に増えてきました。
特にコロナ禍で公立学校の対応が拙く勉強が滞ってしまった一方で、私立学校はオンライン授業などに既に対応していたため、授業を進めることができました。
この事実は多くの家庭に公立高校の脆弱性と私立高校の先進性を印象付け、私立高校人気を更に加速させる結果となりました。
そのせいで受験生が過多になったのでしょうか、いくつかの私立高校で教室やコース、入試制度を見直す動きがみられます。
これまでの推薦や併願優遇制度をなくしたり、コースをより難しいものだけにしたりした学校があります。
もはやこれまでのように、、私立高校は都立高校に落ちたときのための滑り止めという考え方は通用しなくなってきています。

4.その他、今年の傾向

その他、今回の入試の傾向として注意すべき点を挙げていきます。
都立高校一本で受験する生徒が非常に多いという最近の傾向が今年も継続しそうです。
一度きりのチャンスとなることから、多くの受験生は慎重になり、一つ上のレベルの受験生がランクを落として受験します。
そして、実業系の高校と都立の低いランクの高校は今年も倍率が低く、二次募集三次募集が見込まれます。



社会情勢の変化や制度の変更によって、受験にも影響が出るのが確実です。
現状に対応しながら各受験生は戦略を練り、それぞれの志望校を決めます。
今回の受験の最も大きなポイントは合格者の男女枠がなくなり、男子には厳しい受験になりそうだということです。
後、新型コロナウイルスが5類に下げられたことに伴う、高校側の対応の変化にも気をつけなくてはなりません。
前回同様の救済処置はありません。
それから、私立高校を第一志望とする受験生が増加した結果、いくつかの学校では入り口を狭くしているという点も見逃してはなりません。
これら今年の傾向を十分に考慮に入れて、受験生の皆さんはどのように入試を戦っていくか考えましょう。

2023.10.16

恒例の『国語に関する世論調査』の結果が発表されました(その一)

 

恒例の『国語に関する世論調査』の結果が発表されました(その一)
毎年秋になると、文化庁による『国語に関する世論調査』の結果が発表されます。
今年も9月29日に出されました。
その内容を見ると、今の日本人の言葉に対する考え方が分かります。
今回も興味深い点がいくつかありましたので、共有してみたいと思います。

国語とコミュニケーション

1.言葉の使い方に対する意識
最初に、日本語に対する考え方や姿勢に関する調査結果です。
今回は言葉の使用に「気を使っているか」という質問がなされていました。
その回答は、全体の8割以上が言葉に気を使っているとしています。
この傾向はどの年代でも同様で、全て8割前後となっています。
これまでも同じアンケートが行われましたが、今回はどの時よりも高くなっています。

更に掘り下げて、「どのように気を使っているか」「見聞きした言葉が間違いや勘違いだと思ったときの好ましい反応」「言葉の意味や使い方などが分からないとき、調べたり確かめたりするか」「生活に必要な情報の入手先」「言葉遣いに大きな影響を与えると思う情報媒体」「日本語を大切にしているか」と調査しています。

「どのように気を使っているか」では、自分が公共の場で相応しい言葉使いができているか、正しい敬語が言えているか、異なる意見に対して感情的にならないでいられるかなど、コミュニケーション上の問題に気を使っているようです。
特に注目すべきは「差別や嫌がらせ(ハラスメント)と受け取られかねない発言を、ついしてしまう」というのが62.7%で、全体でも第三位に入っています。これは「パワハラ」「モラハラ」や「セクハラ」という言葉が普及し、人々がこの問題に対して敏感になっているということではないでしょうか。
2.見聞きした言葉が間違いや勘違いだと思ったときの好ましい反応
自分が見聞きした言葉が正しくないのではと感じたときについての結果が出ています。
その時のふさわしい反応としては、「本当に間違いや勘違いなのか調べる」と答えて人が一番多く、全体の55.3%となっています。
次いで、「ばかにしたり見下したりしない」「自分自身の言葉の使い方の参考にする」「配慮なく指摘しない」と続いています。

この結果から、多くの人は先ず自分の考えが間違っていないか確認すべきと考えていることが分かります。
そして、「ばかにしたり見下したりしない」「配慮なく指摘しない」という回答も多いことから、日本人の言葉に対する慎重な姿勢、間違っている相手への配慮の強さが感じられます。

興味深いのは、「本当に間違いや勘違いなのか調べる」との回答は年齢が上がるほど顕著に下がっているので、これは年齢が上がるほど自分の言葉に対する知識に自信があるのか、それとも調べるのが面倒なだけなのか(逆に言うと、若い世代は手軽に調べる手段を持っているということ?)気になります。
3.言葉の意味や使い方などが分からないとき、調べたり確かめたりするか
前の質問に関連して、今度は言葉の調べ方についての報告がありました。
16~19歳のグループが一番多く調べており、それ以降は年齢が上がるごとに調べる割合が下がっていくという傾向が見られます。
高齢になるほど言葉に対する知識と経験が増え、調べる機会の減少につながると思えなくもないですが、新語が次から次への誕生する現代の状況を考慮すると、年代を問わず言葉について調べる必要はあると考えられます。
そうなると言葉を調べるツールへのアクセス状況が、この傾向を生み出しているのではないかと想像できます。

現に、「インターネットの検索サイトなどで検索する」が全体の割を超えて最も多くなっているのですが、年齢別に見ると、60代を過ぎるとその割合が急に減り、70代以上では3割以下まで落ち込みます。
そして、これと全く逆の傾向が「紙の辞書を引く」に表れています。
スマートフォンが広く普及している若い世代では、いつでもどこでもツールへのアクセスが容易で気軽に言葉を調べることができるのに対し、高齢の世代ではスマートフォンより紙の辞書に依存しているため、調べるのに手間がかかり、このような結果になったと考えます。
推測の域を出ないのですが、高齢者にとってニューテクノロジーの壁が想像以上に高いのではと感じました。
これは非常に興味深い点です。
4.生活に必要な情報の入手先・言葉遣いに大きな影響を与えると思う情報媒体
続いて情報収集の手段についての調査報告がなされていました。
もっとも多かったのが「テレビ」で、約75%となっていました。
次いで「スマートフォン・携帯電話」で約70%、そして、「新聞」が約45%でした。
過去の調査結果と比較すると、「テレビ」安定して常に最も多い情報入手先でした。
しかし、近年「スマートフォン・携帯電話」が急速に伸びているのに対し、「新聞」を始め「雑誌」「ちらし・ビラ・広告」が著しく減少しています。
ここでも人々の紙媒体離れが伺われます。
そして、この傾向は年代別に見るとより一層はっきりしてきます。
「新聞」「雑誌」「ちらし・ビラ・広告」は年代が下がれば下がるほど、情報を手に入れる手段としては活用されなくなっています。
同様のことは紙媒体でない「テレビ」や「ラジオ」でも起こっています。
そして、真逆のことが「スマートフォン・携帯電話」で起こっており、若い世代はアクセスが可能であれば、「スマートフォン・携帯電話」を利用しがちだということが分かります。
こうなると「テレビ」「新聞」などの古いメディアが「スマートフォン・携帯電話」の新しいメディアへと置き換わっていることが示唆され、しかも、それが若い世代を中心に急速に広がっているのです。
他方、60代、70代では「スマートフォン・携帯電話」の使用が大きく減っており、この世代が新技術に頼らず(適応できず?)、昔ながらの方法で情報を得ていることが考えられます。

「言葉遣いに大きな影響を与えると思う情報媒体」に関する調査でも同じような傾向が見られます。
最も影響を与えているメディアとしては、どの世代でも「テレビ」一番多く、全体の9割迫る勢いです。
メディア自体の影響力もさることながら、やはりアナウンサーの話す日本語が国民にとっての手本という考え方が根強いものではないかと想像します。
過去の調査との比較においては、「スマートフォン・携帯電話」が急速に伸びているのが目立ちます。
「スマートフォン・携帯電話」が社会に広く普及するにつれ、その影響力が増すのは十分理解できます。
そして、個人の各メディアとの接触時間においても、「スマートフォン・携帯電話」は簡単に持ち運びができるという利便性があるので、人々はより長く影響を受けると考えられます。
また、世代間の各メディアの影響力の比較についても、「生活に必要な情報の入手先」と同じ結果が出ているので、同様の理由がここにも関わっていると推測できます。
5. 日本語を大切にしているか
最後に「 日本語を大切にしているか」という質問がありましたので、触れてみたいと思います。
調査結果は約6割が「大切にしている」と答えました。
これは多いのか少ないのか意見が別れるところでしょう。
言語が人々のアイデンティティに大きく関わると考えるならば、この数字は決して高くありません。
しかし、人々が日本語に危機感を持たずに生活ができるくらい安心していることの表れと考えるならば、全く逆の結論を導き出すことも可能です。
ここは詳細な追調査がほしいところです。
ただ、日本人は日常生活においては、日本語に対してかなり無意識的であることは言えるかも知れません(あって当たり前)。
過去の調査結果と比較しても、全体的にこの傾向に明確な変化は認められません。

「大切にしている」と回答した人たちに、その理由を尋ねたところ、次のような結果になりました。
「日本語によって、ものを考えたり感じたり善悪の判断をしたりしていると思うから」を選んだ人が一番多く、全体の53%となっています。
次いで「日本語は日本の文化そのものであり、文化全体を支えるものだから」が45.0%、「日本語は自分が日本人であるための根幹であるから」が42.9%、「日本語がないと日本人同士の意思疎通ができないから」が40.8%と、それぞれ4割台となっています。
「言葉と思考が連動しているので、言葉を大切にすべき」というのは私も日頃から強く感じています。
言葉が豊かであれば、細かい表現も可能であり、それはそのまま豊かな思考力と表現力につながります。
だからこそ、言葉を重視したいと考えます。
続く三つの回答はどれも日本人のアイデンティティに関わることと考えられます。
ただ、普段の日本人は自身のアイデンティティをそこまで意識して生活してはいないと思います。
「質問されたから答えた、意識した」という感が否めません。



毎年楽しみにしている報告で、今回も興味深い結果が見られたと思います。
本日は日本人の日本語との関わりについて議論してみました。
日本人の言葉に対する慎重な姿勢、対話における相手への配慮、言葉を調べるツールとその影響力など、調査結果から様々な考察ができるのでとても面白いです。

しかし、『国語に関する世論調査』はこれだけでなく、現代人の日本語運用についても言及しています。
ここも毎年驚かされることが多いのですが、この点は後日またお話します。
皆さん、慣用句や日本語の言葉遣いを間違えていませんか。
次回をお楽しみに。

2023.09.24

書籍紹介『私立文章女学院』文を書くのが苦手な人もそうでない人も

 

書籍紹介『私立文章女学院』文を書くのが苦手な人もそうでない人も
在学中だけに留まらず、「書く」という行為は人生において避けて通ることのできない技能です。
「日本人だから日本語で文章を書くのは簡単。」
「SNSで友達としょっちゅうメッセージを交換しているから得意。」
とか言いながら、授業などで実際に作文を書かせてみると、意外と自分が書けないことに驚く生徒がたくさんいます。
なぜでしょう。
理由の一つは、生徒たちが学校で本格的な文章を書く勉強をしていないことにあるでしょう。

そこで今回ご紹介したいのは遊泳社の『私立文章女学院』です。

『私立文章女学院』へのリンクはこちら

文章を書くのが苦手な人だけでなく自分は得意という人も、この本を読んで文章に関する多くのことを気づき学ぶことができます。



遊泳社はいつも非常に面白く興味深い本を出してくれるので、いつも注目しています。
これまでも何冊かご紹介しましたが、今回の『私立文章女学院』も期待を裏切らないものとなっています。
仕事柄発売前から楽しみにして、去年の冬に書店に走ったのですが、あいにく店頭にはおいてありませんでした。
その後も何度か購入したいと思いつつ実現しないまま、先日やっと購入することができました。

80年代の江口寿史風の三人の女子高生が表紙を飾り、これだけでも目を引きますが、中身も遊泳社らしく一工夫も二工夫もしてあります。
女子校に文章の授業があったらというコンセプトで、一年生から三年生までの三人のヒロイン送る、日常の生活におけるストーリーを通して文章を勉強することができます。
出てくる例文が彼女たちの生活の一場面を表し、それを修正し前後を比べることで、どのようにすればより上手に書けるのかが分かりやすく理解できます。

内容

全体は三部構成になっていて、第一部は一年生の順子の物語を通して、書く前に知っておくべき基本的な事柄に触れています。
憧れの先輩への想いを胸に、彼女が文章に対し奮闘しています。
第二部は二年生の薫のお話となっています。
文章を書くときに注意すべきことを中心に書かれており、薫が夢に向かって頑張っている姿が分かります。
最後は三年生の明美です。
自分の考えを伝えるために知っておくべきことが書かれています。
歌手になるべく表現活動に励んでいる明美のエピソードから、文章上級者としての書き方のコツが分かります。

各部にはそれぞれ30ほどのポイントが書かれており、所々に挟まれている「相談室」のコーナーの合計10のポイント、合わせて100個のノウハウを習得することができます。
基礎レベルから応用、実践レベルまで網羅されており、子どもから大人まで楽しめる一冊です。
文章を書くことに慣れている人にも、気づかされる項目がいくつもあるはずです。
「自分の書き方が本当にこれでいいのかな」と不安な時も、この本を読めばその答えがズバリ見つかることでしょう。

知っておくと便利!書き方のポイント

この本では、書き方の要領や注意点などが挙げられています。
どれも普段私たちが文章を書くときに気にかけないことや、知らないことばかりで、これを読めば「だから自分の文章は伝わりにくいのか」と理解できます。
「です・ます」と「である」を混ぜずに文末をそろえるというような基本的なことから、「へえー、なるほど」と思えるようなものまで多々あります。
その中からいくつかご紹介したします。
・漢字orひらがな
最近はパソコンやスマホでタイプすることが多いですが、それらには便利な変換機能がついています。
自分が知らない漢字、普段見慣れない漢字に簡単に変換できます。
むやみやたらこの機能を使って、全てを漢字に変換しないと気が済まない人もいます。
しかし、文章を書くときにこれでいいのでしょうか。
この本は答えてくれます。
・トートロジー(二重表現)!
文章を書いているとき、実は気づかないうちにトートロジーになっていませんか。
「頭が頭痛で痛い」
この文に違和感がない人は要注意です。
しかし、誰もがよくやらかしてしまいます。
・はやり言葉、話し言葉、書き言葉、死語、言葉のチョイスはどうする?
適切な場面で適切なワードチョイスを!
これを間違えると恥をかき、人格を疑われることもあるかも知れません。
知っているつもりで、意味を間違えて使うということもあります。
言葉を正しく使いこなせると文章の達人になれます。
・洗練された文章にするにはどのように書けばいいか
頭に浮かぶまま文章を書いても、まとまりがなく分かりづらいだけです。
構成や扱う内容を吟味するだけで、相手に理解してもらえる文章になります。
「一文をだらだら長く書かない」というのは私も授業でよく指摘する点です。
読み手に取って文章が複雑になって分かりづらいだけでなく、書いている本人も何を伝えたいのか分からなくなります。
ところが、ここに書かれているちょっとしたコツを実践するだけで、文章は見違えるほど分かりやすく力強いものになります。
・読み手の気持ちになって書こう!
生徒たちの作文を見ると、何を言いたいのか全く分からないものがよくあります。
これは読み手を意識して書いていないからです。
自分が分かるから相手も分かると言葉を省き、説明を省略してしまう。
このような独りよがりの文章では相手に届きません。
メッセージを受け取る人の立場に立って、何も知らない人でもこれで分かるか、思いやりのある文章を書く。
この本でも同様なことが書かれています。

・他にも気づかなかった点、納得できるポイント、知らなかったテクニックが盛りだくさん!
「PREP法」、過去形に現在形を混ぜて文末変化、表現を豊かにする方法、読んでもらえる「リズム」の作り方など、専門的かつ高度なテクニックもたくさん紹介されています。
「そうすればよかったのか」「知らなかった、今度やってみよう」と思えるものばかりです。
これまで文章を書くのが苦手な人は、この本を一度読んでみれば、スラスラとそして上手に書けるようになると思います。
そして、文章を書くのが好きな人や得意な人、日常的または専門的に良く文章を書く人でも、この本で学ぶことはたくさんあり、文章を書くときは是非傍らに置いておいてほしい一冊となっています。



学生だけでなく社会人になってからも、「書く」という行為は避けて通ることができません。
文章をいかにうまく書けるかは、仕事を効率的にするだけでなく、その人の生活および人生を豊かにし、書いた人の人格を高めてくれます。
そう考えると「文章は人そのもの」とも言えるでしょう。
であれば、文章を上手く書けるように努力することは、人にとって十分に価値のあることです。

文章を書くコツをただ網羅するだけでなく、見やすく、分かりやすく、そして楽しく書かれている『私立文章女学院』。
勉強に励む生徒だけでなく、会社に勤務するお父さん、家事や近所付き合いに忙しいお母さん、全ての人に読んでもらいたいくらい役立つ本です。
是非、お手に取って読んでみてください。

2023.09.21

高校入試の合否判定に関わる得点の出し方について

 

高校入試の合否判定に関わる得点の出し方について
受験生のみなさんは勉強に励んでいることと思います。
受験の準備は順調ですか。

ところで、都立高校の入試がどのようになっているか、意外と知らない人が多いようなので、本日は高校入試の合否を決める得点の出し方についてご説明します。

合否判定の出し方

都立高校の入試は、所定の方法に従って受験生たちのこれまでの学習成果を、点数化して総合的に判断します。
しかし、その入試得点の出し方は少し複雑です。
学校によって多少の差異はありますが、一般的には次のように算出します。
そして、この総合点の高い者から合格が決まります。

入試の総合点={300×(主要5教科の調査書点合計×1+実技4教科の調査書点合計×2)÷65}+{700×5教科の学力検査点合計÷500}+スピーキングテスト20点

このように合否は基本的に二つの得点の合計で決まります。
調査書点(内申点)と学力検査点です。
そして、去年から英語のスピーキングテストの20点が加わり、都立高校の入試は合計1020点満点で評価されることになりました。

調査書点

ご覧の通り総合点のうちの300点が調査書点で占められます。
(一部の学校では調査書点を400点にしているところもありますが、ほとんどの学校は300点です。)
残りの700点が入試当日の試験の点数である学力検査点になり、両者の合計で合否を判断します。
(スピーキングテストは学力テスト前に行われ20点満点のマイナーな部分になりますが、この点に関しては別のニュースを参照してください)

つまり、調査書点が高いと当日の学力試験の点数が多少悪くても合格できますし、調査書点が低いと合格には当日かなり頑張らなくてはいけないということになります。
調査書点が高ければ受験に有利になり、低ければ不利になります。

調査書点が低くても学力点で十分に挽回できる自信があればそれでいいとも言えなくもないのですが、現実はそれほど単純ではありません。
調査書点があまりにも低いと、学校の進路相談や三者面談で先生が受験を許可しない場合があります。
受験に合格するのに必要な調査書点と言うのはある程度決まっています。
受験生の調査書点がその基準からかけ離れ過ぎていると合格の見込みなしと判断され、学校の先生に志望校を変えるように言われます。
自分が希望する学校の試験を受けたいのであれば、十分な調査書点は必要ということです。

また、私立高校の入試でも調査書点が大きな意味を持ちます。
基本的に各私立高校は受験するために必要な調査書点を提示しています。
すなわち、その基準となる調査書点に達していない生徒は、その高校の受験ができないということになります。
調査書点が高ければそれだけ多くの私立高校が選択でき、低ければ嫌でも選択の幅は狭まります。
志望校を選ぶとき、調査書点が大きく影響します。

それでは調査書点に基づく部分について説明します。
調査書点とは調査書の内申点から算出されます。
内申点とは通知表にある5段階評価の数字をそのまま点数にしたものです。
これを主要5教科は合計点を1倍、実技4教科は合計点を2倍して合計が調査書点になります。
つまり、オール5であれば65点になります。
オール4であれば52、オール3であれば39、オール2であれば26、オール1であれば13です。
この65点満点のうち何点取ったかを割合で出し、それに300をかけたものが調査書点に基づく部分の得点になります。
実技4教科は2倍されるので、この部分の得点を上げるには、主要5教科より実技4教科を上げたほうが効率が良いということになります。

ちなみに、調査書点が1上がれば1000点の入試総得点のうち約4.6点上がるということになります。
(学力検査点では1上がると1000点満点では1.4点しか上がりません。)
1点で合否が分かれる入試では、この得点は非常に大きいのです。
調査書点がいかに重要かお分かりいただけたと思います。

学力点

因みに、入試当日のテストに基づく部分は次のようになっています。
国語、数学、英語、社会、理科の5教科各100点満点で合計500点のうち何点取れたか、その割合を考えます。
これに700をかけて算出された得点が、入試当日の学力テストの部分の得点、学力検査点となります。

学力点が総合点の過半数を占めることから、入試で高得点を取ることがいかに重要かお分かりいただけると思います。
各教科の傾向や対策は別のニュースで触れていますので、そちらを参考にしてください。
多くの問題は基本的な内容となっています。
どの分野もまんべんなく出題されることから、得意なものだけに偏った勉強はお勧めできません。
どのような問題が出されても、少なくとも基本的な問題は必ず解けるようにしてください。
5教科の総合点で争われる以上、一つだけ飛びぬけて点が取れているよりも、どの教科もまんべんなく点数が取れている方が強いです。

とは言え、学校の教科書だけを勉強しても受験に成功するとは限りません。
むしろ、入試に向けた勉強に専念する必要があります。
確かに学校の教科書を使って学習内容の確認をすることは、受験生として最低限しなくてはならないことです。
しかし、それだけでは十分ではありません。

全教科を見直して基礎力を身に付けたら実戦練習をしなくてはなりません。
過去問や模試の問題を何度も繰り返し、実戦を通してできなかった部分、足りない部分を補うように勉強していきましょう。
過去問や模試は公的なものなので、その問題も良質なものが多く、これが全て解けるようになれば、その受験生はかなりの実力を備えたことになります。
学力テスト本番までに最低20回以上入試形式の問題を解けば、大体どの分野のどのような問題が出ても答えられるようになります。

総合点の約7割をいかに攻略できるかが合格のカギとなります。



以上、都立高校入試の合否判定に関わる総合点の出し方についてご説明いたしました。
入試についてよくわからない、志望校決定に悩んでいる、その他質問がある方は、遠慮なく葛西TKKアカデミーまでお問い合わせください。

毎日勉強で大変だと思います。
でも、苦しいからこそ頑張った者が勝利をつかみやすいのです。
苦しいのはみんな一緒、自分だけじゃない。
ならば条件は同じ、後は皆さんの努力次第です。

葛西TKKアカデミーも皆さんの力になります。
困ったときはいつでも連絡ください。
待っています。

2023.09.19

コロナとインフルのダブル流行⁉受験生は特に注意を!

 

コロナとインフルのダブル流行⁉受験生は特に注意を!
新型コロナウイルスの話題も最近はあまり聞かれなくなりました。
しかし、新型コロナウイルスの脅威は去ったわけではなく、実はまだ続いているのです。
7月あたりから感染者数が急増し、各医療機関も徐々に圧迫されており、第9波に入ったと言われています。
そして、今回の流行で懸念されている点として、インフルエンザとの同時流行が言及されています。
以前からその兆しはあったのですが、今回はそれが更に明確になったようです。

新型コロナウイルスもインフルエンザもかかってしまっては大変です。
特に受験生は、人生に大きく影響する入試を控えているので、細心の注意が必要です。
しかも、新型コロナウイルスが5類になって国としての対策が行われなくなった現在、これまでのように感染者に対して特別処置を取って再受験させてくれる可能性は非常に低くなっています。
従って、これまでの受験生以上にこれらのウイルスに対する警戒が必要です。



新型コロナウイルスが5類になって、これまでのように全集調査が行われなくなりました。
感染者数がはっきりと出なくなり、ニュースでも取り上げられなくなったせいか、新型コロナウイルス対する警戒感はかなり下がってきました。
しかし、その陰で感染者数は確実に増え、明確な数値こそ示されませんが、感染者数は第8波に迫る規模になると予想されています。

エリス株とインフルエンザのダブル流行

新型コロナウイルスはその変異の激しさが特徴ですが、現在流行しているウイルスの4割が新しい変異株である「エリス」と言われています。
これはこれまでのものと比べ感染力が高くなっていますが、重症化のリスクは低いとみられています。

また、インフルエンザも同時に流行し始めています。
インフルエンザの流行開始の目安となる一週間の患者広告数の1.0人を既に大幅に超えて、5.95人となっているそうです。
本来インフルエンザは冬に流行するものですが、まだ暑いこの時期にこれほど感染者がいるのは極めて異例です。

学級閉鎖

都内では既に多くの小中高の学校で学級閉鎖などの臨時休校が起きています。
二学期が始まってから学級閉鎖となったクラスは全国で増え続け、今月8日の時点で新型コロナウイルスとインフルエンザ合わせて約700クラスに上っています。
都内でも小学校を中心に、のべ数で約100校で学級閉鎖のクラスが出ています。
既に医療機関でも感染者数の増加が施設を圧迫し始めており、患者受け入れができない事例が多く発生しています。
生徒たちがウイルスに感染しても十分な治療が受けられない可能性がありますので、ご注意ください。

新型コロナウイルスとインフルエンザのダブル流行の原因は、コロナ禍の予防でインフルエンザに対する免疫をもっている人が減ったことだそうです。
また、ワクチンの効果が切れる時期が重なったことも挙げられます。

そこで、多くの生徒が集まる学校では換気や手洗い、マスクなどこれまで通りの基本的な感染対策が求められています。
これまでと同じく、不必要な外出をしない、人ごみを避けることも重要です。
そして、各家庭でも油断することなく予防を心がけてください。

特に受験生は注意!これまでのような救済はない⁉

病気になってしまうのは、ある意味仕方ないことです。
いくら予防しても、病気になってしまうときはなってしまうのです。
しかし、ならないに越したことはありません。
病気になれば勉強ができず、学習が大きく遅れてしまいます。
このように生徒たちにとって病気にかかってしまうことは大きな痛手になるのですが、その中でも特に受験生は気をつけなければなりません。

受験生は入試に向けて毎日しっかり勉強をする必要があります。
しかし、病気で勉強ができない日が続くと、その分受験勉強が遅れ、志望校が遠のいてしまうかも知れません。
よって、受験生は他の生徒以上に新型コロナウイルスやインフルエンザにかからないよう、しっかり予防しないといけません。

でも、今回受験する生徒は前回の受験生よりもっと新型コロナウイルスの感染に注意しなくてはならない理由がもう一つあります。
今年の5月から新型コロナウイルスが「5類」に分類されるようになりました。
これは季節性のインフルエンザと同じです。
つまり、これまでのように政府が国全体の問題として対策を進めるのではなく、各自治体や医療機関での対応がメインになります。
感染症としての深刻度が下げられたということです。

これは受験に関しても同じで、これまで新型コロナウイルスに感染した受験生及び濃厚接触者は別室で受験したり、別日に受験したりと救済処置がなされてきました。
しかし、5類になって一般のインフルエンザと同じ扱いになると、これらの救済処置は実施されないことが予想されます。
そうであれば、今回の受験生はこれまでのコロナ禍での受験生より、新型コロナウイルスに感染してはいけないということになります。
これまでのようなセカンドチャンスはなく、感染して入学試験を受けられなければそれで終わりです。



以前のように毎日感染者の全数が発表されるわけでなく、報道でもあまりふれられなくなったため、世間的に新型コロナウイルス脅威は去ったかのように誤解されますが、実は現在全国で進行中の第9波の感染者数は今月10日までの一週間で約15000人と言われています。
すなわち、以前のように明確な数字が出ないから余計に危機感を持ちにくい状況で、実際の感染者数は非常に多くなってきているのです。
従って、感染に対する脅威は依然とさほど変わらないと考えた方がよさそうです。
用心に越したことはありません。

学校でも以前のようにマスクの着用が義務化されなくなり、修学旅行や運動会文化祭など多くの生徒が密になって活動する機会も増えました。
いつかは平常に戻らなくてはいけないのですが、新型コロナウイルスの第9波とインフルエンザの同時流行という現実を鑑みたとき、まだまだ油断してはいけないと考えられます。

特に受験生は、今回から以前のような新型コロナウイルスに対する救済処置がなされなくなると予想されるので、これまでの受験生と同様に厳とした警戒が必要です。
これまで行ってきた基本的感染対策をしっかり行い、何としても感染して受験できない事態は避けないといけません。
そして、感染を避ける努力は、受験生自身だけに留まらず、家族や学校関係者など周囲の人間にも及びます。
みんなで協力して、受験生がつつがなく入試本番で全力を出し切り、悔いのない受験ができるように努めなくてはなりません。

2023.09.14

手抜きの勉強はかえってたくさんやる羽目になり成績も伸びません

 

手抜きの勉強は反ってたくさんやる羽目になり成績も伸びません
勉強ができない生徒を見ていると、個人の能力不足というより個人の勉強に対する考え方ややり方に問題がある場合が非常に多いです。

特にいろいろな物事に対して丁寧にやらず雑にササっとすまれる生徒は、勉強に対してもやり方がいい加減で、その結果、勉強がうまく身に付いていないことが多いです。
しかし、きちんと勉強が身に付いていなくては、後々勉強が更に分からなくなり、同じ勉強を何回もやり直さなくてはいけなくなってしまいます。
「早く終わらせたい」と思って手抜きの勉強をすると、反ってもっとたくさん勉強しなくてはならないということです。

今回はそんな雑な勉強について考えてみたいと思います。
つぎのような勉強の仕方では、二度手間になる可能性が高いので注意しましょう。

1.問題をやっただけ

勉強は問題を解いたら終わりではありません。
なぜ間違えたのかを明確にし、その原因を正さないといつまで経っても勉強ができるようにはなりません。
ワークやドリルなどの問題集、テストなど〇×をつけて、その結果に一喜一憂して終わりでは勉強する意味はあまりありません。

結果は自分の勉強の習得具合を示しているものだから、自分の勉強で明らかになった足りない部分を補ってこそ、勉強はより完璧に近づきます。
つまり、テストなどの結果は勉強の終わりではなく、むしろ始まりなのです。
ここを取り違えて、問題を解いてしまったらもう何もしない生徒はその後も繰り返し同じ間違いをします。

2.自尊心が間違いを許さない

どうも勉強で間違えることは罪のように考えている生徒がいます。
だから、間違えを許容できない。
それが、間違えをしないように事前の勉強に対する努力へとつながればいいのですが、むしろ逆にできる問題しかしない、もしくは問題を解くことすらしない方向に向かう生徒がいます。
そもそも問題を解かなければ間違いではない、できないのではなくやらないだけという論法です。

でも、これは本人にとってどれほどのメリットがあるでしょうか。
自尊心を守るための言い訳にしか過ぎないのですが、これで勉強しないことを正当化できると考えているようです。
しかし、間違いを恐れて勉強から逃げても実力はつかず、それは高校入試など後で明確になり、結局足りない学力を補うために勉強しなくてはならなくなります。

むしろ、期限が決まっている以上時間的余裕はなくなり、最終的に間に合わなくなる。
このように自尊心を守り実力不足をごまかしても何の意味もないのです。
むしろ、自分のできない現実を素直に受け入れ、その時その時に問題を解決していた方が何度も同じ勉強を繰り返す必要がなく、効率的で良い結果も出せるようになります。

3.書くことを嫌がる

とにかく書くことを嫌がる生徒がいます。
できれば書かないで楽をしたい気持ちは理解できなくもないですが、書くということが勉強に与える効果を考えると、書かないということは結局自分を不利にしていることに気づいてほしいです。
「別に後で見ないから書かない」と言われたこともありますが、「書く」ということは単に後で見直すためだけではありません。

記憶や思考には、脳への刺激が重要になります。
より多くの刺激を与えられれば、それだけ脳は活性化し勉強も身に付きます。
よく漢字や英単語を覚えるのに本を見ているだけの生徒がいました。
テストをすると一つも書けませんでした。
そんな生徒が書いてみると、たくさん答えられるという経験があります。
「書く」ことが脳へ与える影響は大きいのです。

書くのを嫌がる生徒は日常的に書くことを回避する傾向があります。
つまり、勉強だけでなく生活全般において書かないのです。
普段から書くことに慣れている生徒なら生活の一部となっているので、書くことは何でもないのですが、そうでない生徒にとっては非常に苦痛のようです。
そうなってしまうと直すのは大変なので、できればそうなる前に書く習慣を身に付けさせてあげましょう。

小学生のときは勉強がそれほど難しくなく、ノートを取らなくても勉強できたかも知れませんが、学年が上がり勉強が複雑になると頭の中だけでは情報を処理しきれなくなります。
このとき、書く習慣が身に付いていない生徒は書くこと自体に違和感と抵抗感を持ち、意地になって書かなくなります。
でも、これは本人のためになりません。
これまでのようにできなくなってしまった自分を受け入れがたいのはとても分かります。
しかし、一時的な本人のプライドを通して勉強が分からなくなるよりも、長期的な視点で勉強のできない自分を受け入れる強さをもって、素直に「書く」ことができれば、勉強は必ずできるようになります。
実は、勉強は生徒の知識の問題ではなく、個人の考え方や心理、周囲の環境の問題であることの方が多いのです。

4.とにかく早く終わらせたい

勉強嫌いの生徒は、とにかく勉強から逃れたいという気持ちが強く、見てくれだけ整えて早々に勉強を終わらせます。
でも、これは結局何も身に付いていないので、テストなどをしてみればすぐにやっていないことが分かります。
勉強は積み重ねなので、前出の内容が理解できていなければ新出の内容も理解できません。
従って、前やった内容をもう一度勉強し直さなくてはならなくなります。
逃げても結局やらなくてはいけなくなるし、やらなければ勉強がどんどんできなくなります。
「早く終わらせたい」というその場しのぎの感情が、後でより勉強しなくてはならなくさせるのです。
むしろ、その都度その都度の勉強をきちんとやって何回も繰り返さなくてもいいようにしましょう。
そうすれば、嫌いな勉強に余計に関わる必要がなくなります。

5.途中式、図を書かない

数学で途中式を書かず暗算でやったり、図を書かないで適当に答えたりする生徒がたくさんいます。
このような生徒はよく間違えます。
暗算でやると「7×8」が「7×9」になったり、繰上り繰り下がりを忘れたりします。
これは頭の中では文字が固定されないからです。
頭の中は知らないうちに文字が他のものに置き換わったりします。
このような間違いをする生徒はよく「ケアレスミス」と言いますが、これは言い訳で何の改善策も見いだせないので、同じ過ちを繰り返します。

それを防ぐには、文字にして考えていることを視覚化し固定することが大事です。
だから、途中式や図を描くことは必要なのです。
更に、書けば見直しをしたときに、どこで間違ったか特定することも容易で、自分の間違いの原因を探ることもできます。
原因が分かれば改善ができ、勉強をより強化できます。
勉強のひと手間を惜しんで間違えるくらいなら、ほんの少しの苦労を惜しまず正確に勉強しましょう。

6.正確に覚えない、なんとなく理解している

勉強嫌いの生徒はとにかく早く勉強を終わらせようとします。
彼らにとって最も重要なのは「早く終わらせること」で「勉強を習得すること」ではありません。
だから、性格に覚えているかどうかはさほど問題ではないのです。
しかし、なんとなくの雑な覚え方をすれば、正確性を要求されるテストで確実に正解を出すことはできません。
よって、もしよい成績を修めたいなら、もう一度覚えないといけなくなります。
一時的感情からその場しのぎの勉強をしても、長い目で見るといずれどこかでもう一度やらないといけなくなるのです。
どうせ覚えなければならないこと、理解しなくてはならないことならば、最初からきちんとした方が嫌な勉強を繰り返さずに済みます。

7.よく考えずに当てずっぽう

ここまで来るともはや勉強とは言えません。
でも、勉強が嫌いでいい加減な勉強をする生徒にはよくあることです。
こういう生徒は非常に多くの間違い失敗をしますが、稀に偶然正解になることがあります。
この非常に稀だけど自分に都合の良いケースをよりどころに、当てずっぽうを正当化します。
冷静に考えれば間違える確率の方が多いのだから、勉強方法としては成立しないのは明らかなのですが、少しでも勉強したくない生徒はその事実に目を背けます。
自分の見たいものしか見ない、信じたいものしか信じないなどという心理は理解できますが、それでは問題は解決しません。
不確実な当てずっぽうより、ちゃんと勉強して正しく問題を解く方がより確実に結果が出せます。
強い心をもって現実と向き合いう勇気を持ちましょう。



学生である以上、勉強から逃れることはできません。
逃げたいからと言ってすぐに終わるような雑な勉強をしても、それはやっていないのとほぼ同じです。
やっていないのなら、いずれかの段階で勉強し直さないといけなくなります。
遅かれ早かれやらなくてはいけないのであれば、最初から嫌がらず素直にきちんと勉強しましょう。
その方が嫌なことを繰り返さずに済み、成績も上がるので、生徒自身にとっても得です。

逃げたい気持ち、できない自分を認めたくない気持ちを乗り越えて、自分にとって一番やらなければならないことをきちんとやる。
これが最も近道であり、手抜きの勉強はかえって自分を苦しめることを分かってください。

2023.08.26

英字新聞や英語ニュー英字新聞や英語ニュースで英語の勉強をしよう!

 

英字新聞や英語ニュースで英語の勉強をしよう!
英語は多くの生徒にとって苦手な教科です。
理由はいろいろありますが、日常で触れることが少ないということも一つでしょう。
あまりにも日常から離れすぎでよく分からない、英語に触れなくても毎日の生活に何の影響もない。
こういった事情が英語を生徒にとって「なじみのない訳の分からないもの」という印象を抱かせ、「理解できないから苦手」という意識を持たせるのかも知れません。

しかし、現在はインターネットが発達しており、そこから英字新聞や英語ニュースなどをかんたんに入手することができます。
そこで今回は英字新聞を使った英語の勉強について考えてみたいと思います。

お勧めの英字新聞や英語ニュースサイト

英字新聞や英語ニュースと聞くと難しそうに思われますが、中には中学生や小学生向け、英語初心者向けの英字新聞やニュースサイトもありますから、そこから英語の勉強を始めるといいでしょう。
1.『やさしく読める英語ニュース』
『やさしく読める英語ニュース』へのリンクはこちら
こちらは英語教員のためのポータルサイトである『えいごネット』の中のコンテンツになります。
掲載されている記事は短めになっているので、英語初心者でも読みやすくなっています。
語彙も中学生レベルで読めるようになっており、読みながら英語の実力をつけていくにはちょうど良い内容になっています。
ニュースはジャンル別に分けられているので、最初のうちは自分の興味関心のあるものだけ読んでも構いません。
慣れてくれば幅を広げていき、偏りのない英語力をつけてくれればいいでしょう。
日本語訳もついており、見比べることで対訳も分かりやすくなっています。
重要な語彙は赤字になっており、別枠で説明もついているので、本当に分かりやすいです。
しかも音声までついているので、ネイティブの発音を聴きながらリスニングとスピーキングの勉強にもなります。
プリントアウトもできるので、自分の読んだ記事を集めてスクラップブックのようにして、英語の練習や参考書のように利用するのも良い方法かと考えます。
2.NHK WORLD-JAPAN
『NHK WORLD-JAPAN』へのリンクはこちら 
こちらはNHKが提供するサイトになります。
NHKが放送しているニュースと同じ内容になっていますので、日本語のニュースを見てから英語のニュースを見ると分かりやすいかも知れません。
動画を見ながら英語を聞くので、より内容をつかみやすくなります。
また、英文もついていますので、読み取りの練習もできます。
更にこのサイトのいいところはニュース以外のコンテンツもあるところです。
オンデマンドではアニメやドキュメンタリーなど、多岐に渡る内容の番組を見ることができます。
個人的に注目するのは『Learn Japanese』で、外国の方が日本語の勉強に役立つ内容となっております。
確かに外国人向けですが、日本語の初歩が学べます。
これは同時に英語を勉強するのにも利用できます。
簡単な日本語を英語で何と言うのか、どのように表現するのかが分かります。
そういう意味では英語の勉強にも役立つコーナーとなっております。

英字新聞や英語ニュースを見るメリット

1.簡潔で正しい英語を学べる
ニュースは正確で分かりやすくなければなりません。
そのため正しい英語が使われます。
そして、長々と書くと読者も疲れてしまいますので、簡潔でまとまった文章になっています。
ニュースで使われている表現や書き方を身に付けると、レポートやプレゼンテーション、相手への説明などをするとき上手にできます。
学校でも文章を書く機会は増えていますので、是非、身に付けてほしいスキルでもあります。
2.常に新しい英文に触れ語彙力が上がる
ニュースなので毎日のように新しい文章が書かれます。
つまり、様々な内容と表現にである機会があるということです。
多様な英文に触れることで語彙力や表現力がつきます。
例えば「地球温暖化」や「持続可能な発展」など、少し専門的な用語はニュースにはよく出てくるので、ニュースを通してたくさん覚えることができます。
重要な表現や基礎的な言葉は何度も繰り返し出てきますので、自然と覚えることもできます。
また、ニュースは人に説明するという使命があるので、英語で物事を描写し伝える能力も身に付きます。
そして、いつも新しいことに触れるので、英文を読んだり聞いたりして飽きることがありません。
3.四技能が上達する
特に動画や音声と組み合わせることで、英語を理解しやすくなりますし、「読む」「書く」「聞く」「話す」の四技能全てを訓練することができます。
ネイティブの英語に触れることで、より自然な英語が身に付きます。
高校入試で「スピーキングテスト」が導入され、今後ますます「話す」力も重視されます。
これまではあまり力点を置かれていませんでしたが、これからはTOEFLのように総合的な英語力が要求されます。
そして、これら四技能すべてをバランスよく学ぶには英字新聞や英語ニュースがとても良い練習になります。
特にニュースはネイティブの自然なスピードで話されるので、聞き取りや発話のときのスピードアップにつながります。
4.英語を使って知識が増える
環境問題などニュースに出てくる話題を通して様々な話題に触れ、その知識を増やすことができます。
しかも、英語で説明されますので、英語での理解ができるようになります。
英語や国語などで長文の問題をするとき、その内容についての予備知識があると親しみがわき、問題を解くのにも苦痛が和らぎます。
予備知識があれば分からない部分を自分で補うことができるので、実際に書かれていることが分からなくても内容理解ができます。
こうなればテストや勉強で問題を解くのも楽になります。
そのためにはどのようなトピックでもある程度分かるように、自分の雑学を広げる必要があります。
自分の知っている領域を増やすためにも、英語のニュースや記事を聴いたり読んだりすることは非常に有効な勉強になります。
英字新聞や英語ニュースで勉強するときの注意点
一番重要なことは「自分に合った英字新聞や英語ニュースを見つける」ことです。
一般的に英字新聞やニュースはネイティブの人が利用しているものなので、英語レベルとしては少し高いものとなっています。
従って、初級者には難しすぎる場合があります。
自分の英語レベルをよく理解し、中学生など英語力がまだ十分についていない人は、子供向けの新聞やニュース、日本の中学生向けのものを選んでください。
始めから高すぎる英語に挑戦するのは、反って英語力がつかず、うまくいかない経験は英語そのものに対する嫌悪感につながることがあります。
最初は無理せず、簡単なものから取り組んでみましょう。

次に、新聞やニュースは毎日更新され、常に新鮮な英語に触れることができます。
だから、短いもので構いませんので毎日続けるようにしましょう。
一日10分でもいいので、新聞の英語を読んだりニュースを聞いたりしましょう。
そうして、毎日英語に触れる習慣を身に付ければ、日常に英語の馴染みのない日本の生活でも、英語を身近なものとして学習することができます。

更に、受動的に英語を見たり聞いたりするだけでなく、ニュースの内容から一言でいいから、自分の考えをまとめたり説明したりできると素晴らしいです。
このような練習は今話題のスピーキングテスト対策になると同時に、英語をより実践的なものとして習得することができるでしょう。
可能ならばいっしょに英語の記事やニュースを見る仲間を作り、その人たちと意見交換(難しければ最初は日本語でも構いません)できると、より英語力を発達させることができます。



今回は英字新聞や英語ニュースを利用しての英語の勉強を考えてみました。
現代はインターネットが発達しているので、これらのメディアに触れることが非常に簡単になっています。
無料のものも多く、インプットだけでなくアウトプットもうまく組み合わせれば、英語力がますますアップするでしょう。
しかも、このやり方では英語が上達するだけでなく、より多くの一般的知識を身に付けることもできます。
つまり、単純な英語の勉強としてだけでなく、人間としての厚みを増すことにもつながることです。
最初は手間取るかも知れませんが、慣れてくればきっと内容が理解できるようになり、楽しく勉強できると思います。
明るい話題や考えさせられるトピックなど多岐に渡る話に触れることができるので、思考の発達が促されるでしょう。

確かに注意すべき点もありますが、これらのメディアを上手く使って英語の勉強に役立ててみてはいかがでしょうか。

2023.08.08

言語学習で行われるシャドーイングとは

 

言語学習で行われるシャドーイングとは
今や小学校から英語が正式教科になっています。
これまでの知識としての英語から、実際にコミュニケーションを通じて海外の人たちと交流できる使える英語へと、学校の英語教育も変わってきています。
「読む」「書く」が中心だった英語学習も、「聴く」から「話す」まで含めた総合的なものが求められています。

特に、「聴く」「話す」能力となると、これまでの学校教育を受けてきた先生方にとって、非常に指導しづらいものであります。
そこで今回は、英語に限らず言語学習の場でよく使われている学習法であるシャドーイングについてお話したいと思います。

シャドーイングとは

シャドーイングとは、音声を聞きながらその音声を真似て発音する学習法です。
音声を影のようにぴったりついていきながら、自分も発音するのでシャドーイングと言います。
特徴としては、音を聞いてから発音するのではなく、「聴きながら発音する」点です。
「聴く」というインプットと「話す」というアウトプットを同時にやるので効率よく練習ができるのです。
よって、リスニングとスピーキングの両方を鍛えたい人にはお勧めです。

特に最近では、都立高校入試にスピーキングテストが導入されましたが、学校も含めその指導は十分に確立していないのが現状です。
だから、受験生は自分たちで何とかしないといけないのですが、そんな時にもシャドーイングは役に立つでしょう。

シャドーイングのやり方

ただ聴いた英語をそのまま自分の頭の中で聞こえたように発音すづだけではいけません。
それでは正確な発音は身に付かない恐れがあります(俗に言う「そら耳」です)。
従って、最初から段階的にシャドーイングを強化していくのがいいでしょう。
1.音声を聴いて原稿と見比べる
先ずは音声を聴いてみます。
その後、その音声の原稿を見て、自分がどこを聴き取れていなかったか確認します。
原稿を見て理解できた部分は聴き取りの弱い部分、原稿を見ても理解できなかった部分はそもそも英語力不足だった部分です。
こうして自分の弱点をあらかじめ知っておくということは、効率よい勉強には必要です。
2.区切りながら発音してみる
シャドーイングは音声を聴きながら発音しなくてはいけないのですが、いきなりそれをしろというのは酷な話です。
先ずは、一文ずつに区切って練習しましょう。
この時、文法などの細かい点にこだわって理解するのではなく、一文全体として伝えていことを理解するようにしましょう。
知らない単語があれば覚えないといけないし、音声を聴いて正しい発音を身に付けなければなりません。
このようにして英語の基礎的な語彙などを増やして、シャドーイングの土台を作ります。
3.聴きながら読みながら発音してみる
いよいよ音声を聴きながら発音してみます。
原稿を指差ししながら文字を追って、自分なりに英語を発音していきましょう。
音声がどのように話しているかに注意しつつ、自分も同じように話してみます。
この時に意味も考えられるといいです。
文字と音声の二つのサポートがあるので、意味の理解はそれほど難しくはないと思います。
発音がどうしても追いつかないときは「口パク」でも構いません。
4.音源だけを聴きながら発音する
慣れてきたら原稿を閉じて、音声だけを頼りに発音してみましょう。
上手くいかなければ音声のスピードを落としてみたり、もう一度原稿を見て発音するところまで戻って練習してください。

シャドーイングのメリット

シャドーイングのメリットとしては、その言語独特のリズム、音のまとまりと区切り、アクセントやイントネーションを習得できることです。
これは「読む」「書く」だけの勉強では身に付きにくい点です。
そして、言語をそのまま聴いて理解するので、リスニングも頭から言葉を理解できるようになり、よりネイティブに近い思考で言語運用ができるようになります。

これまでの文法中心の英語学習では日本語に訳すことが重視され、その時に英語を日本語の語順に置き換えて理解していました。
しかし、テンポよい言葉のキャッチボールが求められる実践の場では、これではコミュニケーションがうまくできません。
シャドーイングでは、ネイティブのように聴いた言葉を、そのままその言語で理解するので、よりスピーディーな会話もできるようになります。

そして、その言語の音声的特徴を理解し、音声そのままの聴き取りができるということは、同様にその言語の話者と同じように話すこともできるということになります。
つまり、シャドーイングでリスニングが強化されると、自然にスピーキングも強化されるということです。
この時も、ネイティブと同じようにその言語でそのまま考えることができるようになるため、より実践的で自然な発音とコミュニケーション能力が身に付きます。

シャドーイングをすれば音声で単語やフレーズに多く触れるようになるので、ただ見て覚えるより語彙が定着しやすくなります。
ネイティブのように考えることができるようになると、その言語の仕組みも分かり文法力も上がります。

シャドーイングの注意点

このようにシャドーイングを活用すれば、リスニングとスピーキングが上達し、語彙力や文法、英語的思考も身に付くわけですが、その運用には注意も必要です。

先ず、最大の注意点として、いきなりシャドーイングをしてはいけないという点があります。
聞きながら理解しながら話すわけで、それができるようになるにはある程度の英語の下地ができていないといけません。
よって、初心者がいきなりシャドーイングを始めるのはあまり効果が期待できません。
もし初心者が試みるなら、初心者に相応しい、短く分かりやすいものを選びましょう。
そして、シャドーイングも全て分かろうとするのではなく、最初は単語レベルから聞き取れれば上出来です。
慣れてくれば、フレーズレベル、文レベル、文章レベルとだんだんできるようになります。
焦ってはいけません。

先ほどのことと関連しますが、自分に合った音声を選ぶことも重要です。
難しすぎても簡単すぎても行けません。
「α+1」とよく言われますが、現在の自分の能力に1だけプラスした程度がちょうど良いとされています。

そして、教材選びもわざわざシャドーイング専用のものを探す必要はありません。 
最近は一般的な長文の問題集でもQRコードがついており、スマホやアプリを利用して音声を聴くことができます。
しかも、音声の速度を調整する機能がついているものも多いので、自分の英語力に合わせて調整できます。
また、Youtubeや専用アプリを使ってシャドーイングをすることも可能です。

最後の注意点として、必ず誰かに聴いてもらう機会を設けましょう。
自分一人で進めると間違ったアクセントや発音があっても気づきにくいものです。
これまで頑張ってきた成果をチェックしてもらって、「自分は本当に正しくシャドーイングができているか」「スピーキングが自己流になっていないか」など確認しましょう。



以上、シャドーイングの説明でした。
確かにシャドーイングは初級レベルの生徒たちには活用が難しいかも知れません。
しかし、やり方のコツと意義をきちんと理解すれば、英語上達に大きな力となるでしょう。
最初は上手くいかないかもしれませんが、自分を信じて根気よく毎日練習するといいでしょう。
そして、うまくいった暁には、ネイティブに近い英語力が身に付くはずです。

勉強は人によって千差万別、向き不向きがあります。
どれがうまくいくかはやってみないと分からない部分が多くあります。
だからこそ、様々な方法を試して自分に最も合った勉強法を見つける必要があります。

今回のシャドーイングは、結果を出せれば自分の能力を大幅にアップすることができますので、是非お試しいただきたいと考えます。
もし勉強で困ったことや分からないことがあれば、いつでも葛西TKKアカデミーまでご相談ください。

お待ちしております。

2023.08.06

夏休みの宿題をゆとりを持って終わらせよう

 

夏休みの宿題をゆとりを持って終わらせよう
八月に入り、「まだ夏休みが終わるまで余裕がある」と油断していませんか。
そう思って気づけば夏休み終了一週間前、慌ててバタバタと課題をやるけどいい作品は出来ず、その場しのぎのみすぼらしい提出物ではよい評価は得られません。
みすぼらしくても期限に提出できればいいのですが、中には物理的に考えて絶対無理な状況に陥ってしまうこともあります。
そうなれば、良い評価どころか減点になり、成績にも大きく響いてしまいます。

そうならないためにも夏休みの宿題はゆとりを持って終わらせたいものです。
しかし、現実には分かっていてもなかなかできません。
特に小学生(時には中学生や高校生でもそうですが)は、自己管理がまだしっかりできず、自分一人で計画的に夏休みの宿題を終わらせるのは非常に難しいでしょう。

そこで、今回は夏休みの宿題をゆとりを持って終わらせるにはどうすればいいか考えてみたいと思います。

周囲のサポートは必要

夏休みの宿題は自分でやるものだから、最初から最後まで一人で終わらせるのが理想です。
学校側もその建前で宿題を出しているのでしょうが、現実にはそこまで期待はしていないでしょう。
特に低学年で完璧な自己管理を求めるのが酷なことは学校も分かっています。
だから、周囲の人間が子供の宿題に手や口を出してはいけないという訳ではありません。

もちろん、宿題をやる主体は本人でないといけませんが、宿題をより有効に終わらせるには、時には周囲の人間が声掛けをしたり、アドバイスを与えたり、場合によっては手伝ったりすることも必要です。
こういう交流も一つの学びであり、そこから多くのことを子供たちが勉強できれば、それはそれで十分価値があると思います。

したがって、親や周囲の人間は手を出してはいけないという訳ではないことを理解していただきたいと思います。
何でもかんでも本人の責任と放置するのは、反って夏休みの宿題の意義を失わせて、実りの少ない結果につながってしまいます。

皆さんもお忙しいとは思いますが、子供の学びと成長のためにも夏休みの宿題に関わってほしいです。
どうしても忙しすぎてできないときは、葛西TKKアカデミーまでご連絡ください。
お手伝いいたします。

夏休みの宿題がなかなか終わらない理由

夏休みの宿題がなかなか終わらないのはどうしてでしょうか。
学校が無茶な量の宿題を押し付けているのでしょうか。
そんなことはありません。
毎日きちんとやれば終わる、妥当な量だと思います。

では、なぜ終わらないのでしょうか。
それは前提の「毎日きちんとやれば」というところが、現実になかなか難しいのです。
何もなく本人にまかせっきりでは、宿題をちゃんと終わらせることは、ほぼ不可能でしょう。
子供たちは経験も浅く、何をいつどの程度やらないといけないかを上手く理解することはできません。
「夏休みだからこそ、普段できないことをしたい」
「学校がないから、いつもよりたくさん遊びたい」
「40日もあるのだから、慌てて取り掛からなくても大丈夫」
このような心理(油断と願望)は理解できなくはありませんが、それに任せて子供たちの行動を放任すれば、気づいた時には時間が足らず手遅れという事態に陥るでしょう。

余談ですが、そもそも「夏休み」という言葉が、子供たちに「勉強しないで遊んでいい」という発想をもたらすのではないでしょうか。
「休み」となれば、仕事をしないで自分の好きなように過ごしていいという解釈に至るのは当然です。
いっそ「夏の長期家庭学習」なんてした方が、少しは良くなる気がしますが。

いずれにしても「休み」というイメージが、子供を勉強に向かいづらくしているのは確かかも知れません。

また、やる気はあったも何をどうすればいいか分からないという生徒もたくさんいます。
ワークのような、自分がしなくてはいけない内容がはっきりしている場合はまだいいのですが、夏休みの宿題の中には自由研究や作文、工作やポスターなど、明確に細かくこうしなさいと指示されないものが沢山あります。
自分たちで何をどうやって完成させるか考えないといけない宿題です。

こういった場合は、人生経験の少ない多く子供たちは手づまりになってしまいます。
何をしていいか全く思い浮かばないのです。
時には思いも及ばない素晴らしいアイデアがひらめくこともありますが、それはどちらかというとマイナーなケースです。
この最初の一歩でつまづいて先に進めないため、何をしていいか分からないまま時間だけが過ぎ、気づけば夏休みも終わりとなってしまうのです。

夏休みの宿題をゆとりを持って終わらせるには

それでは夏休みの宿題をゆとりをもって終わらせるにはどうすればいいのでしょうか。
これまで見てきたように、基本となるポイントは2点。
先ず、子供たちには自己管理がまだできないこと、そして、何をどうすればいいか分からないこと。

前者に関しては、子供と一緒に夏休みがなぜあるのか、どのように過ごせばいいのかなど、夏休みというものについて根本的に見直してみます。
そうすることで好き勝手にだらだら過ごして良いものではないことが理解できるでしょう。
もちろん夏休みという時間的に余裕のある時だからこそできることもありますし、外に出て友達と一緒に遊ぶのも子供時代の良い経験として必要です。

だから、すべての時間を夏休みの宿題に捧げろという訳ではありません。
大事なのはバランスよく、計画的に毎日を過ごすことです。
ここにおいて大人の経験やアドバイスは重要です。
よく分からないからこそ、大人の意見を参考に自分でどうすればいいか考えるのです。

そして、一緒に夏休みの計画を作ります。
休みの間を通しての長期的計画ももちろんですが、毎日の生活スケジュールも大事です。
子どもと一緒によく話し合って、本人も納得した上で責任もって計画を実行するようにしましょう。
そして、その計画を家族みんなが見える所に貼りましょう。
このように視覚化することと誰もが共有できるようにすることが重要です。
こうして家族全員が分かれば、お互いに計画を守れるように声掛けをすることもできます。
子どもにとっても一番嫌な、「やろうと思ったところで言われる」「今は遊びの時間で勉強の時間になればやろうと思っていたのに」などという事態を回避できるのでいいです。
このように毎日をメリハリをつけて生活すれば、精神的にもゆとりができ、余裕をもって夏休みの宿題も終わらせることができます。

また、後者に関しては、知識や経験の乏しい子供たちに自分だけで何かを考え付くことは難しいと思います。
だから、それらを補える大人がアイデアを出してあげる必要があります。
本人の好みや希望を聞きながら、自分の経験、インターネットや書籍を参考に、どんなことができるが考えましょう。
調べていくとどんどん新しいことに出会い、子供たちも楽しくなってやる気が出るように上手に誘導してあげましょう。
意外と「自分が小学生の時はこんなことをしたよ」などという話は子供も興味を持ち、自由研究をより深めるいいきっかけになります。
そして、大人自身が子供のときに経験済みならば、本当に良いアドバイスを与えられ、良い作品が出来上がることでしょう。

また、夏休みによくある特別展や旅行企画、地域のイベントなどに参加することも、自由研究のアイデアが浮かぶよいきっかけになります。
これらは子供の興味を引くように工夫されていますから、そこから刺激を受け、より詳しく調べたいという知的好奇心に導かれながら研究を自主的に進めることができるでしょう。
とにかく閉じこもっていては始まらないので、ある程度の話し合いをしたら積極的に行動してみましょう。

ただし、自由研究や工作、ポスターや読書感想文などの課題はどうしても時間が掛かってしまいます。
だから、早めに取り掛かり(遅くとも八月上旬には)、大人が間に合うように進んでいるかチェックしてあげることも大事です。



特に年齢の低い子供たちは、自分たちだけで夏休みの宿題をちゃんと終わらせるというのは難しい問題です。
だからこそ、周囲の人間の手助けが必要となります。

最初に計画し、それを守るように声掛けなどでサポートしましょう。
勉強と遊びのバランスを考えつつメリハリのある生活を送れるように支えてあげましょう。
「やれやれ」というばかりではなく、よく頑張ったらときにはご褒美を上げるのもいいことです。
「やればいいことがある」と分かれば、本人のモチベーションも上がりますから。

そして、夏休みの課題で壁にぶつかったときは、子供のできないことを責めるのではなく、どうすれば終わらせることができるかを一緒に考えてあげてください。
いつも前向きな気持ちを持ちづづけられるように、励ましてあげることが肝心です。

いろいろお話しましたが、それでもなかなかうまくいかないというときは、葛西TKKアカデミーにご相談ください。
一緒に考え、子供たちの宿題がきちんと終わるようにお手伝いいたします。

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